ドル円調整も限定的、米長期金利上昇がドルを支える
ドル円調整も限定的、米長期金利上昇がドルを支える
ユーロドルは1.18台へ、ドル高基調が優勢に
週末のアーバル・トルコ中銀総裁解任でリラが週明けに急落
【東京市場】日銀会合後、ドル円値を落とす
政策点検の発表もあり注目を集めた日銀金融政策会合。
日銀はETF購入について、原則年6兆円の目安を廃止、
株価急落時に集中的に購入とした。Jリートも購入ペースの年900億円を廃止した。
注目された変動幅について、プラスマイナス0.25%程度と明示。
これまでの明記されていないものの0.2%程度という状況からより柔軟なものとした。
東京午前に109円13銭前後を付けるなどドル高円安が優勢となっていたドル円は
会合後108円83銭まで下落し、108円90銭前後での推移に。
【ロンドン市場】米債利回り低下がドル売り誘う
米債利回りが朝方低下。10年債利回りが一時1.67%を割り込む中、
ドル円が108円61銭前後を付ける動きに。
その後利回りの下げ渋りを受けて108円80銭前後へ。
黒田総裁は会見で変動幅について拡大ではなく、これまで明示していなかったものの明確化と説明した。
ユーロドルは序盤のドル売りで1.1900前後から1.1937前後まで上昇も
その後の下げ渋りに1.1891前後まで値を大津などし抜く。
ドイツの新型コロナ感染者数の急拡大が懸念された。
【NY市場】朝方109円台を回復
米債利回りが一時1.75%前後まで上昇しドル買いを誘った。
米FRBがパンデミック対応で実施していたSLR(補完的レバレッジ比率)の条件緩和措置を
今月いっぱいで予定通り解消することを示したことで利回りが上昇しドル買いに。
ただ、ドル円は109円台を維持出来ず108円80銭台で週のとr引きを終えている。
ユーロドルが一時1.18台に値を落とすなどドル買いの動きが優勢に。
【週末】エルドアン大統領、アーバル・トルコ中銀総裁を解任
エルドアン大統領、アーバル・トルコ中銀総裁を解任
これを受けて週明けリラは大きく急落して始まる
【本日の見通し】ドル円はもみ合いか、長期金利動向にらみ変わらず、トルコリラへの警戒感
ドル円は米長期金利動向をにらみながらの展開が続く。
ベンチマークとなる米10年債利回りは先週末一時1.75%前後まで上昇する場面が見られ、
長期金利の上昇傾向が継続。
日銀が長期金利の変動容認幅を拡大(黒田総裁によると明確化であり拡大ではない)したが
金利差拡大の流れは変わらずで、ドル円は上方向の意識が続きそう。
トルコリラには要注意。
週末にエルドアン大統領はアーバル総裁を解任した。
昨年11月の就任以来インフレ対応で利上げを続け
先週の中銀理事会でも予想を超える2%の利上げに踏み切った総裁と
低金利志向を示している大統領との対立があったと見られる。
就任から5か月もたずの解任で市場では警戒感が広がっている。
リラは週明け一気に急落。その他のクロス円への波及も警戒。
【本日の戦略】ドル買いの流れ
ドル買いの流れが強まっている。
ドル円は108円台後半での推移から再び109円台をうかがう動きか。
米長期金利の上昇傾向が変わらず、ドル円は下がると買いが出る流れ。
トルコリラは当面不安定になりそう。
週明け一気の急落からの対応が難しい。新規ポジションは慎重に。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《3/19 金曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 108.89 1.1915 129.75
高値 109.13 1.1937 130.00
安値 108.61 1.1874 129.32
終値 108.88 1.1904 129.62
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《3/19 金曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 29792.05 -424.70
DOW 32627.97 -234.33
S&P 3913.10 -2.36
Nasdaq 13215.24 +99.07
FTSE 6708.71 -70.97
DAX 14621.00 -154.52
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《3/19 金曜日の商品市場》
NY原油先物4月限(WTI)(終値)
1バレル=61.42(+1.42 +2.37%)
NY金先物6月限(COMEX)(終値)
1オンス=1743.90(+9.30 +0.54%)
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《3/19 金曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
