ドル円は142円台前半に下落 先行きへの不透明感も=NY為替概況
ドル円は142円台前半に下落 先行きへの不透明感も=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル買い戻しが続いたものの、円高の動きも強くドル円は142円台前半に下落。上値の重い展開が続いている。本日は原油相場が急落し、WTIが一時65ドル台まで下落する中、米国債利回りの下げがドル円を圧迫していた模様。この日の中国の貿易統計で輸入が予想を大きく下回っており、原油需要の先行きへの不透明感を高めたようだ。
米株式市場はIT・ハイテク株は堅調に推移したものの、今年に入って堅調に推移していた大手銀株が売りに押されたほか、エネルギー、産業も下落し、経済への不透明感が出ている。そのような中、為替市場はドル高・円高の動きが見られた。
ユーロドルは売りが優勢となり、1.10ドル台前半に下落。9月3日に付けた直近安値を下回っており、下値警戒感を高める動きとなった。目先は心理的節目の1.10ドル割れを試に行くか注目される。
ユーロに関しては来週のECB理事会に注目が集まっており、利下げが確実視されている。市場ではECBは四半期ごとの利下げペースを堅持するとの見方を有力視しているが、声明やラガルド総裁が追加利下げに十分なインフレの進展を示唆した場合、ユーロは最近の値上がりの一部を失う可能性があるとの指摘が出ている。
ユーロ圏のインフレは鈍化しており、FRBの年内どこかでの大幅利下げ観測を踏まえると、ECBも予想以上の利下げ観測が高まる余地があるという。しかし、ECBはFRBとは異なり物価安定のみが責務となっている。そのため、ECBが今後数カ月でインフレが勢いを吹き返す可能性が僅かでもあると考えるのであれば、早期利下げを考える必要はないという。
ポンドドルも売りが優勢となり、1.3050ドル付近まで一時下落。本日の21日線が1.3080ドル付近に来ているが、その水準を下回る動きも見られ、下値警戒感が高まっている。きょうは英雇用統計が発表になっていたが、賃金上昇に鈍化の兆候が見られていた。しかし、英中銀がそれをもって利下げに踏み切る可能性はないとの指摘も出ていた。5-7月の3カ月間の週平均賃金(除く賞与)は5.1%増と、前回の5.4%からは緩和した。
これはインフレが再び抑制されつつあることを示す新たな兆候と受け止められるが、失業率は低下傾向にあることから、英中銀は来週の金融政策委員会(MPC)で連続利下げに踏み切ることはないという。11月の0.25%ポイントの追加利下げを見込んでいるようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。