今週のまとめ6月24日から6月28日の週
24日からの週は、G20をにらんで調整主導の動き。28-29日の大阪G20サミットでは各国首脳が一堂に会するが、なかでも米中首脳会談に注目が集まった。実施は29日土曜日の午前11時半と発表されている。市場では期待感が先行した。一部報道では米中貿易戦争を休戦との見出しがあった。米高官らからは合意への期待発言もあった。一方、トランプ大統領が日米安保破棄の可能性に言及との報道など不安材料もでたが、市場は総じて期待先行。ドル円は106円台後半まで下押しされたあとは108円台乗せまでの動き。クロス円も総じて堅調だった。ドル円にはハト派の急先鋒となっているブラード・セントルイス連銀総裁が「7月の0.5%の利下げ期待は行き過ぎ」と述べたことがドル買いにつながった面もあった。米債利回りは低下から上昇へと流れが反転。個別通貨では、原油高を受けて豪ドルなど資源国通貨が堅調。ポンドでは次期英首相候補の筆頭であるジョンソン氏が合意なき離脱の可能性は百万分の一と発言したことが好感された。ただ、その後は懐疑的な見方もあって不安定な値動きだった。ユーロは対ドルで上昇一服、対円では堅調、対ポンドでは強保ち合いと値動きはまちまちだった。
(24日)
東京市場は、全般に小動き。ドル円は107円台前半での推移が続いた。週末のG20サミットをにらみ、様子見ムードが広がった。イラン情勢について、米国が本日にも新たな制裁と発表して警戒感が広がっているが、具体的な内容が伝わっておらず影響は限定的だった。豪ドルは堅調。ロウ豪中銀総裁が討論会の中で追加緩和の効果は限定的と発言し、豪ドル買いを誘った。豪ドル円は74円台後半へと上昇。ユーロ円は1.13台後半で揉み合い。
ロンドン市場では、ドル売りが優勢。ドル円は107.50手前から107.20台まで下落。ユーロドルは1.1370台から1.14目前まで上昇。イラン情勢などへの警戒感が強まる中でリスク警戒の動きが広がり、投資資金の米債シフト(債券価格上昇=利回り低下)につながった。ポンドは下に往って来い。ジョンソン前外相とパートナーとの諍いが通報騒ぎとなったことがポンド売りにつながる場面があった。ポンドドルは1.27台で振幅。トルコリラは一時買われた。イスタンブール市長のやり直し選挙で野党候補が大勝した。エルドアン大統領がこれを受け入れる姿勢を示したことが好感された。
NY市場では、ドル売りが優勢。ドル円は買い戻しの動きがみられたが、上値重く107円台前半に押し戻されている。107円台後半では売り注文が観測された。ユーロドルは買い優勢で、一時1.14台を回復する場面があった。1.14台乗せは今年3月以来。先週の米FOMCを受けて市場では米早期利下げ期待が強まっており、ドル売り圧力が根強い。この日はカプラン・ダラス連銀総裁が、利下げに踏みきれば不均衡を助長すると懸念を示したが、ドル買い反応は限定的だった。週末のG20を控えて動きにくい面も。ポンドは戻り鈍く、上値が重い展開。市場ではジョンソン前外相が次期首相に有力との見方から、合意無き離脱への警戒感も高まっている。
(25日)
東京市場で、ドル円が106円台に下落した。一時106円78銭まで下落し。1月3日以来の安値水準となった。米国の早期利下げ期待がドル売りを誘っているほか、トランプ大統領が日米安保破棄の可能性に言及との報道や、米国による制裁に対してイラン側が、外交的道筋を永遠に断つものと強く反発したことなどが背景。米紙が中国の複数の銀行が北朝鮮制裁がらみの違反と報じたことも、中国株の大幅安を誘った。ユーロドルは米債利回りの低下などを受けて1.1412近辺まで一時上昇も、その後1.13台に。ユーロ円は122円台半ば手前から一時121円85銭近辺まで下落した。
