ドル円は106円付近で上下動 米追加対策や米中対立に焦点=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は106円ちょうど付近で上下動している。ドル円は106.20円近辺に一時上昇したものの、再び上値の重い展開も見られ、105.70円付近まで下落する場面もみられた。その後は106円ちょうど付近で方向感なく上下動した。
引き続き米追加経済対策の行方や米中対立に市場の関心が向かっている。週末にトランプ大統領がパンデミックの支援策を継続させる大統領令を発令した。ホワイトハウスと民主党の追加経済対策の協議が依然として合意を見出すことができない中で大統領が決断した格好。失業給付の上乗せ措置や学生ローンの支払い延期、立ち退き延期、給与税支払い猶予の暫定措置などが盛り込まれている。ただ、与野党の対立点となっている、失業給付の上乗せ措置については従来の週600ドルから400ドルに減額した。
プログラム続行にはいづれ、議会の予算承認が必要となることから暫定的措置であり、与野党の合意待ちに変わりはない。ただ市場は、協議は難航しているものの、今月中には合意できるとの楽観的な見方も多いようだ。
また、米中対立についても依然としてエスカレートの様相が続いているものの、いまのところ市場は冷静に行方を見守っている印象だ。今週末の15日(土)にライトハイザーUSTR代表と中国の劉鶴副首相が会談を行う。その動向を見極めたい雰囲気も強いようだ。
夏休みシーズンで市場参加者も少なくなる中、ドル円は上値は重いものの下押す雰囲気までは見られていない。下値は105.50円、上値は106.50円が目先のメドとして意識される。
ユーロドルは1.17ドル半ばから後半で上下動。過熱感も見られる中で、先週末に米商品先物協会(CFTC)が発表したIMM投機筋の建玉報告でもユーロの買い越しが続き、ユーロドルのロングも相当積み上がっていることがうかがえ、上値追いにも慎重になって来ているようだ。ただ、ドル安はもうしばらく続くとの見方も一方で根強く、下値では押し目買いも相当程度観測され、1.17ドルちょうど付近での買い圧力はかなり強いと見られているようだ。
ポンドドルは序盤に1.3020ドル近辺まで下落していたものの、NY時間が本格化してくると、1.30台後半まで戻している。ポンドドルも上値が重くなって来ているものの、1.30ドルは強いサポートとなっているようだ。
今週は4-6月期の英GDPが発表され、歴代最悪の前期比で20.5%のマイナス成長が見込まれている。予想通りであれば、スペインの18.5%を超え、欧州ではパンデミックの影響を最も深刻に受けた国の1つとなりそうだ。英中銀が先週の英中銀金融政策委員会(MPC)で比較的楽観的な回復の見通しを示していたが、それにはEUとの貿易交渉や感染第2波の経済への影響の可能性は考慮されていない。その可能性も考慮すれば、2番底のシナリオも排除できず、W字型の回復になるリスクも想定されるとの声も聞かれる。英経済の先行きに対して、英中銀のシナリオほど楽観的になれない向きも少なくないようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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