ドル円は106円ちょうど付近で膠着 市場は楽観的ムード=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は106円ちょうど付近で振幅。NY時間に入ってややドル買いが見られたものの、円も売られており、相殺し合っている状況。ドルと円の方向感が同じであることから、ドル円は膠着した展開となっている。本日のレンジは17銭。
下値は、これまで強いレジスタンスとなっていた105.80円水準が意識されているようだ。市場全体に楽観的ムードも見られる中で、105.80円から21日線が控える105円台半ばまでの間には押し目買いオーダーも観測されている。
一方、上値は106.50円付近が意識されているようだ。100日線が来ており、9月高値の水準でもある。この水準を突破できれば、107円台半ばに来ている200日線への道が開けるとの声も聞かれる。どちらに向かうのか、次のアクション待ちの雰囲気も強い。
トランプ大統領は追加経済対策の協議を大統領選後まで一時停止すると発表した。ただ、大統領は議会に対して、1200ドルの特別給付金や、航空業界、小規模企業への的を絞った支援策は協議するよう要請。また、自身が再選されれば、大規模な対策を打ち出すことにも言及している。ムニューシン米財務長官とペロシ下院議長の継続の方向で調整されているようだ。
米大統領選が日々接近しており、大きな不透明要因ではあるものの、市場の一部からは、どちらが勝利したとしても、追加経済対策は大規模なものになるとの楽観ムードも聞かれる。11月3日の投票日を経てもまだ、次期大統領が決まらないリスクも警戒されるのの、まだ、意識を強めている気配はない。
ユーロドルは小幅な値動きの中で、軟調な動きも見られ、1.1735ドル付近まで値を落とす場面が見られた。全体的には楽観的ムードが広がっているものの、ユーロは依然として上値に慎重な雰囲気が垣間見られる。
1.18ドルにかけての上値抵抗が強いようで、現在は21日線付近での推移に終始している。次の展開待ちといった雰囲気だが、下値警戒感も出ているようで、今月サポートされた1.17ドルちょうどの水準をブレイクするようであれば、下げ足を早めるとの見方も出ている。
一部からは、FRBが取ろうとしている平均2%のインフレ目標と同様のアプローチを、ECBが正式に取る可能性は低いとの指摘が出ている。完全に排除するわけではないが、可能性は低いという。ラガルドECB総裁は、そのアプローチに対するコミュニケーションが非常に複雑と考えている節があり、特に経済モデルが想定するほど合理的でもないことから、問題が発生する可能性のほうが高いという。ただ、ECBが2%を超えるインフレに対して、これまで以上に寛容になる可能性は十分あるとも指摘している。
ポンドドルは1.29ドル台での推移。ロンドン時間に1.28ドル台に下落する場面も見られたが、NY時間にかけて買い戻されており、1.29ドル台は維持している格好。EUとの貿易交渉に関連した様々な情報が錯そうしており、神経質になっている模様。ただ、ポンドを大きく動かす材料にはまだなっていない。
英・EUの交渉は見かけほど悪くはなく、当局者は合意に前向きとの報道も伝わっていた。双方とも10月15日の期限までに合意の見通しがなければ交渉を決裂することも辞さない構えを見せている。しかし、市場は期限後も交渉は継続されると見ているようだ。なお、15日にEU首脳会議が開催されるが、貿易交渉の期限であることは意識せず、どれだけ長くかかろうとも交渉を継続する予定だとも伝わっている。EU首脳会議は単なる整理の場でしかなく、交渉の妨げになることはないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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