雇用統計まではドル買い進むも、弱めの雇用統計でドル売りに
雇用統計まではドル買い進むも、弱めの雇用統計でドル売りに
非農業部門雇用者数が予想を下回ったうえに、前回値が大きく下方修正
失業率は大きく低下も労働参加率も低下
【東京市場】ドルは高値圏もみ合い
昨日の海外市場で105円台半ば超えまで上昇したドル円。
東京市場に入ってもドル高の意識が継続し、朝方105円64銭までと上値を伸ばした。
もっともその後は少し調整が入りもみ合いに。押し目は105円46銭までにとどまっており、下値しっかり感がかなり強いものの、
今晩の米雇用統計などを控えて上値での買いにやや慎重姿勢が見られ、105円50銭台を中心としたもみ合いが午後まで続いた。
昨日節目の1.2000を割り込み、1.1950台までユーロ売りドル買いが進んだユーロドルは、
朝方1.1957前後とNY夕方の安値に並んだあと、いったん調整が入るも1.1972までと、こちらもドル買いの意欲が強い展開。
昼頃に1.1952前後までとNY市場の安値を割り込む動きを見せたが、1.1950割れには至らず、安値圏もみ合いが続いている。
【ロンドン市場】雇用統計控えもみ合い
この後の米雇用統計発表を前にもみ合いに。
ドル円は高値を更新する展開。
朝多賀は東京の高値からの調整が入りドル円が105円30銭台に値を落とすなどの場面も、
その後ドル高円安が強まり105円60銭台に。
米上院の予算計画可決が追加経済対策期待となり
株高円安の動きも。
ユーロドルは1.1980台まで上昇。その後の押し目は1.1970割れまでと上昇基調が続いた。
【NY市場】雇用統計は弱め
米雇用統計前に105円77銭を付けるなど円安の動きが優勢に。
ユーロドルはもみ合いで円安主導での動き。
米雇用統計は非農業部門雇用者数が予想を下回ったうえに、前回値が大きく下方修正され
かなり弱めの印象に。
12月は持ち直しを見せた小売業が11月に続く悪化、
レジャー&ホスピタリティ部門の続落などの動きが見られた。
失業率は予想よりも強め(低下)も、労働参加率が悪化しており強めの材料とはならず。
ドル円は瞬間105円台半ば割れを付けていったん戻したものの、再びのドル売りとなり
105円30銭台まで。
ユーロドルは1.20を超えて買いに弾みがつき、1.2050手前まで。
【本日の見通し】雇用統計受けて警戒感も、米追加経済対策への期待も
注目された先週末の米雇用統計は期待外れの結果となった。
数字自体も予想を下回り、前回値の大幅な下方修正もあり、印象はあまりよくないものの。
前哨戦となるADPやISM雇用指数の強さから、先週初め時手に比べて直前の予想がかなり強めに修正されていただけに
弱めの数字に対する失望感が、先週末ロンドン市場からのドル高に対する調整につながった。
週明けもいったんは調整ムードが広がる可能性。
ユーロドルは1.20をしっかり割り込んで下を意識していたところから
一転しての回復となっており、ドル高一服感が強そう。
ただ、雇用が弱めに出たことでイエレン財務長官などによる追加対策姿勢が強化される可能性がある。
先週上院で予算決議案が可決しており、下院での採決を経て承認される見込みとなるなど
ここにきて追加対策期待が広がっており、ドル円などで下がったところでは買いが出る流れか。
【本日の戦略】押し目買い
雇用統計を受けてドル買いに慎重姿勢が見られるようだと
少し大きめの調整も。
ただ、流れ的にはまだ上方向と見ており、押し目を丁寧に拾いたい。
スウィングは105円ちょうど近くまでの押し目を見たいところで、
ゆっくりと買い下がってみたいところ。104円80銭をしっかり割るようだといったんストップ。
デイトレは買いからの回転を意識。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《2/5 金曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 105.54 1.1964 126.25
高値 105.77 1.2050 127.00
安値 105.34 1.1952 126.17
終値 105.39 1.2046 126.92
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《2/5 金曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 28779.19 +437.24
DOW 31148.24 +92.38
S&P 3886.83 +15.09
Nasdaq 13856.30 +78.56
FTSE 6489.33 -14.39
DAX 14056.72 -3.57
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《2/5 金曜日の商品市場》
NY原油先物3月限(WTI)(終値)
1バレル=56.85(+0.62 +1.10%)
NY金先物4月限(COMEX)(終値)
1オンス=1813.00(+21.80 +1.22%)
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《2/5 金曜日に発表された主な経済指標》
【豪州】
小売売上高(12月)09:30
結果 -4.1%
予想 -4.2% 前回 -4.2%(前月比)
小売売上高(インフレ調整前)(2020年第4四半期)09:30
結果 2.5%
予想 1.9% 前回 6.5%(前期比)
【インド】
中銀政策金利(2月)13:30
結果 4.0%
予想 4.0% 前回 4.0%(インド中銀政策金利)
【シンガポール】
小売売上高(12月)14:00
結果 -0.9%
予想 -1.1% 前回 7.5%(7.3%から修正)(前月比)
結果 -3.6%
予想 -2.2% 前回 -1.7%(-1.9%から修正)(前年比)
【日本】
景気動向指数(速報値)(12月)14:00
結果 94.9
予想 95.2 前回 96.1(96.4から修正)(景気先行指数)
結果 87.8
予想 87.8 前回 89.0(景気一致指数)
