米株高の中、ドル円は110円台回復 雰囲気の割には上値追いの勢い鈍い印象も=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は110円台を回復。この日発表の米経済指標が予想を上回る堅調な内容となったことや、米株が再び最高値を更新しており、ダウ平均の上げ幅が260ドルを超える中、ドル円は110円台に戻している。前日の米中合意の署名以降、109円台後半での狭い範囲での振幅が続いていたが、下値も堅かったことから買いが膨らんだ模様。
しかし、さすがに買い疲れもあるのか、きょうの相場の雰囲気の割には上値追いの勢いは鈍いようにも感じられる。直近高値の110.20円を勢いよく試す雰囲気までは見られなかった。
米中合意については、中国が米製品の購入を向こう2年間で2000億ドル増やすことや、それと引き換えに、中国製品への関税の一部引き下げで合意した。事前に伝わっていた内容とほぼ同様で目新しさはなく、市場の反応は限定的だった。第1段階の合意が成で、ひとまず安心感に繋がっているようだが、厄介な課題はなお山積みで、警戒は続くとの声も少なくない。
このような中、ロング勢も上値に慎重になっているのかもしれない。一方、ショート勢は戻り売りを試すタイミングを狙っている雰囲気もあり、米株の調整待ちといったところかもしれない。いずれにしろ、ドル円は110円台を回復しているものの、次のアクション待ちの雰囲気が強いものと思われる。
ユーロドルはNY時間に入って戻り売りが優勢となった。ロンドン時間には1.1170ドル付近まで上昇。200日線が1.1135ドル付近に来ているが、その付近に伸び悩んでいる。
きょうはECBが議事要旨を公表していた。ラガルド総裁が就任後初の理事会だったが、メンバーの一部は「現在の金融政策措置の副作用の可能性に注意が必要だ」と強調していたことが明らかとなった。また、現在の金融政策がユーロ圏経済に効果を及ぼす時間を与える必要があるとの認識も示していた。当面、ECBは政策を据え置く姿勢を示唆する内容でもある。
市場もECBの手詰まり感を既に認識しており、これ以上の追加緩和はハードルが高いと見ている向きが多い。そのような中、今月末の理事会での戦略見直しに焦点を集めているようだ。特に2%弱としているインフレ目標をどうするのか注目されている。
ポンドは買い戻しが強まり、ポンドドルは1.3080ドル近辺まで急速に買い戻された。本日の21日線は1.3070ドル付近に来ているが、その水準を回復する動き。市場は英中銀の利下げ期待を高めており、ポンドドルは売りが強まっていた。その状況に変化はなく、特にポンドを買い戻す特段の材料は見当たらなかったが、1.30ドル割れでの押し目買いが強かったことから、ショートカバーが出たのかもしれない。
市場では利下げを実施しても、英経済への効果は限定的との見方も出ている。英中銀はきょう、第4四半期の信用状況調査を発表していたが、信用の伸びは鈍化傾向が続いていることが示された。経済が低迷する中、企業の資金需要は鈍く、個人のクレジットカードの使用も手控えられている。この傾向は国民投票以降2年間続いているが、止まる気配を見せていない。市場の期待通りに英中銀が利下げを実施したとしも、資金需要自体が低迷している中では、その効果は期待ほどはないとも見られている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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