ポンド相場の混乱はひとまず落ち着く、英長期債利回り動向にらんで=ロンドン為替概況
ポンド相場の混乱はひとまず落ち着く、英長期債利回り動向にらんで=ロンドン為替概況
ロンドン市場は、ポンド相場の混乱がひとまず落ち着いた。前日に英中銀が長期債を一時的に購入する措置を開始、英政府の大幅減税を軸とした景気支援策を受けた英国債急落の動きに一定の歯止めをかけた。英30年債利回りは100bp超の低下となっていた。ポンド相場はNY市場にかけて急速に買い戻しが入る経緯があった。しかし、きょうは東京市場でポンド高に調整が入り、ポンドドルは1.09付近の高値から1.08台割れへと軟化した。ロンドン時間に入ると英長期債利回りが上昇、欧州株や米株先物が下落とふたたびリスク警戒の動きが広がった。トラス英首相は「自身の経済支援策は英国にとって正しい計画だ、減税があらゆる人々の助けに、英経済成長に寄与することで」と演説した。その後次第にポンドドルは買われ、1.0897近辺まで上昇。英中銀の一時購入措置を警戒して、英30年債利回りは序盤の上昇を解消している。日本時間午後11時過ぎの英中銀債券購入タイムが待たれるところ。ユーロドルは0.9636近辺まで下げたあとは0.97台乗せまで反発。ポンドドルに動きに連れている。一連のECB当局者発言には目立った反応を示さず。10月理事会では、ほぼ75bp利上げがコンセンサスとなりつつあるようだ。ただ、一部には慎重な意見も聞かれた。ドル円は序盤に144.80近辺まで買われたあとは、144円台後半に高止まりしている。米10年債利回りは3.86%台まで上昇したあとは落ち着いた展開になっている。
ドル円は144円台後半での取引。前日のNY市場でドル売りが広がったあと、東京市場ではドル買いの流れに転じた。144円付近から144円台半ばへと上昇。ロンドン朝方には144.80近辺まで高値を伸ばした。その後一時144.50割れの場面も、すぐに144円台後半での高止まりへと戻している。米10年債利回りは3.73%付近から3.86%付近へと上昇しており、ドル円の下支えとなっている。欧州株や米株先物は売り優勢も、足元ではやや下げ渋り。
ユーロドルは0.97付近での取引。東京市場でじり安となったあと、ロンドン朝方には0.9636近辺まで下押しされた。しかし、ロンドン時間に入ると再び上昇、0.97台乗せへと買われている。ユーロ円は朝方に139.44近辺に安値を広げた後は、上昇に転じている足元では140.50付近へと高値を伸ばしている。対ポンドではユーロ売りが先行も次第に値を戻している。一連のECB当局者発言では10月理事会での75bp利上げでほぼコンセンサスが形成されてきているようだ。ただ、センテノ・ポルトガル中銀総裁からは、政策が後戻りすることを懸念と、利上げのオーバーシュートに警戒感も示されていた。一連のドイツ各州の消費者物価指数では一部の州で前年比10%超えへと上昇するなど、インフレが深刻化していた。
ポンドドルは1.08台前半での取引。東京午後に1.0763近辺まで軟化したあとは、底堅く推移。ロンドン時間には買いが優勢となり1.09手前水準まで上昇。英30年債利回りは序盤に4.08%台まで上昇したが、すぐに低下に転じると3.90%を下回る場面があった。昨日の英中銀の長期債一時購入措置の開始で、英債券入りの流れはひとまず落ち着いている。トラス英首相は「自身の経済支援策は英国にとって正しい計画だ、減税があらゆる人々の助けに、英経済成長に寄与することで」と演説した。足元ではポンドドルは再び1.08台前半へと押し戻されている。ポンド円は156円を挟んだ振幅から上抜けると高値を157.65近辺まで伸ばした。その後は156円台後半へと上昇一服。ユーロポンドは下に往って来い。0.89手前まで下落したあとは0.8970付近まで反発している。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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