ドル円はポジションの巻き戻しが断続的に出ている印象=NY為替概況
きょうのNY為替市場、NY時間に入ってドル円は買い戻しを強めており104.75円近辺に一時上昇した。特に買いを強める材料は出ておらず、前日同様の展開が見られている。今週は感謝祭ウィークだが、それに向けてポジションの巻き戻しが断続的に出ている可能性もありそうだ。今月の9日にもドル円は急速に上昇したが、上げを維持できずに失速している。今回も感謝祭休暇明けにその動きにならないか警戒される。
ただ、市場の雰囲気は良好で、ロンドン時間にはリスク選好のドル売りから、ドル円は104円台前半に伸び悩む動きが見られていた。
トランプ政権がバイデン政権への移行プロセスに着手し始めたのではとの期待が高まっている。米連邦政府の財産管理を担当する一般調達局のマーフィー局長が、「トランプ政権がバイデン氏の就任に向けて連邦政府の資源を利用できるようにしている」と語った。トランプ大統領もツイッターでその動きを認めている。ただ、トランプ陣営はバイデン氏への投票を無効にする法的な勝利を勝ち取ることができなかったとしても、良い戦いを続けるとも述べていた。
また、バイデン氏が次期財務長官にイエレンFRB前議長を指名する意向を示していることも市場はポジティブに捉えているようだ。米財務省とFRBの協調が強まり、金融緩和や財政拡大への期待が高っている。イエレン氏が財務長官に就任すれば、ドルはさらに下落する可能性があるとの指摘も出ている。米財務省とFRBの調和を生み出し、現在の財政拡大および金融緩和を支援し、さらなるドル安につながる可能性のあるという。上院によって承認された場合、イエレン氏は女性で初めての財務長官となる。同氏は女性初のFRB議長でもあった。
ユーロドルは序盤に1.18ドル台前半に値を落としていたが、下値での買いも旺盛で1.18ドル台後半に戻している。米株式市場でダウ平均が3万ドルの大台に乗せ、さらに原油も45ドル台まで一時急伸している。市場はリスク選好の雰囲気を強めていることから、為替市場ではリスク選好のドル売りが根強い。
ただ、ユーロドルは1.19ドル付近に強い上値抵抗があるようだ。前日は1.19ドル台に一時上昇する場面も見られたものの上値を抑えられている。ユーロ自体にはポジティブな材料はなく、ユーロの上値を抑えているようだ。来月のECB理事会での追加緩和が確実視されているほか、感染拡大で一部都市封鎖も実施されている中で、短期的には景気の先行きへの不安感が強まっている。
この日発表の11月のIfo景況感指数は予想こそ上回ったものの前回から低下し、期待指数は予想以上の落ち込みとなった。サービス業中心に見通しが悪化しており、特にホスピタリティー業界の下げがきつく、70%以上の企業が破綻を懸念しているという。今回の指数を受けて10-12月期のドイツGDPは前期比で1%のマイナス成長との予想も出ている。
ポンドドルは1.32ドル台に一時下落する場面も見られたが、その後は買い戻しも見られ、1.33ドル台半ばに戻した。ポンドはドル安トレンドを最も享受しており、上昇トレンドは健全といった状況。9月1日の年初来高値1.3480ドルを視野に入れた動きは持続している。
英国とEUの貿易交渉の合意への期待感がポンドを押し上げており、合意に至った場合はポンド上昇が期待されているが、上げは持続できないとの見方も出ている。2021年に英経済がパンデミックの影響から回復したとしても、EU離脱による貿易障壁や投資縮小などを背景に回復は鈍く、ポンドはより適正水準まで下落するという。継続的な財政刺激策や英中銀によるマイナス金利の導入の可能性が引き続きポンドを圧迫すると見ているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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