今週のまとめ6月29日から7月3日の週
29日からの週は、円安、ドル安の動きが優勢だった。ただ、好悪材料が交錯するなかで日々の値動きは神経質に振れた。新型ウイルスの感染拡大の動きが露呈する一方で、経済活動再開やウイルス開発の話題が市場に安心感を与えた。中国全人代で香港に対する国家安全法が成立、7月1日から施行された。デモ隊から多くの逮捕者がでたが、香港・上海株は香港情勢の鎮静化期待で買われた。週を通して各国の株価指数は上昇している。原油高もあって豪ドルやポンドなどが対円、対ドルともに上昇。一方、ユーロは上値重く売買が交錯した。ポンドにとっては英政府のインフラ投資策が好感される一方で、EUとの通商交渉の難航が懸念材料だった。ユーロにとってはEU復興基金をめぐる意見の相違が表面化しており、来週の妥協案についても不安視されている。ドル円は108円台を付ける場面があったが、すぐに107円台での取引に戻している。
(29日)
東京市場では、ドル円が107円台前半での上下動。序盤はドル買いの動き。先週末の海外市場では新型コロナウイルスの感染拡大第2波への警戒感でドルが全面高となった。世界の感染者数が1000万人、死亡者数が50万人を超えたとの報道で、週明けの米株先物が続落、日経平均も大幅安で取引を開始した。ドル円はリスク回避の円買いが優勢にスタート。ただ、107円台を維持しており、その後に米株がプラス転、日経平均の下げ幅縮小などで買い戻しが入った。一時107.37レベルと先週末海外市場の高値を上回った。その後は上上昇一服。午後には再び下押しされ107.10付近まで下げた。ユーロドルがロンドン勢の本格参加を控えて買われ、1.1250台まで上昇。先週末のドル高に調整が入った格好。
ロンドン市場は、方向性がまちまち。ユーロ買いが強まる一方で、ポンドは売り方向に転じている。その狭間でドル円は107円台前半でのもみ合いに終始した。ユーロドルは東京市場から一段と買われ高値を1.1280台へと広げた。ユーロ円は120円台前半から後半へと上昇。一方、ポンドドルは1.2390レベルの高値をつけたあとは売りに転じ、安値を1.2317レベルに広げた。ポンド円は132.70近辺を高値に132円ちょうど近辺へと反落。ユーロ買い・ポンド売りが入り、ユーロポンドは0.91台乗せから0.9150台へと上伸している。このあとに独仏首脳会談が行われることとなっており、復興基金についての前進が期待されている。ポンドにとっては明日のジョンソン英首相演説での新たな政策への期待があるものの、EUとの通商交渉での強硬姿勢が警戒される面も。欧州株は高安、方向感が定まらない展開。
NY市場では、ドル買いの動きが優勢だった。ドル円は107円台後半へと一時上昇。先週末に急落した米株が反発しており、リスク回避の動きは後退。この日発表の米住宅指標が予想外に強かったことや、期末が接近していることでポジション調整の動きがでていたもよう。ユーロドルはNY時間に入ってからは戻り売りが優勢となり、1.12台前半へと反落した。欧州復興基金について、メルケル独首相は「なお抵抗が強い」と述べている。米国と比較すると欧州の感染第2波の動きは安定しており、ユーロ買い・ドル売り圧力につながっているとの見方があった。一方、中期的な欧州の回復力について疑問を投げかける味方もあり年末にかけてのユーロドル下落観測もでていた。ポンドドルは5月末以来の1.22台へと下落。対ユーロでも売られている。きょうからEUとの貿易交渉が再開。先週、バルニエEU首席交渉官が先週、交渉は「10月が正念場になる」と述べていたが、しばらくは双方の意見が対立し難航が予想される。明日のジョンソン英首相が発表する支援計画については期待もあるが、市場では財政赤字面での懸念もでていた。
(30日)
東京市場で、ドル円は107円台後半で推移した。107.80台まで上昇し、その後は107円台半ばが底堅かった。前日海外市場からの高値圏でのもみ合いとなっている。日経平均の上昇などを好感したドル買い・円売りが入ったが、前日高値には届かず値幅は限定的だった。ユーロドルは1.12台前半での推移。前日海外市場での上下動のあとで1.12台半ばが重い展開だった。ポンドドルは軟調。前日の海外市場では1.24台手前水準から1.22台半ばまで大幅に下げた。東京市場でもその余波が残り、戻りは1.23台前半で抑えられている。ポンドにとっては、EUとの通商交渉の難航見込みが重石となっている。
