イラン革命防衛隊の米軍へのミサイル攻撃で107円60銭台も、そこから切り返す
イラン革命防衛隊の米軍へのミサイル攻撃で107円60銭台も、そこから切り返す
ドル円は109円台に。米軍への人的被害がなかったこと、イランが行動を抑制との見方などが
一転してのドル買い円売りに
ミサイルは米軍やNATO軍の駐留するイラクの軍事基地に15発発射された模様
【東京市場】イランのミサイル攻撃報道で大きく振幅
ドル円は朝方一気に107円65銭まで値を落とす展開となった。イラン革命防衛隊が米軍やNATO軍が駐留するイラク基地をミサイル攻撃したことを受けて警戒感が一気に広がった。
15発のミサイル攻撃があり、4発がターゲットを外す失敗となった模様。米軍やNATO軍として駐留していたノルウェー軍などに人的被害はない模様で、ターゲットを外したミサイルによりイラク兵士が数名死亡したとの報道があった。
日経平均は一時600円を超える下落。アジア株も軒並みの大幅安となるなど、リスク警戒の動きが強まった。
しかし、午前中に動きが収まり、ドル円は全戻しの展開に。
米軍兵士に被害がない(米国発表・イラン側は米兵に被害と報道)こともあり、トランプ大統領の演説が現地時間7日夜ではなく、8日朝(日本時間8日夜)の実施となるなど、ある程度情勢に落ち着きがあると見られたこと。
イラン外相が均衡の取れた措置を実施と発言、大統領顧問がこれ以上の対抗なければ攻撃をしない、対抗してくるようだと全面戦争へと発言するなど、ここで状況が落ち着く可能性が示されたことで、ドルの買い戻しにつながっている。
その後、イランの首都テヘランの空港を出発したボーイング737機が離陸後に墜落と報じられ、警戒感が広がったが、技術的なものとの報道があり、影響は限定的に。
ドル円は一時108円40銭台と、ミサイル攻撃前の水準に戻してもみ合い。日経平均は275円安程度まで上げ幅を縮める場面が見られたが、その後売りが出ている。
クロス円の下げもあって、ユーロドル、ポンドドルはやや軟調も、こちらの値動きは限定的で、ユーロドルは23ポイントレンジ。
【ロンドン市場】ドル円しっかり
ドル円はミサイル攻撃前の水準を超えて108円台後半に。
中東情勢緊迫化懸念は継続も、イラン外相が
今回のミサイル攻撃はバランスの取れた対応としたことで
今後のさらなる軍事的な衝突への懸念が後退した。
ユーロドルが1.11台半ばから前半に押されるなど
ドルは全般に堅調。
【NY市場】トランプ大統領の声明受けてドル買い
トランプ大統領はイラン革命防衛隊のミサイル攻撃を受けて声明を発表。
米軍に人的被害がなかったこと(イラン側は米軍の被害を発表している)
イランが攻撃後に行動を抑制していると明らかにしたことなどを受けて
一気の軍事的衝突への動きは抑えられるとの見方が広がった。
ドル円は109円台にしっかりと乗せる動きに。
NY夕方にイラクバグダッドのグリーンゾーン(旧米軍管理領域)にロケット弾との報道で
高値からは調整も、109円台維持としっかり。
【本日の見通し】ドル円しっかり
トランプ大統領の発言を受けてドル円はしっかりの展開に。
イラン革命防衛隊の米軍へのミサイル攻撃を受けて注目された大統領の声明は
米軍に人的被害のなかったこと、
イランがその後行動を抑制していることなどを示し
経済的な追加制裁の姿勢を示したが
大規模軍事行動につながる姿勢が見られず
市場の安心感を誘った。
ドル円は109円台までしっかりと上昇。
ミサイル攻撃後の107円60銭台までの下げでいったん一服感が出たことも大きい。
上値期待の強い展開となりそう。
109円台半ばから110円にかけては依然売りが残っているとみられ
一本調子の上昇も難しいが流れは上方向か。
【本日の戦略】押し目買い
109円台半ばからの売りが見えているだけに突っ込んだ買いは避けたい
108円台後半からの買いを意識したいところ。
デイトレは早めの買いでの回転も。
地政学的な緊張が高い時だけに、ストップは短い時間でもしっかりと入れる。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《1/8 水曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 108.44 1.1153 120.93
高値 109.24 1.1168 121.38
安値 107.65 1.1102 120.17
終値 109.12 1.1105 121.18
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《1/8 水曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 23204.76 -370.96
DOW 28745.09 +161.41
S&P 3253.05 +15.87
Nasdaq 9129.24 +60.66
FTSE 7574.93 +1.08
DAX 13320.18 +93.35
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《1/8 水曜日の商品市場》
NY原油先物2月限(WTI)(終値)
1バレル=59.61(-3.09 -4.93%)
NY金先物2 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1560.20(-14.10 -0.90%)
