パウエル講演を受けてドル売り再開 ドル円は146円台に再び下落=NY為替概況
パウエル講演を受けてドル売り再開 ドル円は146円台に再び下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は146円台に下落している。本日の100日線が147.15円付近に来ており、再びその水準を下回る展開。この日はパウエルFRB議長の講演が行われ、それを受けて米国債利回りが低下し、ドル円も戻り売りが強まった。
議長は「金融緩和の時期を推測するのは時期尚早。適切であれば追加引き締めの用意」とこれまでのタカ派的な発言を繰り返した。ただ、「政策金利は抑制的な領域に深く入った」とも述べている。以前はこの点を「いまは抑制的過ぎる証拠はない」と述べていた。
予想通りに利下げ期待は否定し、追加利上げの可能性も残している。しかし、以前よりは若干ハト派に寄った印象もあり、甲乙付け難い内容ではあった。ただ、市場の利上げサイクル終了と来年の利下げ期待に変化はない。
ユーロドルは一時1.0830ドル付近まで下落していたものの、パウエル議長の講演を受けて買い戻しが強まり、1.08ドル台後半に戻した。本日の21日線が1.0840ドル付近、200日線が1.0820ドル付近に来ているが、それらの水準はサポートされた格好。
前日のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が予想を下回り、前年比2.4%とECBの2%目標に迫っている。それを受けて短期金融市場では4月のECBの利下げ開始を完全に織り込む動きが出ている。これまでECB理事から利上げ終了の示唆はあったものの、利下げへの言及まではほとんど無かった。
しかし、本日はビルロワドガロー仏中銀総裁から「現時点で利下げを検討する用意はないが、来年のある時点でその問題を検証することになるだろう」との言及が出た。「何らかの衝撃がない限り、利上げはもはや完了している」とも述べていた。
ポンドドルも買い戻しを強めた。一時1.26ドル台前半に下落していたが、1.27ドル台を回復している。ポンドは対ユーロでも上昇。市場からは、英中銀よりもECBのほうが先に利下げを開始することが予想されることから対ユーロでのポンド買いを推奨する声が出ている。今週のユーロ圏消費者物価指数(HICP)とベイリー英中銀総裁の「利下げ検討は時期尚早」との発言を要因として挙げていた。
英中銀の利下げがECBの利下げに遅れるという予想が維持されるという前提に立てば、ポンドは今後数カ月で若干の追加的な支持を得られるという。短期金融市場ではいまのところ、ECBの利下げ開始は4月、英中銀は6月以降で織り込んでいる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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