【来週の注目材料】米個人消費は堅調も、リスクを意識
17日に4月の米小売売上高が発表されます。米GDPの約7割を占める個人消費動向を表す指標として注目度の高い指標となっています。前回は前月比+0.5%と3カ月連続でプラス圏となりました。自動車を除いたコアは前月比+1.1%となっています。
前回の発表、数字だけを見るとかなり堅調ですが、これはウクライナ情勢を受けたガソリン価格の上昇が影響したものです。ガソリンスタンド売上が前月比8.9%と上昇しており、全体を押し上げました。NY市マンハッタン地区など大都市圏の中でもごく一部地域を除くと、米国は車が必需品。ガソリン価格が上昇しても需要の減少は限定的なものにとどまるため、ウクライナ情勢を受けたガソリン小売価格の上昇はガソリンスタンド売り上げを押し上げました。ちなみにガソリンの小売価格は全米全種平均で2月の1ガロン当たり3.517ドルから3月は4.222ドルまで約20%の大幅上昇を見せています。
ガソリンスタンド売上を除いた3月の米小売売上高はマイナス圏となりました。中でも売上減が目立ったのが自動車及び同部品部門の前月比1.9%の下落。小売売上全体の中で最も売上高の大きい同部門ですが、半導体不足などのサプライチェーン問題が継続する中で、生産が戻ってきておらず、需要はあるものの供給が追い付かない形で売上を減らしています。
今回の市場予想は前月比+0.9%前後。前回から伸びが強まると期待されています。前回と違うのは、3月から4月にかけてはガソリンの小売価格が2.7%低下している点です。その為ガソリンスタンド売上はマイナスか横ばい程度にとどまる可能性があります。一方で自動車は前回と違って上昇が見込まれており、自動車を除くコアの見通しは前月比+0.3%前後の上昇と見られています。
ただ、自動車は4月も半導体不足からのサプライチェーン問題で生産が追いついておらず、需要が堅調なものの、販売台数は抑えられているとみられます。予想ほどの回復を見せない可能性もありそうです。13日に発表された5月のミシガン大学消費者信頼感指数が予想を大きく下回るなど、ここに来て物価高などによる米国の消費者マインドの悪化が見られるだけに、予想を大きく下回るようだと市場のリスク警戒感につながりそうです。
MINKABU PRESS 山岡和雅

執筆者 : MINKABU PRESS
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