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《1/8 水曜日に発表された主な経済指標》
【ユーロ圏】
ドイツ製造業新規受注(11月)16:00
結果 -1.3%
予想 0.2% 前回 0.2%(-0.4%から修正)(前月比)
結果 -6.5%
予想 -4.7% 前回 -5.6%(-5.5%から修正)(前年比)
消費者信頼感指数(確報値)(12月)19:00
結果 -0.25
予想 -0.18 前回 -0.21(-0.23から修正)(ユーロ圏業況判断指数)
結果 -8.1
予想 N/A 前回 -8.1(ユーロ圏消費者信頼感)
【米国】
MBA住宅ローン申請指数(12/28 – 01/03)21:00
結果 13.5%
予想 N/A 前回 -13.2%(前週比)
※12/27までの週-13.2%、12/20までの週-5.3%
ADP雇用者数(12月)22:15
結果 20.2万人
予想 16.0万人 前回 12.4万人(6.7万人から修正)(前月比)
米週間石油在庫統計(バレル・前週比)9日0:30
原油 +116.4万(4億3106万)
ガソリン +913.7万(2億5161万)
留出油 +533万(1億3905万)
(クッシング地区)
原油 -82.1万(3550万)
*()は在庫総量
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《1/8 水曜日のに発表された主なイベント・ニュースなど》
【中東】
*イラン
イラクのアル・アサド基地にミサイル13発を発射、殉教者ソレイマニ作戦を開始した。
*ザリフ・イラン外相
均衡の取れた措置を終了した、戦争は求めていない。
*イラン革命防衛隊
ミサイル攻撃は最初のステップ。
*トランプ大統領
イランの件のステートメントについて明朝(日本時間今晩)発表する。
*米当局者
イランからのミサイルは15発、4発は失敗。
*ボーイング737機が離陸後にイランで墜落、技術的問題。
*安倍首相
今週末の中東歴訪を中止。
*ハメネイ・イラン最高指導者
米国はイスラエルのためにレバノンのヒズボラを排除しようとしてる。
米国への平手打ち(攻撃)がソレイマニを弔う儀式。
米国の軍隊は中東地域から去れ。
米国はイランの敵だ。
イランの敵は米国、イスラエルと西側の傲慢なシステム。
*イラク首相府
連合側に負傷者の報告なし。
イランから攻撃前に口頭で通知受けた。
【ユーロ圏】
*フォンデアライエンEU委員長
2020年末まででは英欧の完全な合意には時間が足りない。
*ラガルドECB総裁
経済への最大の脅威は貿易の停滞。
ユーロ圏協調の財政刺激策は成長を支援。
英EU離脱の最大の課題はまだある。貿易協定。
フランスは赤字と負債を削減すべき。
ECBは気候変動への取り組みで一定の役割を果たす。
デジタル通貨の発行は積極的にも、消極的にも評価。
【英国】
*ジョンソン英首相
EU離脱の移行期間は延長しないと明確にしている。
【米国】
トランプ大統領
・イランの核兵器の所有は許されない。
・米国人は全く傷つかなかった。
・イランは攻撃後、行動を抑制しているもよう。
・米国は経済上の追加制裁を課す。
・ダメージは最小限に留まっている。
・我々は中東の石油は必要ない。
・イランが前進し、繁栄できるような取引が必要。
米10年債入札結果
最高落札利回り 1.869%(WI:1.853%)
応札倍率 2.45倍(前回2.43倍)
【その他】
世界銀行
・20年の世界経済成長率見通しを2.5%に下方修正。
・21年の世界経済成長率見通しを2.6%に下方修正。
・20年の米成長率見通しを上方修正、欧州と中国は下方修正
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《本日予定されている主な経済指標》
【豪州】
貿易収支(11月)9:30
予想 41.00億豪ドル 前回 45.02億ドル
【中国】
消費者物価指数(12月)10:30
予想 4.7% 前回 4.5%(前年比)
生産者物価指数(12月)10:30
予想 -0.4% 前回 -1.4%(前年比)
【ユーロ圏】
ドイツ鉱工業生産(11月)16:00
予想 0.8% 前回 -1.7%(前月比)
予想 -3.7% 前回 -5.3%(前年比)
ドイツ貿易収支(11月)16:00
予想 213億ユーロ 前回 213億ユーロ(215億ユーロから修正)
ドイツ経常収支(11月)16:00
予想 238億ユーロ 前回 227億ユーロ
ユーロ圏失業率(11月)19:00
予想 7.5% 前回 7.5%
【スイス】
小売売上高(11月)16:30
予想 N/A 前回 0.7%(前年比)
【南アフリカ】
SACCI景況感指数(12月)18:30
予想 N/A 前回 92.7
製造業生産高(11月)20:00
予想 -0.1% 前回 2.7%(前月比)
【ブラジル】
鉱工業生産(11月)21:00
予想 -0.8% 前回 1.0%(前年比)
【カナダ】
住宅着工件数(12月)22:15
予想 21.05万件 前回 20.13万件
住宅建設許可(11月)22:30
予想 1.0% 前回 -1.5%(前月比)
【米国】
新規失業保険申請件数(4日までの週)22:30
予想 22.0万件 前回 22.2万件
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員