ドル円は110円台うかがう動き 米中の署名前に引き続きリスク選好のムード=NY為替概況
きょうもNY為替市場でドル円は買い優勢の展開が続いており、大きな心理的節目である110円台をうかがう展開を見せている。イラク情勢への懸念がひとまず緩和しており、リスク選好のムードも見られる中、米国債利回りの上昇がドル円をサポートしている模様。
今週は中国の劉鶴副首相が訪米し、第1段階の米中合意への署名が予定されている。詳細はどのようなものか15日までは不明だが、市場では引き続きリスク選好のムードを高めているようだ。ただ、合意内容もさることなら、トランプ大統領は第2段階の交渉をすぐに始めるとも言及しており、未知数な部分も多い。なお、ブルームバーグが関係者の話として、合意に向けて「中国を為替操作国から外す計画」と伝えていた。
先週の米雇用統計への反応も上値への自信を深めているのかもしれない。予想を下回る内容で、ドル円も戻り売りに押されたものの、109.50円水準がしっかりとサポートされていた。オプション絡みや、日本企業の想定為替レートからすれば、110円台での戻り売り圧力は相当強そうだが、回復すれば昨年5月以来となる。
ユーロドルの買いが優勢となり、一時1.1145ドル付近まで上昇し、200日線に顔合わせした。ユーロドルは先週、何度か1.10ドル台に値を落としていたが、押し目買いも入りサポートされていた。そのような中、予想を下回る米雇用統計を機にショートカバーが強まったようだ。
一部には米国債とドイツ国債の利回り格差に着目した指摘も出ている。10年債の利回り格差は2%に接近しており、2018年2月以来の水準まで縮小している。ドイツ国債の長期ゾーンの利回りが上昇し、イールドカーブはベア・スティープ化の動きが見られている。
きょうはポンドの売りが膨らみ、ポンドドルは1.29ドル台に下落。先週はカーニー英中銀総裁の発言で追加緩和期待が高まり、ポンドは戻り売りが強まっていた。EU離脱を巡る不透明感は依然として強いことに加え、英ファンダメンタルズへの懸念も台頭し始めている。そのような中、きょうの11月の月次GDPが予想外のマイナスとなったことで、その懸念が強まっている。さらに英中銀のブリハ委員が、総選挙以降も景気に改善の兆しが見られない場合、利下げに支持票を投じると述べたことで、ここに来て、今月末の利下げ期待が一気に高まる格好となった。
市場は1月の政策委員会での利下げ確率を50%まで高めている。ハスケル委員とソーンダーズ委員は既に利下げを主張しており、ブリハ委員が加われば少なくとも3名となる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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