ドル円、149円台後半まで買い戻し 円高の動きは根強く150円台には慎重=NY為替概況
ドル円、149円台後半まで買い戻し 円高の動きは根強く150円台には慎重=NY為替概況
きょうのドル円は買い戻しが出ており、149円台後半まで買い戻された。ただ、心理的節目の150円台には慎重で、その後は149.35円付近に伸び悩む場面も見られていた。円高の動きは根強く、ユーロ円やポンド円といったクロス円は上値の重い展開が続いている状況。
円にはまだまだ上昇余地があるとの指摘が出ている。今週発表の2月の東京都区部消費者物価指数(CPI)がインフレ圧力の根強さを示すようであれば、日銀はよりタカ派的なスタンスを取らざるを得ないという見方が裏付けられるという。先週の1月の全国消費者物価指数(CPI)はすでに日銀が早期に追加利上げを実施すべきという根拠を強めていた。
日銀にとっては、国債利回り上昇が懸念事項にはあるものの、経済は日銀の見通しに沿って推移しており、追加利上げの根拠を強めている。日銀の政策転換は緩やかではあるが、最終的には円を支えるはずだという。
ユーロドルは1.04ドル台半ばから後半での推移。ドイツの総選挙で中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)とその姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)が最多得票を獲得し、社会民主党(SPD)との連立を組む可能性が高まっている。経済拡大策への期待から、ロンドン時間に一時1.05ドル台を回復したものの、その後は維持できずに伸び悩む展開となった。
一部からは、ドイツ連邦議会の分裂で大規模改革は困難との見方も出ている。エコノミストは、ドイツ選挙で中道政党が大きく票を失ったことは、次期政権が大規模な改革を実行するのが難しくなることを示唆していると指摘。キリスト教民主同盟(CDU)主導の社会民主党(SPD)との連立が最も可能性が高いものの、両党の僅差の過半数、経済問題での対立する見解、上院の分裂状況から、債務ブレーキの改革を通じた財政出動で経済の停滞を打開するのは大きな課題になると述べている。
財政上の債務ブレーキを変更したり、防衛支出のための別の予算外基金に合意したりするには3分の2の多数が必要で、極右か極左から8票を得る必要があることから、現時点でベースライン予測に含めるには時期や範囲が不確実過ぎるという。
ポンドドルは一時1.26ドル後半まで上昇したものの、NY時間にかけて1.26ドル台前半に伸び悩む展開。英財務相が歳出削減に踏み切ればポンドに打撃との指摘が出ている。アナリストは、3月の予算で英国の財政支出が減少する見通しであることから、ポンドが下落する可能性があると指摘している。
1月の予想を下回る公共部門の黒字により、リーブズ財務相が増税を回避したいのであれば、支出削減が必要になる可能性が高まっていると述べている。昨年秋に当初予想されていた財政の余裕は、英国債利回りの上昇により減少している。歳出削減により英中銀がより積極的な利下げに踏み切る可能性もあるという。
また、米国の関税問題がリスク志向を弱めるようであれば、ポンドは下落する可能性があり、3月には1.25ドルを下回る水準まで下落すると予想しているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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執筆者 : MINKABU PRESS
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