ロンドン市場は、ユーロが軟調。独10年債利回りが史上最低水準を更新したことに反応した。ユーロドルは1.14台を維持できず反落、安値を1.1377レベルに広げている。ユーロ円は安値を121.73レベルに広げた。デギンドスECB副総裁は、欧州の銀行の収益力は依然として弱い、マイナス金利が銀行に及ぼす影響を注視する、と述べた。売りが先行した欧州株は次第に下げ渋り。ただ、序盤に下げ一服となったドル円やクロス円は再び上値が重くなっている。ドル円は107円を挟む水準で上下動。ポンド円は136円台で上に往って来い。豪ドル円は買い戻し優勢も74.60台までと東京市場の下げを戻しきれず。ボルトン米大統領補佐官は、制裁などの圧力でイランは交渉の場に引きずり出されるだろう、と述べた。
NY市場では、ドル円が107円台に戻した。序盤は米新築住宅販売や米消費者信頼感指数が予想を大きく下回ったことからドル売りが強まり、ドル円は再び106円台に下落していた。米早期利下げ期待が極度に強まる中、米10年債は再び心理的節目の2%を下回って来ていることもドル円を圧迫。しかし、先日のFOMCで利下げ主張するなどハト派の急先鋒となっているブラード・セントルイス連銀総裁が「7月の0.5%の利下げ期待は行き過ぎ」と述べたことをきっかけにドル円は106円台から107.40付近まで反発。パウエルFRB議長講演では先日のFOMCの内容が繰り返された。ユーロドルは1.14台に乗せたあとは1.13台に押し戻された。ポンドドルも戻り売りに押されて1.26台に下落した。ドル買い優勢の展開だった。
(26日)
東京市場で、ドル円は107.50近辺で売買が交錯した。米債利回りが上昇したことがドル買い圧力となるなかで、ドル円は一時107.50レベルまで上昇。しかし、売り注文が厚く、107.40台で膠着状態となった。株安にもリスク警戒の動きは限定的だった。ユーロドルは1.13台後半での狭いレンジでの推移。NZドルは金利据え置きを決定した理事会声明で、今後の利下げの必要性を示唆した。瞬間のNZドル売りもすぐに反転、その後は買いが優勢になった。
ロンドン市場は、円売りが優勢。ムニューシン米財務長官が、米中首脳会談で合意みること期待している、との発言報道でムードが好転、欧州株が上昇に転換し、米株先物、米債利回りも上昇。ロス米商務長官からも、トランプ氏と習氏が通商協議を軌道に戻すことを期待、との発言があった。ドル円は107.75レベルに高値を更新。クロス円も堅調な動き。ドル相場はまちまちで、円相場主導の展開に。英議会での証言でカーニー英中銀総裁らは、貿易関連の見通しは英中銀の5月時点での経済予測から悪化、市場ではここ数か月で合意なき離脱見通しが極めて高まっている、経済見通しは合意なき離脱を前提としていないが、仮に合意なき離脱となった場合はより刺激的な金融政策となる公算が高いとしていた。そのなかで賃金の伸びが明るい面として指摘されていた。ポンドドルは一時1.27台を回復したが、上値は重く1.26台後半に押し戻されている。
NY市場では、方向感に欠ける上下動。ドル円は堅調。ムニューシン米財務長官の発言で米中貿易協議への期待感が広がり、ドル円は買いが優勢。NY後半には107.80台へと高値を伸ばした。ユーロドルは振幅。序盤に1.1350割れへと下押しも、ロンドンフィキシングにかけて買戻しが入り、1.1390近辺まで一時上昇。その後は1.13台後半で推移した。ポンドドルは1.26台後半での上下動で方向感に欠けた。米10年債利回りは2.04%台へと上昇しており、ドルの買戻し圧力となっていた。一方、米株は米中貿易協議への期待でプラス圏での取引が続いたが、ダウ平均とS&P500指数は終盤にかけて下げに転じた。ユーロ円122円台半ば、ポンド円136円台後半とやや円安の推移だった。
(27日)
