【来週の注目材料】前回サプライズ的な弱さを見せた非農業雇用者数は回復期待?~米雇用統計
早いもので今年も半年が過ぎ、月曜日からは7月です。5日金曜日は6月の米雇用統計が発表されます。
前回の雇用統計は非農業部門雇用者数 (NFP) が予想を大きく下回るわずか7.5万人増となりました。
予想は17.5万人増でしたので、10万人も予想を下回るという数字。さらに前々回4月分の数字が速報時点での26.3万人増から22.4万人増に大きく下方修正されており、比較元が下方修正されているにもかかわらず予想を大きく下回る数字と、かなり厳しい水準になりました。
失業率は予想及び前回と同じ3.6%で49年ぶりの低水準を維持。
平均時給は前月比0.2%増、前年比3.1%増とともに予想を下回りました。
市場は予想外の雇用の弱さに、米国の利下げ期待を強める結果に。一時は6月のFOMCでの利下げまで意識される場面まで見られました。6月18日・19日のFOMC前には過度な利下げ期待は後退しましたが、7月末のFOMCでの利下げの織り込みが進む現状には
前回の雇用統計の弱い結果が影響していたとみられます。
前回の非農業部門雇用者数の詳細をみると、景気動向に比較的敏感で雇用の流動性も高い小売業が7600人減と、4カ月連続で雇用減を記録していることが気になります。
小売りは、デパートを除く総合小売りが堅調なほかは、全般に雇用が弱く、消費の減退が気になるところ。
その他の部門では情報、運輸などが弱く、医療・介護もいつもの強さがない印象です。運輸関連も比較的景気に敏感な部門で、やや気になります。
こうした状況を受けて、今回の見通しですが、予想は非農業部門雇用者数が15.8万人増と、前回からは回復の期待になっています。もっとも、前回、前々回が修正なしだと予想通りで3か月平均15.2万人と水準的には少し物足りないところ。
なお、先行指標として意識されながら、実際の雇用統計の変化との乖離が指摘されるADP雇用統計は14.0万人増の予想。前々回の本番同様の強さに続いて、前回は本番の雇用統計同様に予想を大きく下回る弱い結果となり、ここにきて先行指標としての面目躍如となっているだけに、予想通り戻せるかどうかも確認しておきたいところです。
なお、人材募集のオンライン広告などがこのところ低調という話もあり、米景気を支えてきた雇用市場の堅調さへの警戒が広がる中だけに、予想通りもしくはそれ以下の数字が出ると警戒感が広がります。7月の利下げ期待をもう一段引き上げる格好でドル売りが強まる可能性が高そうです。個人消費との関連が強い平均受給と合わせて注意したいところです。
minkabu PRESS編集部 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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