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【来週の注目材料】米FOMCは0.25%利上げ見通しが濃厚、SEPなどにも要注意

為替 

 21日、22日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。政策金利であるFF金利翌日物誘導目標は、現行の4.50-4.75%から4.75-5.00%へ0.25%の利上げが見込まれています。
 1月の米個人消費支出(PCE)デフレータ前年比が総合、コア共に12月を上回る伸びとなり、米国の物価鈍化が一服する動きとなったことで、一時は0.5%利上げ見通しが大勢となっていました。FOMCメンバーからも大幅利上げに向けた姿勢が見られたこと、特にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が7日に行われた上院銀行委員会での議会証言の場で「利上げペースを加速する用意がある」と発言したこともあって、0.5%利上げをほぼ織り込むところまで期待が進む場面も見られました。
 しかし、10日以降こうした期待が一気にしぼみました。10日発表の2月米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)の伸びが予想を上回ったものの、失業率が予想外に悪化。平均時給の伸びも冴えない今一つの結果となりました。そしてそれ以上に市場の期待を後退させたのが、同日発表された米商業銀行シリコンバレーバンク(SVB)の破綻でした。資産規模で全米第16位の同行はリーマンショック以降(正確にはリーマンブラザーズ破綻の10日後に余波を受けて破綻したワシントンミューチュアル以降)で最大規模の破綻となりました。テック関連のスタートアップやそれに関連したベンチャーキャピタルへの融資などで知られる同行は、経営問題を警戒して預金が急速に引き出される状況に対して、急激な金利上昇による保有債券の価値低下などによって対応しきれなくなった形で破綻しました。12日にはその余波もあって仮想通貨や富裕層向けビジネスが中心となっていた全米29位のシグネチャーバンクも破綻しました。
 こうした事態を受けて、市場では債券価格の低下につながる大幅利上げが難しいという認識が広がりました。0.5%利上げ期待が大きく後退。0.25%利上げ期待だけでなく、金利の据え置き期待や、ごく一部ではありますが利下げの可能性を口にするところまで出てきました。
 米金融当局が破綻金融機関の預金全額保護に向けた姿勢を示したことで、警戒感はいったん落ち着きましたが、14日には経営難が以前から懸念されているスイスの金融機関大手クレディスイスの株価が急落。自体は欧州に飛び火し、この結果米FOMCでの利上げ期待も抑えられるという形になりました。また、米国ではシグネチャーバンク同様に仮想通貨や富裕層ビジネスに強かったファーストリパブリックバンクの株価が急落するなど、米・欧の金融機関に対する市場の厳しい姿勢が見られ、金融システム不安への警戒感が広がる展開と見られました。
 クレディスイスに関してはスイス中銀からの500億フラン(約7兆1500億円)の借り入れ方針が発表され、流動性確保の姿勢が見られました。ファーストリパブリックバンクについてはJPモルガンチェース、シティグループ、BofAなど米金融大手11行が合計300億ドル(約4兆円)の預金預け入れを発表。こちらも流動性確保の姿勢が見られ、警戒感がかなり後退しています。
 こうした状況を受けて金利の据え置きや利下げなどの見通しが後退。大幅利上げはさすがに難しいという見方が広がっているものの、0.25%利上げで市場の見通しがほぼ一致する状況となっています。
 16日のECB理事会で、クレディスイス問題などを受けてECBが利上げ幅を0.25%に縮小してくるとの市場の見方に反して、従来のコミット通り0.5%の利上げが決定したことも、FOMCでの利上げ継続見通しを支えています。CMEのFedWatchツールでは17日時点で85%前後の割合で0.25%利上げを見込む展開となりました。
 今後の欧州・米国の金融機関動向によっては状況の変化がまた生じる可能性がありますが、今のところ0.25%利上げが濃厚という状況です。

 市場予想通り0.25%利上げとなった場合、市場の注目は声明、議長会見、FOMCメンバーによる今後の見通し(SEP)となります。
 声明や会見ではこれまで見られた引き締め継続姿勢が続くのかどうかがポイントとなります。
 また、ターミナルレート(利上げの終着点)見通しがどうなるのかも注目材料です。SVB破綻報道前には5.75%-6.00%が市場予想の大勢となっていました。こちらは17日時点で4.75-5.00%まで下がっています。これは3月の0.25%利上げで利上げサイクルが終了という見通しです。さらに年内はないと見られていた利下げが今年7月に始まるという見通しが広がっています。12月時点での政策金利見通しは4.00-4.25%と4.25-4.50%が拮抗。今回0.25%利上げを実施したとして、年末までに2回もしくは3回の利下げがあるという見通しとなっています。

 こうした状況を受けて今回のSEP、中でも年末時点でのFOMCメンバーによる政策金利見通しをドットで示したドットプロットも注目を集めています。前回12月時点では2023年末時点での政策金利見通しは5.00-5.25%が19名中10名と最多となっていました。また、5.25%以上を見込む予想が7名という状況でした。今回はこうした予想がどこまで下がってくるのかが注目されます。ちなみにFOMCメンバーの中でもハト派で知られたブレイナード氏は国家経済会議(NEC)議長就任のため2月でFRB副議長を退任済み。タカ派で知られたジョージ氏は、任期満了で1月末をもってカンザスシティ連銀総裁を退任済み。ともに後任が決まっていませんので、17名による予想となります。なお、前回12月時点では2023年中の利下げが想定されていませんでしたので、ドットプロットでの2023年末時点予想値がイコールターミナルレート見通しでしたが、ここにきて比較的早い段階での利下げ予想が強まっていることで、年末の金利水準とターミナルレートがイコールではなくなったことも注意が必要です。

 SEPでは物価見通しも注意したいところです。12月時点では2023年末時点でのPCEデフレータの見通しを3.1%、コアPCEデフレータの見通しを3.5%と、ともに9月時点から上方修正され、インフレターゲットの2%を大きく超える水準が見込まれていました。こうした物価高の継続見通しが続く中での利下げはかなり難しいという見方もあり、物価見通しの高止まりがドル高につながる可能性があります。

MINKABU PRESS 山岡和雅

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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