東京市場は、ドル買い、円売りが優勢。香港紙が米中貿易戦争一時休戦と報じたことが材料視された。ドル円は107.70台から一気に108円台に乗せた。午後も買いが続き108.13レベルに高値を伸ばした。昨日のムニューシン財務長官による米中通商交渉は90%程度合意に近づいていた。などの発言を受けて米中首脳会談への期待感が高まっているところに、一時休戦報道が出たことで、市場の反応が大きめのものとなった。リスク警戒感の後退を誘う格好でユーロ円、豪ドル円などのクロス円もしっかり。 ユーロドルは1.1370台から1.1350割れまでと、ドル円以外でもドル買いの動き。
ロンドン市場は、円売りが一服。序盤に堅調だった欧州株や米株先物が売りに押され、一時下げに転じる動き。米10年債利回りも序盤に上昇したが、中盤にかけて前日比マイナスに転じた。一部報道によると中国は米国に対して制裁関税やファーウェイなどへの禁輸措置を撤回することを貿易戦争収束の条件として提示するという。中国側が強硬姿勢を維持するようだと物別れとなる可能性もある。ドル円は108円台乗せから107円台後半へと反落。ユーロ円や豪ドル円も東京市場での上げを戻す動き。そのなかで、ポンドは比較的堅調。次期英首相候補の筆頭であるジョンソン氏が、合意なき離脱の可能性は百万分の一だ、と発言。また、英紙サンによると、一部の親EU派議員が予算関連法案の修正により、合意なき離脱には下院の同意が必要との制限をつけることを提案しているという。
NY市場では、ドル円が戻り売りに押された。東京市場で一時108円台に乗せたドル円だが、ロンドン午前には107円台後半に反落、NY市場では107.70近辺まで下押しされた。東京時間には香港紙が、米中は報復合戦を暫定的に休戦と報じられ、市場に好感されたが、暫定休戦で合意したとしても、あくまで短期的なもので、今後も追加関税のリスクなど不透明感は長引くとの見方が次第に強まっている。ユーロドルは1.1370付近の狭いレンジでの揉み合い。ポンドドルは戻り売りに押されて1.26台へと再び軟化。ロンドン市場ではジョンソン氏が、合意なき離脱の可能性は百万分の一だ、と発言したことで1.27台乗せとなったが、NY市場では失速している。
(28日)
東京市場は、小動き。ドル円は107円台後半での揉み合いが続いた。今回のG20サミットで最も注目される米中首脳会談が明日午前11時半の開催と、市場がクローズしている時間帯のため、週末越えのポジション作成に慎重になっている。その他の首脳会談がいろいろと行われているが、相場を大きく動かすだけの材料は出ていない。ユーロドルは1.13台後半で15ポイントレンジ、主要通貨は軒並みの様子見ムードに。
ロンドン市場は、模様眺めムード。米中首脳会談を週末29日に控えて取引しにくい状況。ドル円は107円台後半での揉み合い。欧州株が買い先行となり、クロス円はやや円安の動き。特にユーロ円が122円台前半から後半へと上昇と買われた。フランス消費者物価が予想を上回る伸びを示したことに反応した。その後発表されたユーロ圏消費者物価指数速報値ではコア指数が前年比+1.1%と予想を上回ったが、これには目立った反応をみせなかった。ユーロドルは序盤に1.14台手前へと上昇後は高止まり。ポンドドルは1.26台後半での取引。英GDP確報値は速報値と同水準だった。豪ドル/ドルは0.70台前半での取引。株高とともに買い先行も値幅は限定的。
NY市場でドル円は107円台後半での推移が続いた。NY時間に入ってやや売りが出たものの、ロンドンフィキシングにかけ買いも見られた。きょうは第2四半期末の取引ということもあり、期末に絡んだ実需の動きも出ていたようだ。また、フィキシングを通過したあともドル買いが優勢となっており、107.90近辺まで一時上昇。ただ、108円台に近づくと戻り売り圧力も強まるようだ。全体的には狭い範囲での振幅に終始している。明日の米中首脳会談の結果待ちでポジションを傾ける雰囲気はない。108円台には慎重なものの107.50水準は維持しており自律反発の流れを続けている。
執筆者 : MINKABU PRESS
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