消費者物価指数(2月)08:30
結果 -0.4%
予想 -0.4% 前回 -0.6%(前年比)
結果 -0.4%
予想 -0.4% 前回 -0.6%(生鮮食料品除くコア・前年比)
日銀政策金利(3月)12:39
結果 -0.1%
予想 -0.1% 前回 -0.1%(日銀政策金利)
【英国】
GfK消費者信頼感調査(3月)09:01
結果 -16.0
予想 -20.0 前回 -23.0(GfK消費者信頼感調査)
公共部門ネット負債(2月)16:00
結果 184.0億ポンド
予想 202.0億ポンド 前回 24.0億ポンド(80.0億ポンドから修正)
【豪州】
小売売上高(速報値)(2月)09:30
結果 -1.1%
予想 0.6% 前回 0.5%(前月比)
【ユーロ圏】
ドイツ生産者物価指数(2月)16:00
結果 0.7%
予想 0.8% 前回 1.4%(前月比)
結果 1.9%
予想 2.0% 前回 0.9%(前年比)
【カナダ】
小売売上高(1月)21:30
結果 -1.1%
予想 -3.0% 前回 -3.7%(-3.4%から修正)(前月比)
結果 -1.2%
予想 -2.7% 前回 -3.9%(-4.1%から修正)(コア・前月比)
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《3/19 金曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【日本】
*日銀金融政策決定会合
10年金利の変動許容幅は上下ともに0.25%ポイント程度
10年物国債金利の目標を0%程度に据え置き
政策金利を-0.1%に据え置き
ETF購入、年間約12兆円の上限を維持
ETF購入、年間約6兆円の原則を削除
必要なら躊躇なく追加緩和
*黒田日銀総裁
長期金利の変動幅は上下0.25%程度であること明確化する。
必要な場合に金利の上限画すため連続指値オペ制度を導入。
超長期金利の過度な低下、経済活動に悪影響及ぼす可能性。
貸出支援基金・被災地オペの付利はゼロ%、貸出促進付利制度。
付利はコロナオペが0.1%と0.2%の2分類、貸出促進付利制度。
短期政策金利に連動する貸出促進付利制度を創設する。
貸出促進付利制度の導入でより機動的な長短金利下げ可能に。
ETF、市場が大きく不安定化時に大規模買い入れ効果的。
ETF・J-REIT購入の上限、感染症収束後も継続。
構成銘柄最も多いTOPIXに連動するもののみを買い入れ。
日本経済、基調としては持ち直している。
日本経済、外需回復や緩和的な金融環境などで改善傾向たどる。
コロナの帰趨、内外経済への影響は不確実性が大きい。
金融仲介機能が円滑に発揮されるか注意が必要。
引き続き企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努める。
コロナの影響注視、必要なら躊躇なく追加緩和措置講じる。
長期金利変動幅変更、表現明確化であり拡大ではない。
金利変動、一定範囲内なら緩和効果損なわず市場機能にプラス。
貸出促進付利制度、短期政策金利と連動するようにする。
貸出促進付利制度、金融機関の貸出を促進する仕組み。
ETF買い入れ減らしたり、出口を考えているわけでない。
ETF購入で株式市場の機能が損なわれていることない。
新付利制度でマイナス金利深掘りによる貸出制約を軽減。
マイナス金利深掘りできないことない、付利制度で可能に。
長期金利上昇によって緩和効果下がることは絶対避ける。
一定の金利変動は国債市場の機能度を高める観点で適当。
為替、今の時点で大きな問題あるとは考えてない。
為替、ファンダメンタルズ反映して安定が望ましい。
*日銀
4月以降の国債買い入れ予定、レンジ形式でなく特定の金額示すことに変更。
【米国】
*FRB
補完的レバレッジ比率の条件緩和措置、3月31日に終了。
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《本日予定されている主な経済指標》
【日本】
景気先行指数・確報値(1月)14:00
予想 N/A 前回 99.1
景気一致指数・確報値(1月)14:00
予想 N/A 前回 91.7
【香港】
国際収支(第4四半期)17:30
予想 N/A 前回 975.3億香港ドル(965.4億香港ドルから修正)(経常収支)
予想 N/A 前回 192.5億香港ドル(総額)
消費者物価指数(2月)17:30
予想 1.1% 前回 1.9%(前年比)
【ユーロ圏】
ユーロ圏経常収支(1月)18:00
予想 前回 367億ユーロ(季調済)
【米国】
中古住宅販売件数(2月)23:00
予想 650万件 前回 669万件
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員