ロンドン市場は、ドル買いが優勢。中国全人代が国家安全法を成立させており、欧州や英国からは遺憾の意、警戒感などが表明される事態となっている。今後の不透明感から株式市場は不安定な値動きを示している。ユーロドルは一時1.12割れ、ポンドドルは1.2260近辺まで下押しされた。豪ドル/ドルは0.6833レベルまで一時下落。ドル指数は6月2日以来の高水準となっている。リスク回避のドル買いが前面に押し出されている。クロス円も上値重く推移。ユーロ円は120円台後半、ポンド円は132円台前半、豪ドル円は73円台後半などで東京市場での上昇を消した。ドル円はドルに連れ高となり107.80近辺まで買われたが、クロス円の売り圧力もあって上昇は限定的。107円台後半でもみ合った。ジョンソン英首相がインフラ整備について演説しているが目立った反応はみられていない。
NY市場で、ドル円は堅調に推移した。朝方には売りが入り107.50近辺まで下落したが、ロンドンフィキシングにかけて買いが強まり、その後の株高や米国債利回り上昇を背景に108円手前まで上昇した。クロス円の上昇を伴う動きで、円売りの面が強かったようだ。発表時には反応薄だったが、6月の米消費者信頼感指数は大幅な改善を見せていた。ユーロドルはNY時間に入って買い戻しの動き。1.12台半ばまで一時反発した。ユーロ円の120円台後半から121円台前半への上昇が反発を誘っていた。ポンドは堅調。対円、対ドルともに買われている。ポンドドルは1.24台手前へ、ポンド円は133円台後半まで上昇。ジョンソン英首相が「英国版ニューディール戦略」と呼ぶ、50億ポンド規模のインフラ投資加速を発表した。ただ、市場からは、インフラ投資に関しては3月の予算案で既に示されていたこともあり、それ自体へのポンドの反応は限定的に留まっている。
(1日)
東京市場で、ドル円は買いが続かず反落に。朝方は前日海外市場からの買いの流れを受けて108.16近辺まで高値を伸ばした。前日に上値を抑えられた108.00レベルを上抜けて一時買いが強まった。しかし、その後は売り方向に反転している。日経平均が反落する動きとともに108円割れから売りが加速、午後には107.50台まで下押しされた。ユーロ円も朝方には121円台半ばまで上昇したが、すぐに売り戻され、午後には120.70台まで下落した。ポンド円も同様に134円台手前から133円台割れまで下落。
ロンドン市場は、円買いが優勢。ドル円は東京市場からの軟調な流れが継続し、安値を107.40台に広げた。ユーロが軟調。ユーロ円は120円台前半へと下押し。ユーロドルは序盤に買い戻しがでたが1.12台半ばは重く、1.12台割れへと安値を広げた。対ポンドでもユーロ安の動き。この日発表された独仏ユーロ圏の6月製造業PMI確報値はいずれも上方改定された。また、6月の独雇用統計も予想よりも改善している。しかし、ユーロ売りが最も目立っていた。ポンドは比較的堅調で、対ドルでは一時1.24台乗せ、対円では133円台半ばへと小反発。ただ、欧州株や米株先物が次第に下げ幅を拡大するなかで上値は重くなっている。豪ドルや加ドルも原油高局面で高値を伸ばした後は、上昇を失っている。全般にリスク警戒感が再燃する状況。香港をめぐる国際情勢が不安材料。英国は中国の国家安全法は香港返還時の共同宣言に違反していると批判した。香港でのデモで多くの逮捕者が報じられている。
NY市場では、ドル売り・円売りの動き。この日発表になった6月の米ISM製造業景気指数が52.6と予想外に強い内容となったことから雰囲気が改善した。2019年2月以来の水準に上昇しており、世界経済減速への懸念が高まっていた新型ウイルス感染前以上に改善。ADP雇用統計も発表され、予想ほどではなかったが、改善傾向が続いている。特に前回分は大幅な減少だったが、大幅増に修正された。午後になってFOMC議事録が公表され、注目のイールドカーブコントロール(YCC)については、さらに分析必要との見解で一致していたことが明らかとなった。アリゾナ州やカリフォルニア州の1日の新規感染者は過去最多を記録しており、感染第2波への懸念は根強い。ただ、きょうは新型ウイルス向けのワクチン開発のニュースも流れ懸念も一服していたようだ。ドル円は107円台半ばでの上下動。ユーロ円は一時121円台乗せ、ポンド円は134円台乗せ。ユーロドルは1.1275近辺まで一時上昇。ポンドドルは1.24台後半まで上げ幅を拡大。
