【来週の注目材料】米雇用統計は弱めの数字が見込まれる

【来週の注目材料】米雇用統計は弱めの数字が見込まれる

　30日に6月の米雇用動態調査(JOLTS)求人件数、31日に7月のADP雇用者数、1日に7月のISM製造業景気指数、2日に7月の米雇用統計の発表が予定されています。

　前回6月の雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が前月比+20.6万人と、市場予想の+19.1万人を上回る伸びとなりましたが、5月分が+27.2万人から+21.8万人、4月分が+16.5万人から+10.8万人に大きく下方修正され、直近3カ月平均で+17.7万人と2021年1月以来の低水準となりました。また、6月も予想を上回っているとはいえ、景気との関連が薄い政府部門が+7.0万人となっており、民間部門は+13.6万人と市場予想の+16.0万人を下回っています。
　失業率は4.1%と市場予想及び5月の4.0%から悪化、平均時給は市場予想と一致も前月比+0.3%、前年比+3.9%と5月の+0.4%、+4.1%から伸びが鈍化しています。

　非農業部門雇用者数の内訳をみると、小売業が-0.9万人と雇用減となりました。運輸・倉庫は+0.7万人と小幅増加。景気に敏感で雇用の流動性の大きい両部門の冴えない結果は、米雇用市場への警戒につながりました。教育・医療部門は+8.2万人と5月の+8.1万人に続いて好結果。しかし娯楽接客業が+0.7万人と厳しい結果になりました。なかでも単体で1200万人以上の雇用者を抱える飲食部門が－0.31万人と雇用減となり全体を押し下げています。こちらも景気に敏感で雇用の流動性の大きい部門で、雇用市場のゆるみが意識される結果となっています。

　関連指標はまだ出そろっていませんが、週間ベースの新規失業保険申請件数をみると、雇用統計と調査対象期間の重なる12日を含む週の結果が、6月は+23.9万件、7月は+24.5万件と、7月が悪化も小幅という状況です。

　30日の米雇用動態調査(JOLTS)は前回の改善が続くかがポイントです。前回5月分は814万件と予想の791万件を大きく上回りました。3月、4月と減少が目立っていたため、一息ついたという印象。今回も前回程度の数字が見込まれています。

　31日のADP雇用者数は前回の+15.0万人を超える+16.8万人程度が見込まれています。
　1日のISM製造業は49.0と前回6月の48.5からの改善が期待されています。前回は5月の48.7から改善し49.1に上昇と見込まれていましたが、結果は悪化となりました。今回予想通り改善を見せると、米景気先行き不透明感が一服する可能性があります。内訳のうち5月の51.1から49.3に低下した雇用部門の数字にも注目です。

　7月の雇用統計の市場予想は、非農業部門雇用者数が+17.5万人に悪化するとみられています。失業率は前回と同じ4.1%予想、平均時給は前月比が+0.3%で前回と同水準、前年比が+3.7%で前回の+3.9%から伸びが鈍化見込みです。

　予想を下回って15万人以下の伸びなどが見られると、年内3回利下げ期待が強まる形でドルが一気に売られる可能性があります。
　
MINKABUPRESS　山岡