ECBは警戒感示す、理事会後一時ユーロ売りも反発
ECBは警戒感示す、理事会後一時ユーロ売りも反発
米30年債の無難な結果によるドル売りなどがユーロドルの支え
ドル円はもみ合い。108円台での推移
【東京市場】午後にかけて円安進行
108円40銭前後で東京朝を迎えると、朝方は安値圏でもみ合いも、その後ドル高円安の動きが強まる展開となった。
午後に入って108円50銭台を中心としてもみ合いが続いた後、
ロンドン勢の本格参加を前に円売りの動きが広がり、ドル円は108円80銭近くまで上値を伸ばした。
クロス円も軒並みの上昇。アジア株の堅調な動きを受けたリスク選好の円売りなどが支えとなったと見られる。
ユーロ円は朝方の129円.30銭前後から昼前に129円台半ば超えまで。
その後129円台半ば前後でもみ合いとなったが、午後に入っての円売りに129円69銭まで。
朝方150円台を付けていたポンド円は151円台半ば超えと、クロス円は軒並みの大きな上昇となった。
【ロンドン市場】米債利回りの低下がドル売りを誘う
ロンドン勢の本格参加前にドル買いの動きが本格化。ドル円は108円80銭台を付ける動きとなった。
しかしその後は一転してドル売りの動きに。
米債利回りの低下が目立つ展開となり、ベンチマークとなる米10年債利回りが一時1.48%前後まで低下する中で、108円38銭まで値を落とした。
ユーロドルが1.1910台から1.1980台まで上昇するなど、ドルは全面安の動きに。
ドル売りが進んだ後は米債利回りの低下がおちついたが、買い戻しの動きは目立たず。ドル円は108円50銭前後での推移に。
ECB理事会を前に、積極的なドル売りを手控える動きも、戻りは鈍い。
【NY市場】ECBは警戒感示す
ドル円は108円台半ばでのもみ合い
ECB理事会は長期金利の上昇について警戒感を示し
PEPPでの債券購入を第2四半期から増加するなどの対応を示した。
これを受けてユーロドルは1.1970前後から1.1910台を付けたが
その後買い戻しが入り、1.1990前後まで。
米30年債の入札が無難にこなされ債券買い(利回り低下)となったことでのドル売りも。
【本日の見通し】ユーロドル比較的しっかり
注目されたECB理事会では長期金利上昇への警戒感が示されたこともあり
発表後はユーロ売りの動き。
PEPPでの債券購入のペースについてもかなり速いペースという表現で
強化することが示され、金利上昇抑制の姿勢が示された。
ユーロドルはこの結果受けていったん売りが入り1.1920台を付けるも
その後1.1990近くまで買い戻しが入るなどしっかりとなっている。
ユーロドルの堅調さが意識されており、今日はしっかりの展開か。
ユーロドルでのユーロ買いドル売りもあってドル円も上値が重くなりそう。
108円台半ばを中心としたレンジ取引が見込まれる。
【本日の戦略】週末もあり様子見も
ドル円は108円台でのレンジ取引が中心か。
週末でもありスウィングは様子見も。
デイトレ破壊からの回転を意識も持ちすぎない。
ユーロドルは1.19台でのレンジを中心に1.20超えを意識。
ECB理事会後に下げたとはいえ材料的にはもう少し下げてもよく、その後回復と
しっかり感からデイトレ、スウィングともに買いからの動きを意識。
ただし週末でもあり無理をせず。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《3/11 木曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 108.38 1.1929 129.29
高値 108.81 1.1990 130.06
安値 108.36 1.1916 129.23
終値 108.51 1.1986 130.06
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《3/11 木曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 29211.64 +175.08
DOW 32485.59 +188.57
S&P 3939.34 +40.53
Nasdaq 13398.67 +329.84
FTSE 6736.96 +11.36
DAX 14569.39 +29.14
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《3/11 木曜日の商品市場》
NY原油先物4月限(WTI)(終値)
1バレル=66.02(+1.58 +2.45%)
NY金先物4月限(COMEX)(終値)
1オンス=1722.60(+0.80 +0.05%)
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《3/11 木曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