(2日)
東京市場は、動意薄の展開が続いた。このあと夜に米雇用統計の発表を控えており、積極的な売買は手控えられている。ドル円は107円台前半から半ばでのもみ合い。ユーロドルは1.12台半ばから後半での取引。香港・上海株式市場が堅調な動きをみせており、やや円売りの動きがみられた。国家安全法の施行で、香港での混乱収束への期待があるようだ。
ロンドン市場は、ドル売りが優勢。ユーロドルやポンドドルの上昇が流れを主導した。米株先物が時間外取引で上昇しており、欧州株も堅調な足取りを示している。ユーロドルは1.12台後半から一時1.13台乗せ。ポンドドルは1.24台後半からしっかりと1.25台に乗せた。クロス円も堅調。ユーロ円は121円付近から121.30台へとじり高、ポンド円は134円台前半から半ば超えへと上昇。ドル円は107円台前半から半ばで引き続きレンジ取引。米雇用統計発表を控えて欧州株高やドル売りの勢いは次第に落ち着いてきている。5月ユーロ圏失業率は7.4%と前回7.3%から小幅に悪化したが、事前予想7.7%ほどは上昇しなかった。来週には欧州基金についての妥協案について協議されるとの報道もあった。
NY市場では、振幅の後にドル買い優勢となった。ユーロドルやポンドドルは戻り売りに押される一方、ドル円はドル売り・円売りに挟まれて107円台半ばで膠着した。この日発表の米雇用統計が予想以上に強い内容となったことで、発表直後の為替市場は素直にドル買いの反応が見られた。非農業部門雇用者数は前月比480万人増加し、失業率は前月の13.3%から11.1%に改善した。その後、米株が大幅高で始まったこともあり、動きが一巡したあとは、今度はリスク選好のドル売りが出ている。しかし、フロリダ州の新規感染者が6.4%増と伝わると、次第にリスク回避のドル買いが強まる展開となった。米株、米国債利回りや原油などが急速に伸び悩んだ。原油は一時下げに転じた。ユーロドルは1.12台前半へ、ポンドドルは1.24台後半へと下押しされた。
(3日)
東京市場は、全般に小動き。ドル円は107円台半ばを中心とした狭いレンジでの揉み合いに終始した。朝方には円買いの動きで107.44レベルまで軟化。その後は株高が好感されて買い戻されたが、高値は107.57レベルまでにとどまった。昨日の米雇用統計の強い結果にも107.70台までの上昇と値動きは限定的だった。ユーロドルは1.12台前半と、前日に下落した後の安値付近で揉み合った。レンジは1.1228から1.1249レベル。米国が祝日とあって動意薄だった。
て動意薄だった。
ロンドン市場は、小動きのなか欧州通貨がやや売られている。米国が独立記念日の振り替え休日のためこの後のNY市場は休場となるなかで、全般に積極的な売買は手控えられている。その中では欧州株が軟調に推移しており、ユーロやポンドの上値が重い。ユーロドルは1.12台半ばから前半へ、ポンドドルは1.24台後半から前半へと下押し。クロス円でもユーロ円が120.60近辺、ポンド円が133.70近辺などへと安値を広げている。ドル円は107.50レベルを中心としたもみ合いに終始している。この日発表された独仏ユーロ圏の6月非製造業PMI確報値はいずれも速報値から上方改定された。センチメントの改善が示されている。ただ、仏を除くと引き続き50以下の水準。英国の6月非製造業PMI確報値もわずかに改善した。ただ、来週のEU復興基金をめぐる協議や英欧の通商交渉などいずれも難航が予想されている。
NY市場は、米独立記念日の振り替え休日のため休場。
執筆者 : MINKABU PRESS
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