パウエル議長講演受けてドル買い加速
パウエル議長講演受けてドル買い加速
長期金利上昇を静観との思惑広がる
【東京市場】堅調地合い
ドル円は107円00銭台を中心とした推移が続いた。前日の海外市場で107円15銭まで上昇後、106円台に値を落として迎えた東京市場。朝方にドル買い円売りの動きが広がり、107円10銭まで上昇。ただ、明日の雇用統計などを前に突っ込んだドル買いにも慎重姿勢が見られ、その後は107円を挟んでの振幅に。昼前に107円11銭と朝の高値を更新も、海外市場の107円15銭には届かず。
午後は107円00銭台を中心にした推移。上値トライの勢いはないが、107円00銭もつけずという展開に。
ユーロドルは1.2050前後での推移。朝方のドル高トライで1.2060台から1.2044まで値を落としたが、ドル買いはそこまで、その後は1.2050を挟んでの振幅に。
【ロンドン市場】ドル高円安の流れ強まる
ドル円は一時107円36銭まで上昇。3日につけた直近高値を更新し、7月23日以来の高値圏での推移となった。東京市場から堅調地合いとなったドル円だが、欧州勢の本格参加前は前日高値を超える動きにはやや慎重な姿勢が見られた。欧州勢が本格参加してくると、ドル買いの動きに勢いが付き、107円30銭超えまで上昇。日経平均が終値ベースで628円安、上海総合、香港ハンセンがともに2%以上の下げとなるなど、アジア主要株価指数が軒並みの大幅安を記録する中で、リスク警戒でのドル買いが強まった面も。107円30銭台まで上昇した後は、高値追いの動きが落ち着いたが、押し目は限定的なものにとどまっており、高値圏での推移が続いた。
ドル全面高の流れが強まる中で、ユーロドルは前日のNY午前、今日の東京朝、東京午後と何度も下値を支えた1.2043前後の安値を割り込み、1.2020台までユーロ安ドル高が進行した。その後いったん調整も1.2050手前がすでに重くなっている。
【NY市場】ドル高加速
注目されたパウエル議長の講演では、長期債利回り上昇について
市場が秩序のない状況になれば問題視する。最近の債券市場のボラティリティは自身の注目を引いた
と発言した。
おおむね予想通りも、FRBは現状では政権を続けるとの思惑が広がる格好となり
講演後に米長期債利回りが急騰、ドル買いの動きにつながった。
ドル円は108円手前までの上昇に。
ユーロドルは心理的節目1.20をしっかりと割り込む動きを見せた。
【本日の見通し】ドル買いの動き継続も、高値警戒感も
米長期債利回り上昇からのドル買いの流れが強まっている。
FRBが利回り上昇について注意はしながらも基本静観姿勢を示していることで
当面この利回り上昇傾向が続くとみられている。
下院を通過した米追加経済対策について、上院での調整が続いており
早期の通貨期待が強まっていることもドル買いに寄与。
ただ、ドル円にはさすがに高値警戒感も。
ユーロドルも心理的な節目を割り込んでおり、一服感が出やすいところ。
週末を前にいったん調整が強まる可能性もある。
【本日の戦略】押し目買いも無理をせず
ドル高基調は継続。
ただ108円手前ということもありここからの買いには慎重か。
流れは変わらずとみられ、押し目を待ちたいところだが
今晩は米雇用統計が控えており無理は禁物。
デイトレは買いからの回転意識も、雇用統計前にはいったん様子見に回り
結果次第で対応。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《3/4 木曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 107.01 1.2063 129.09
高値 107.99 1.2067 129.64
安値 106.97 1.1962 128.92
終値 107.98 1.1969 129.24
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《3/4 木曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 28930.11 -628.99
DOW 30924.14 -345.95
S&P 3768.47 -51.25
Nasdaq 12723.47 -274.28
FTSE 6650.88 -24.59
DAX 14056.34 -23.69
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《3/4 木曜日の商品市場》
NY原油先物4月限(WTI)(終値)
1バレル=63.83(+2.55 +4.16%)
NY金先物4月限(COMEX)(終値)
1オンス=1700.70(-15.10 -0.88%)
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《3/4 木曜日に発表された主な経済指標》
【韓国】
実質GDP(確報値)(前期比)(2020年第4四半期)08:00
結果 1.2%
予想 1.1% 前回 1.1%(実質GDP(確報値)(前期比))
結果 -1.2%
予想 -1.4% 前回 -1.4%(実質GDP(確報値)(前年比))
消費者物価指数(2月)08:00
結果 0.5%
予想 0.4% 前回 0.8%(前月比)
結果 1.1%
予想 1.0% 前回 0.6%(前年比)
【豪州】
小売売上高(1月)09:30
結果 0.5%
予想 0.6% 前回 0.6%(前月比)
貿易収支(1月)09:30
結果 101.42億豪ドル
予想 75.0億豪ドル 前回 71.33億豪ドル(67.85億豪ドルから修正)(貿易収支)
【ユーロ圏】
ユーロ圏小売売上高(1月)19:00
結果 -5.9%
予想 -1.4% 前回 1.8%(2.0%から修正)(前月比)
結果 -6.4%
予想 -1.2% 前回 0.9%(0.6%から修正)(前年比)
ユーロ圏失業率(1月)19:00
結果 8.1%
予想 8.3% 前回 8.1%(8.3%から修正)
【米国】
新規失業保険申請件数(27までの週)22:30
結果 74.5万件
予想 75.0万件 前回 73.6万件(73.0万件から修正)(前週比)
耐久財受注・確報値(1月)5日0:00
結果 3.4%
予想 3.4% 前回 3.4%(前月比)
結果 1.3%
予想 1.4% 前回 1.4%(輸送除くコア・前月比)
製造業新規受注(1月)5日0:00
結果 2.6%
予想 2.1% 前回 1.6%(1.1%から修正)(前月比)
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《3/4 木曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
*パウエルFRB議長
FRBは目標達成に強くコミット。
目標までにはなお長い道のり。
雇用増を期待する理由がある。
インフレは2%を下回っているが、ベース効果で上昇するだろう。
深く刻まれた低インフレが急速に後退する可能性はない。
市場が秩序のない状況になれば問題視するだろう。
最大雇用に戻るにはしばらく時間がかかる。
最大雇用の年内確保の可能性は極めて低い。
最近の債券市場のボラティリティは自身の注目を引く。
一過性のインフレ加速に対しわれわれは慌てない。
現行の政策は適切。
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《本日予定されている主な経済指標》
【シンガポール】
小売売上高(1月)14:00
予想 -1.1% 前回 -0.9%(前月比)
予想 -2.5% 前回 -3.6%(前年比)
【ユーロ圏】
ドイツ製造業受注(1月)16:00
予想 0.5% 前回 -1.9%(前月比)
予想 1.9% 前回 6.4%(前年比)
【米国】
非農業部門雇用者数(2月)22:30
予想 20.0万人 前回 4.9万人
失業率(2月)22:30
予想 6.3% 前回 6.3%
貿易収支(1月)22:30
予想 -675.0億ドル 前回 -666.0億ドル
【カナダ】
国際商品貿易(1月)22:30
予想 -14.0億カナダドル 前回 -16.7億カナダドル
Ivey購買担当者景況感指数(2月)6日0:00
予想 N/A 前回 48.4
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員