【来週の注目材料】年末年始は流れのきっかけに
来週は年末年始ということで、東京勢の積極的な参加が控えられる週に。月末に発表されることが多い指標はほとんどが前倒しで発表済みとなっており、やや材料不足の感もあります。
28日はボクシングデーの振替休日でユーロ圏、英国、オセアニア、カナダなどが休場。米国はボクシングデーがもともと休場とならないこともあり取引が再開しますが、例年ボクシングデーの取引参加者はいつもよりも少ないです。
木曜日31日には東京市場が休場となります。1月1日は世界のほとんどの国で祝日となっており、市場も休場となります。こうした状況から、週を通して様子見ムードが強い展開となりそうです。
ただ、年末年始は比較的大きな動きのターニングポイントになりやすい時期でもあり、注意が必要です。2020年は目立った動きを見せませんでしたが、その前2018年から2019年にかけての年末年始、その前2017年から2018年にかけての年末年始は興味深い動きを見せました。
2018年から2019年にかけての相場から振り返ってみましょう。
2018年は比較的落ち着いた相場が続く中、大きな流れとしては2018年3月後半の104円63銭を底に上昇に転じ10月に114円台まで上昇。その後12月半ばまでは高値圏推移が続いていましたが、12月後半にドル売り円買いが強まる形で年末年始を迎えました。
そして年始最初の取引日となった1月3日のアジア市場でドル円はフラッシュクラッシュと呼ばれる相場の急変を見せました。ドル円は109円前後から一時104円87銭まで急落。アップルの決算などを受けた米株式市場次回外取引の下落などがきっかけといわれましたが、値動きと材料の大きさがあっておらず、パニック的な動きとみられました。
そしてこのフラッシュクラッシュがいわゆるセリングクライマックスとなってそこからドル円は4月24日の112円40銭までの長い上昇基調に入ります。年末年始の動きがまさに相場の谷となった格好です。
2017年から2018年にかけては、2019年年初ほどきれいな形ではありませんが、年明けから流れが変わる動きを見せました。
2017年は3月ごろから107円台から114円台をレンジとする振幅が続く展開でした。同年の安値となる107円31銭を9月8日に付けた後、11月6日に3月以来の高値114円72銭まで上昇。その後は年末までもみ合いが続いていました。
2018年に入ると一転してドル売り円高が優勢に、3月26日に2018年の安値104円63銭を付けるところまでの長い下降トレンドに入りました。
年が変わると、年間の利益のブレを避けて取引を手控えていた機関投資家からの新規注文が増えることもあり、新たな動きが出やすいという面もあります。
そうした中、2020年から2021年にかけての年末年始ですが、二つのポイントから大きな動きのきっかけになってもおかしくないと考えられます。
一つは2021年米国がバイデン新政権に代わること。バイデン新大統領が正式に誕生するのは1月20日の就任式以降で、それまで新しい政策が出るわけではありませんし、バイデン新大統領の誕生自体はすでに織り込み済みという見方もあります。
ただ今回の場合大きなイベントが1月5日に控えています。ジョージア州で行われる上院の補欠選挙です。大統領選と同日に行われた上下両院選挙は、下院は民主党が辛くも多数派を維持。上院は接戦となり、確定した議席数は民主党48議席に対して共和党が50議席。ジョージア州は通常選挙は共和党現職が民主党候補を上回ったものの過半数の50%に届かず、補欠選は共和党の有力候補者が複数出たこともあり、票が分かれてどの候補も50%に大きく届かない結果に。同州の規定により二議席とも上位二名による決選投票となりました。
この決選投票を民主党がともに抑えると上院の議席数は50対50。同数の場合上院議長を兼ねる副大統領が最後の一票を投じますので、事実上民主党が多数派となります。この場合、大統領、上下両院を民主党が抑えるトリプルブルーが成立します。こうなるとバイデン氏は政策をかなり進めやすくなると期待されます。追加経済対策含め積極的な経済支援なども期待されるところで短期的なドル買いの動きもありそうです。
二つ目のポイントが新型コロナウイルス問題です。今月に入って急遽懸念が広がった新型コロナウイルスの変異種問題について、ワクチンの有効性などを含めある程度の確認が進むとみられ、市場の今後の見通しが変化する可能性が十分にありそうです。
12月に入って行動制限の動きが世界的に強化される中で、感染第3波の動きなどの動向などへの注目が集まるところで、感染拡大が抑えられているようだと、こちらも大きな流れにつながる可能性があります。
MINKABU PRESS 山岡和雅

執筆者 : MINKABU PRESS
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