米雇用統計好結果でドル高さらに強まる
米雇用統計好結果でドル高さらに強まる
ロックダウン緩和の影響でレジャー&ホスピタリティ部門が大幅増
予想を大きく超える全体の雇用増を支える
【東京市場】ドル円108円台に
ドル円は昨年6月以来の108円台まで上値を伸ばした。
前日の海外市場でドル高の流れが強まり、108円手前まで上昇して迎えた5日の東京市場。
朝方のドル買いに108円01銭を付けた後、いったんは調整の動きが見られたが、押し目は107円82銭まで。
午後に入って米債利回りの上昇傾向が強まると、ドル高の流れに復して108円10銭まで。リスク選好の動きも見られ、
ユーロ円などクロス円もしっかりの展開に。ドル円はその後108円台での推移が続いた。
昨日のパウエル議長講演後に上昇した米長期債利回りは、高水準でのもみ合いとなり、
低下傾向が見られずドル円などの支えに。10年債は午後に入って1.58%を付ける場面が見られた。
ドル高の流れの中で午前中に1.1952まで値を落としたユーロドルは、
その後の対円でのユーロ買いに支えられて下値トライの流れが一服。戻りは1.1965前後までと限定的も、
1.1950を試す勢いもなく午後はもみ合いに。
【ロンドン市場】ドル買い強まる
ドル買いの流れがさらに強まり、ドル円は108円台半ばへ
雇用統計前ではあるが、ドル高の勢いは強くほぼ一本調子で上昇を見せた。
ユーロドルが1.1910台まで値を落とすなどドルは全面高基調。
昨日のパウエルFRB議長講演を受けて今後の米長期金利上昇基調への期待が広がり、ドル買いに。
【NY市場】ドル円は108円65銭前後まで、雇用統計はかなり強めの数字に
注目された米雇用統計は予想を超える好結果となった。
非農業部門雇用者数(NFP)は予想を大きく超える37.9万人増、失業率は6.2%へ低下。
ここ2か月マイナス圏となっていたレジャー&ホスピタリティ部門ば35.5万人増となり
全体を押し上げる結果となった。
全米各地で広がったロックダウン緩和の影響がまともに出た格好。
高値からはいったん調整が強まったが、調整の動きは108円10銭前後までにとどまり
その後ややドル買いが入って引けるなど、ドル高基調が継続した。
【本日の見通し】ドル買いの意識強まる
110円を意識する展開に。
米各地でロックダウン緩和が進んだところでの米雇用統計の強さが
今後のインフレ期待をかなり強めており、ドル買いの動きが継続すると見られる。
高値警戒感があるだけに、ある程度の調整の動きが見込まれるものの
基調はドル高と見られ、ドル円は108円台での値固めを終えると
もう一段上を試す可能性が高い。
ユーロドルも1.20のポイントをしっかり割り込んで大きく値を落としており
1.20手前が重くなりそう。
当面はドル全面高の流れを意識。
米債利回りの動向に気を付けながらの展開に。
【本日の戦略】押し目買い
ドル買い基調が継続と見られるだけに、
基本は押し目買いか。
高値警戒感があるだけにある程度は調整も入るとみられる。
ドル円は108円ちょうど前後の買いを確認してからという印象。
デイトレは早めに買いに回る展開か。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《3/5 金曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 107.97 1.1969 129.23
高値 108.64 1.1978 129.58
安値 107.82 1.1894 128.85
終値 108.31 1.1915 128.98
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《3/5 金曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 28864.32 -65.79
DOW 31496.30 +572.16
S&P 3841.94 +73.47
Nasdaq 12920.15 +196.68
FTSE 6630.52 -20.36
DAX 13920.69 -135.65
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《3/5 金曜日の商品市場》
NY原油先物4月限(WTI)(終値)
1バレル=66.09(+2.26 +3.54%)
NY金先物4月限(COMEX)(終値)
1オンス=1698.50(-2.20 -0.13%)
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《3/5 金曜日に発表された主な経済指標》
