ドル円に買い戻し強まる 「ブルー・スウィープ」の可能性で米国債利回りが急上昇=NY為替前半
きょうのNY為替市場、NY時間に入ってドル円の買い戻しが加速し、103.45円付近まで一時上昇した。ロンドン時間までは103円付近の上値抵抗が強かったが、その水準を突破し、ストップを巻き込んだようだ。ドルの買い戻しが強まっているが、ドル円の上げが主導している模様。また、米株式市場でダウ平均が大幅高となっており、リスク選好の円安もドル円の上げをサポートしているようだ。
米ジョージア州で連邦議会上院2議席の決選投票の開票が進んでいるが、民主党候補が2議席を獲得しそうな情勢。民主党が2議席を獲得すれば、米上院の議席は共和党が50、民主党が50となる。本会議で投票が二分した場合は、ハリス次期副大統領が上院議長として決定票を投じることを考慮すれば、民主党に有利とも考えられる。下院は民主党が過半数を占めていることから、ホワイトハウスも議会も民主党という「ブルー・スウィープ」になる可能性も出てきた。
下値では本邦の機関投資家の買いが断続的に入ったのではとの声も聞かれる。「ブルー・スウィープ」への期待で、米10年債利回りが急伸しており、節目の1%を突破している。FRBの低金利政策で、ドルと円の金利差が縮小しており、ドル円のヘッジコストは低水準で推移している。その環境下で、1%超の米10年債利回りは、本邦の機関投資家にとっては魅力的と思われる。
本日の21日線は103.50円付近に来ている。その水準を試す動きまではまだ出ていないが、目先の上値メドとして意識される。
ユーロドルは一時、1.22ドル台に値を落とした。ロンドン時間には1.2350ドル付近まで上昇していたが、ドル円に買い戻しが強まり、ユーロドルにも波及した格好。ただ、下押す動きまでは出ておらず、上昇トレンドは維持されている。今後もドルの先安観は続くと思われ、1.22ドル台では押し目買いも旺盛に出るようだ。
ECBはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)のもとでの資産購入を、今月から強化してくるとの見方が一部から出ている。1月の新規国債発行の増加に対応するためだという。1月のECBによる資産購入ペースは、ECBの現状認識と狙いを占う上で手がかりを提供すると指摘している。
ECBの資産購入が週ベースで170億ユーロ超だった場合は、ECBは現状に満足しており、マクロの見通しが悪化した場合のために余力を蓄える意向を示している可能性がある。一方、週ベースで220億ユーロ超だった場合は、季節的な新発債発行ニーズを超えた購入とも言え、現状に不満を示し、追加支援も視野に入れている可能性もあるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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