【来週の注目材料】トランプラリーの行方
【来週の注目材料】トランプラリーの行方
18日からの週は目立った米指標予定がなく、市場の注目はトランプラリーの継続が見られるかどうかとなっています。
5日の米大統領選挙で共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が、民主党候補のカマラ・ハリス現副大統領を破って、来年1月に第47代大統領へ就任することとなりました。事前では比較的接戦が見込まれていましたが、結果的にはトランプ氏が538人の選挙人のうち312人を確保する圧勝となりました。同時に行われた連邦議会選挙では上院、下院共に共和党が過半数を確保。大統領、両院を共和党が抑えるいわゆるトリプルレッドとなっています。
この結果を受けてドルは全面高で反応しました。トランプ氏は減税、大規模関税、規制緩和などを公約としており、公約が実施されると米国内の物価が上昇、利下げが期待ほど進まないとの見方が広がっており、ドル高の材料となっています。
ドル円は選挙戦開票直前直後のドル安を受けて151円台前半を付けた後、開票が進むにつれてドル高が強まり、154円台を付けた後、いったんは先々週の週末にかけてドル売りが強まり152円台まで下げました。11日からの週は再びドル高が強まり、14日には156円台まで上値を伸ばしました。今年7月に付けた1986年12月以来の高値161円94銭が視野に入る展開となっています。
ドルはほぼ全面高となっており、ユーロドルは開票前の1ユーロ=1.0930ドル台から1.0490ドル台までユーロ安ドル高となりました。
トランプ次期大統領は国務長官に対中強硬派のルビオ上院議員、国家安全保障担当補佐官に同じく対中強硬派のウォルツ下院議員を指名する方針。前回のトランプ政権で中国を含め対外強硬姿勢が目立ったライトハイザー前USTR(米通商代表部)代表にUSTR代表復帰を要請しているとも報じられています。こうした姿勢が対外強硬路線を示した選挙戦での公約を実現させる姿勢を示したものとの見方につながっておりドル買いとなりました。上院、下院共に共和党が抑えたことで、トランプ路線が進みやすくなるとの見方も広がっています。
上院民主党は少数派となったとはいえ40議席を超えていますので、フィリバスター(議事妨害)などの手段で法案を事実上の廃案にすることは可能で、なんでも大統領の思うとおりになるというわけではありません。ただ、同手段をすべての法案に使うというわけにもいかず、これからの対外強硬姿勢への警戒感が広がっています。
このトランプラリーがどこまで続くのかが焦点となります。トランプ次期大統領は閣僚人事をいろいろと進めていますが、市場の注目は財務長官人事とライトハイザー氏の処遇。ライトハイザー氏についてはUSTR復帰だけでなく、USTRや商務省も含む通商関係のトップに就任するとの見方もあります。同氏はレーガン大統領の下でのUSTR次席代表時代に、当時問題となっていた日米貿易摩擦にかなり厳しい姿勢で対応してたことでも知られています。日米鉄鋼交渉においては日本側の提案書を紙飛行機にして飛ばすなどの姿勢を見せ、結局日本側に鉄鋼輸出の自主規制を受け入れさせました。USスチールの問題もある中、日米貿易にも影響が出そうです。リスク警戒は一般的に円買いになりやすいですが、今の流れからはリスク警戒の通貨売りによる円売りが広がる可能性もあり、不安定な動きに注意したいところです。
MINKABUPRESS 山岡
執筆者 : MINKABU PRESS
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