国内企業物価(2月)08:50
結果 0.4%
予想 0.5% 前回 0.5%(0.4%から修正)(前月比)
結果 -0.7%
予想 -0.7% 前回 -1.5%(-1.6%から修正)(前年比)
【英国】
RICS住宅価格指数(2月)09:01
結果 52.0%
予想 45.0% 前回 49.0%(50.0%から修正)(RICS住宅価格指数)
【南アフリカ】
製造業生産高(1月)20:00
結果 0.5%
予想 -0.7% 前回 0.6%(-0.1%から修正)(前月比)
【ユーロ圏】
ECB政策金利 21:45
結果 0.0%
予想 0.0% 前回 0.0%
【米国】
新規失業保険申請件数(6日までの週)22:30
結果 71.2万件
予想 72.5万件 前回 75.4万件(74.5万件から修正)(前週比)
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《3/11 木曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
*ECB声明
PEPPの規模を1.85兆ユーロに維持。
PEPPの購入ペースを次の四半期で大きく加速。
PEPPの全額を使うとは限らない。
インフレが持続的目標に向かうことが確実になるよう、必要に応じてあらゆる政策手段を調整する用意。
*ラガルドECB総裁
短期の見通しは不確実
中期的なインフレ見通しはおおむね変わっていない
時期尚早の引き締めは望ましくない
必要に応じてあらゆる政策手段を調整する用意がある
為替の動向を引き続き監視する
債券購入の加速で具体的な数字は念頭にない
債券購入ペースの加速はコンセンサスで決定
PEPPの購入ペースの四半期の判断は非常に勝手が良い。
来週の月曜日に債券購入を大幅に増やすことは見込んでいない。
ECBはイールドカーブコントロールを行っていない。
ECBは一時的なインフレ急上昇は重視しない。
ECBは為替レートを目標にしてはいない。
インフレへの影響の点で為替レートを注視。
*ECBスタッフ予測
2021年の経済成長見通しを12月予想の3.9%から4.0%に引き上げ
2022年は12月予想の4.2%から4.1%に引き下げ
2023年は12月予想の2.1%に据え置き
2021年のインフレ見通しを12月予想の1.0%から1.5%に引き上げ、
2022年は12月予想の1.1%から1.2%に引き上げ
2023年は12月予想の1.4%に据え置き
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《本日予定されている主な経済指標》
【英国】
鉱工業生産(1月)16:00
予想 -1.0% 前回 0.2%(前月比)
予想 -4.4% 前回 -3.3%(前年比)
製造業生産高(1月)16:00
予想 -1.0% 前回 0.3%(前月比)
予想 -3.7% 前回 -2.5%(前年比)
商品貿易収支(1月)16:00
予想 -125.01億ポンド 前回 -143.15億ポンド
【ユーロ圏】
ドイツ消費者物価指数・確報値(2月)16:00
予想 0.7% 前回 0.7%(前月比)
予想 1.3% 前回 1.3%(前年比)
ドイツ調和消費者物価指数・確報値(2月)16:00
予想 0.6% 前回 0.6%(前月比)
予想 1.6% 前回 1.6%(前年比)
ユーロ圏鉱工業生産指数(1月)19:00
予想 0.3% 前回 -1.6%(前月比)
予想 -2.2% 前回 -0.8%(前年比)
【香港】
鉱工業生産指数(第4四半期)17:30
予想 N/A 前回 -7.4%(前年比)
生産者物価指数(第4四半期)17:30
予想 N/A 前回 3.8%(前年比)
【インド】
鉱工業生産(1月)21:00
予想 1.0% 前回 1.0%(前年比)
【ブラジル】
小売売上高(1月)21:00
予想 0.1% 前回 1.2%(前年比)
【カナダ】
失業率(2月)22:30
予想 9.2% 前回 9.4%
雇用者数(2月)22:30
予想 7.50万人 前回 -21.28万人
【米国】
生産者物価指数(2月)22:30
予想 0.4% 前回 1.3%(前月比)
予想 2.7% 前回 1.7%(前年比)
予想 0.2% 前回 1.2%(食品エネルギー除くコア・前月比)
予想 2.6% 前回 2.0%(食品エネルギー除くコア・前年比)
ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値(3月)13日0:00
予想 78.5 前回 76.8
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員