【ユーロ圏】
ドイツ製造業新規受注(12月)16:00
結果 -1.9%
予想 -1.0% 前回 2.7%(2.3%から修正)(前月比)
結果 6.4%
予想 6.7% 前回 6.7%(6.3%から修正)(前年比)
【カナダ】
雇用統計(1月)22:30
結果 -21.28万人
予想 -4.0万人 前回 -5.27万人(-6.26万人から修正)(雇用者数)
結果 9.4%
予想 8.9% 前回 8.8%(8.6%から修正)(失業率)
国際商品貿易(12月)22:30
結果 -16.7億カナダドル
予想 -30.0億カナダドル 前回 -35.6億カナダドル(-33.4億カナダドルから修正)
Ivey購買担当者景況感指数(1月)6日0:00
結果 48.4
予想 N/A 前回 46.7
【米国】
雇用統計(1月)22:30
結果 4.9万人
予想 10.5万人 前回 -22.7万人(-14.0万人から修正)(非農業部門雇用者数)
結果 6.3%
予想 6.7% 前回 6.7%(失業率)
結果 0.2%
予想 0.3% 前回 1.0%(0.8%から修正)(平均時給(前月比))
結果 5.4%
予想 5.0% 前回 5.4%(5.1%から修正)(平均時給(前年比))
民間部門雇用者数
結果 0.6万人
予想 16.3万人 前回 -20.4万人(-9.5万人から修正)
製造業雇用者数
結果 -1.0万人
予想 3.0万人 前回 3.1万人(3.8万人から修正)
週平均労働時間
結果 35.0
予想 34.7 前回 34.7
労働参加率
結果 61.4%
予想 61.5% 前回 61.5%
貿易収支(12月)22:30
結果 -666.0億ドル
予想 -657.0億ドル 前回 -690.0億ドル(-681.0億ドルから修正)(貿易収支)
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《2/5 金曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*ジョージ・カンザスシティ連銀総裁
FRBが雇用の最大化とインフレターゲット2%の目標に達成するにはまだ遠い。
テーパリングの議論をいつ開始するのかを推測するのは時期尚早。
ウイルスを乗り越える道が見えるまではテーパリングの議論開始について予測することは難しい。
*バイデン大統領
完全雇用は10年先と雇用統計が示した。
経済対策はやり過ぎて困ることはない。
国民への直接給付の規模縮小は考えていない。
超党派の支持より国民への支援提供を選びたい。
経済に問題があることは明らか。
イエレン財務長官は経済的苦境の傷跡の影響について述べた。
国民は既にあまりに長く苦境に立たされている。
*ホワイトハウス
米雇用統計は力強い支援が必要なことを示している。
*ホイヤー下院民主院内総務
下院は2月22日の週に追加経済対策の投票を行おうと考えている。
ただ、それよりも早くなる可能性もある。
われわれは1.9兆ドル規模の対策で進んでいる。
【豪州】
*ロウ豪中銀総裁
政策金利(OCR)は必要な限り過去最低水準である0.1%で維持
利上げの前に物価がターゲットである2-3%の目標範囲内に持続的に位置することを望んでいる。
この条件に達するためには、現在よりもしっかりした雇用市場と強い賃金の伸びが必要。
条件達成時期を正確に判断することは難しいが2024年以前になるとは予想していない。
それより遅くなる可能性はある。
そのため、政策金利は当面の間低水準で維持される。
*豪中銀四半期金融政策報告
豪経済は急激な回復を示す時期を超えて動いており、今後の成長は不均一になる可能性が高い。
主要な不確実性の要因は企業や家計が、景気支援のための財政措置の漸減に対してどのように対応するか。
これまで消費は予想よりも早く回復し、住宅投資や企業の設備投資は予想ほど弱くはならなかった。
小吹田状況を組み込んで豪中銀の予測は修正された。
豪経済は今年6月までの一年間で8%の拡大を予想。
今年半ばには年間インフレが3%に加速。
育児支援やその他の措置の廃止を反映して年末には1.5%に。
【英国】
*ブロードベント英中銀副総裁
経済回復は人々がどれだけ注意深くあるかにかかっている。
水準の観点からは、英中銀の11月見通し以上の楽観視はしていない。
失業見通しに関するリスクは両サイドある。
マイナス金利導入前に、銀行にとって時間が必要なことは妥当だ。
EU離脱による影響の規模を確定することは時期尚早。
英中銀はEU離脱の影響で第1四半期GDPが1%押し下げられると予測。
コロナ禍の後は消費支出が極めて力強く回復する可能性。
(CNBC)
*ホールデン英中銀チーフエコノミスト
昨日の英中銀の経済見通しは、2021年の経済活動とインフレの極めて強い回復を示した。
コロナワクチンは、第2四半期末には死亡および入院の低下をもたらすと期待。
2021年のスタート時点では住宅市場が鈍っていること示された。
英経済が回復すれば、住宅市場も追随するはず。
英中銀は短期的な政策の方向性について「まったくシグナル出していない」
*ラムスデン英中銀副総裁
マイナス金利は万が一のための手段、現時点で採用する計画ない。
もしマイナス金利が必要となれば、英中銀は階層化を検討。
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《本日予定されている主な経済指標》
【日本】
国際収支(12月)8:50
予想 10588億円 前回 18784億円(経常収支)
予想 22117億円 前回 23393億円(経常収支・季調済)
予想 9470億円 前回 6161億円(貿易収支)
【スイス】
失業率(1月)15:45
予想 N/A 前回3.5%(季調前)
予想 N/A 前回3.4%(季調済)
【ユーロ圏】
ドイツ鉱工業生産(12月)16:00
予想 0.0% 前回 0.9%(前月比)
予想 -0.8% 前回 -2.6%(前年比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員