【シンガポール】
小売売上高(1月)14:00
結果 -1.8%
予想 -1.1% 前回 -1.0%(-0.9%から修正)(前月比)
結果 -6.1%
予想 -2.5% 前回 -3.3%(-3.6%から修正)(前年比)
【ユーロ圏】
ドイツ製造業新規受注(1月)16:00
結果 1.4%
予想 0.5% 前回 -2.2%(-1.9%から修正)(前月比)
結果 2.5%
予想 1.9% 前回 6.1%(6.4%から修正)(前年比)
【米国】
雇用統計(2月)22:30
結果 37.9万人
予想 20.0万人 前回 16.6万人(4.9万人から修正)(非農業部門雇用者数)
結果 6.2%
予想 6.3% 前回 6.3%(失業率)
結果 0.2%
予想 0.2% 前回 0.1%(0.2%から修正)(平均時給(前月比))
結果 5.3%
予想 5.3% 前回 5.3%(5.4%から修正)(平均時給(前年比))
民間部門雇用者数
結果 46.5万人
予想 20.0万人 前回 9.0万人(0.6万人から修正)
製造業雇用者数
結果 2.1万人
予想 1.5万人 前回 -1.4万人(-1.0万人から修正)
週平均労働時間
結果 34.6
予想 34.9 前回 34.9(35.0から修正)
労働参加率
結果 61.4%
予想 61.4% 前回 61.4%
貿易収支(1月)22:30
結果 -682.0億ドル
予想 -675.0億ドル 前回 -670.0億ドル(-666.0億ドルから修正)
【カナダ】
国際商品貿易(1月)22:30
結果 14.1億カナダドル
予想 -14.0億カナダドル 前回 -19.8億カナダドル(-16.7億カナダドルから修正)
Ivey購買担当者景況感指数(2月)00:00
結果 60.0
予想 N/A 前回 48.4
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《3/5 金曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【日本】
*黒田日銀総裁
長期金利変動、上下0.3%に拡大と申し上げる段階にはない
バブルに十分警戒して対応していかなければならない
長期金利変動幅、拡大必要とは考えてない
*カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁
雇用はパンデミック前の水準への回復が必要。
インフレについては懸念していない。
もし、インフレが上昇し出したら、FRBには手段がある。
*ブラード・セントルイス連銀総裁
ツイストオペは想定していない。
見通し改善が実質利回りを押し上げている。
10年債利回りはパンデミック前のレベルに戻っている。
無秩序な取引は懸念。しかし、その時ではない。
年末までにインフレは2%を超えると見込む。
FRBの政策はインフレの影響力を弱める可能性。
2021、22年は以前よりも強いインフレ上昇が見られる可能性。
FRBの目標を0.5%上回っても問題はない。
*ボスティック・アトランタ連銀総裁
米国の総失業率は10%に近い。
影響の不均一性はこの危機の特徴。
経済は何よりもウイルス次第。
*メスター・クリーブランド連銀総裁
債券市場は直近の指標を反映。
米雇用統計は物事が正しい方向に向いていることを示唆。
FRBは依然として目標から遠い。
しばらくは緩和継続が必要。
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《本日予定されている主な経済指標》
【日本】
国際収支(1月)8:50
予想 12306前回 11656億円(経常収支)
予想 22087前回 22784億円(経常収支・季調済)
予想 -393前回 9651億円(貿易収支)
景気先行指数・速報値(1月)14:00
予想 96.8 前回 95.3
景気一致指数・速報値(1月)14:00
予想 91.6 前回 88.3
【スイス】
失業率(2月)15:45
予想 N/A 前回 3.7%(季調前)
予想 3.6% 前回 3.5%(季調済)
【ユーロ圏】
ドイツ鉱工業生産(1月)16:00
予想 -1.5% 前回 0.0%(前月比)
予想 N/A 前回 -1.0%(前年比)
【米国】
卸売売上高(1月)5日0:00
予想 N/A 前回 1.2%(前月比)
卸売在庫・確報値(1月)5日0:00
予想 N/A 前回 1.3%(前月比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員