ポンド売り優勢に、ハードブレグジット懸念広がる
ポンド売り優勢に、ハードブレグジット懸念広がる
英欧は交渉続くも妥協点みられず
ドル円、ユーロドルは神経質な動き、米中関係などを警戒
【東京市場】ドルの買い戻し一服 ポンドはやや神経質
前週末の海外市場で104円20銭台まで上昇する場面が見られたドル円は、週明け104円10銭台でスタートし、朝方104円23銭前後と先週末NY市場の高値圏に迫る動きを見せた。もっともドル買いの動きはそこまで。その後はドル売り円買いの動きが優勢に。先週末の米雇用統計の弱さに加え、新型コロナウイルスの感染第3波の動きが強まっていることや、英国とEUとの自由貿易協定の協議の難航などから、リスク選好の動きが後退。リスク警戒感から日本を含むアジア株、米株先物などがやや軟調になる中、この時間帯はドル売りよりも円買いの動きが優勢となった。ドル円は午前中に103円台を付けるところまで値を落とし、その後も104円ちょうど前後での推移が続いている。
先週末に1.2177を付けて直近高値を更新した後、NY午後にかけて調整が広がったユーロドルは1.21台前半で落ち着いた動き。ドル安に対する調整局面でも1.21台を維持しており、ユーロ高ドル安基調が継続。
ポンドは英国とEUとの自由貿易協定の協議の難航が重石となり、週明けは先週末海外市場でのポンド売りの流れが継続して始まった。ポンドドルは先週末の海外市場で1.3540前後から1.34台前半まで値を落とし、週明け1.3400台まで。ポンド円でもポンド売りが目立つ展開で始まった。
同協議の3つの大きな相違点での合意が見えず、警戒感が広がる展開に。漁業権問題で妥協点との一部報道も、別の報道では突破口見られずと否定的に報じられるなど、報道もやや交錯気味。ハードブレグジットの可能性が意識される展開が続いている。
もっとも安値から少し値を戻した後、東京市場ではもみ合いに。新規材料待ちといったところに。
【ロンドン市場】ポンド大幅下落
ポンド売りの動きが目立った。
週末の英欧首脳会談で貿易交渉が進展せず。
見込まれていた今週の欧州首脳会議での合意の承認というプロセスが厳しくなったという見方が広がる中で
ポンド売りの動きに。ポンドドルは1.34台から1.32台に値を落としている。
ポンドドルでのポンド売りドル買いがドル全面高を誘い、ドル円は104円30銭台、ユーロドルは1.20台を付ける動きに。
【NY市場】ドル円はちょうど前後での推移
ドル円は104円ちょうど前後での推移。ロンドン市場でのドル買い局面で104円30銭台まで上昇も
その後はドル売りが入る展開に。
米中関係の緊張なども円買いにつながっており、ドル円は一時103円台を付ける場面も。
ユーロドルはロンドン市場での下げから一転しての買いに、午前中に1.2160台まで大きく上昇。
ユーロドルの上値トライの勢いを感じさせた。
しかし、その後米中関係の緊張懸念などがユーロ売りドル買いにつながり
1.2100台まで値を落とす展開に。
【本日の見通し】米中関係リスクが警戒感に
中国が香港の民主派議員の議員資格をはく奪したことに反発し
米議会は中国全人代で役職を持つ14人に資産凍結と渡航禁止の制裁を決定。
この決定を受けて緊張感が高まり、やや神経質な動きに。
ドル円はリスク警戒のドル買い円買いで104円ちょうど前後での推移。
ユーロドルは1.21台後半まで上昇したNY市場の高値から1.2100台へ値を戻すなど
ややドル買いの動き。
今日もこうした神経質な動きが期待されるが、方向性が見えていない。
ユーロに関しては振幅を交えながら上方向という意識が強く、
1.20台では買いが出る流れか。
ドル円は104円ちょうど前後を中心としたレンジ取引の中で、方向性を探る格好に
【本日の戦略】振幅意識
方向性がやや見えにくい
リスクはやや下方向とみて、ドル円は戻り売りも
レンジ取引が中心となりそうで、下がると拾ってまた売り場探しの流れか。
104円ちょうど前後を中心としたレンジを意識。
買いからはやややりにくさを感じる展開。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《12/7 月曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 104.17 1.2122 126.40
高値 104.31 1.2166 126.49
安値 103.92 1.2079 125.97
終値 104.05 1.2109 126.00
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《12/7 月曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 26547.44 -203.80
DOW 30069.79 -148.47
S&P 3691.96 -7.16
Nasdaq 12519.95 +55.72
FTSE 6555.39 +5.16
DAX 13271.00 -27.96
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《12/7 月曜日の商品市場》
NY原油先物1月限(WTI)(終値)
1バレル=45.76(-0.50 -1.08%)
NY金先物2月限(COMEX)(終値)
1オンス=1866.00(+26.00 +1.41%)
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《12/7 月曜日に発表された主な経済指標》
【中国】
貿易収支(11月)12:00
結果 5071.0億元
予想 3732.0億元 前回 4017.5億元(貿易収支)
結果 754.2億ドル
予想 537.5億ドル 前回 584.4億ドル(貿易収支)
【日本】
景気動向指数(速報値)(10月)14:00
結果 93.8
予想 93.3 前回 93.3(92.5から修正)(景気先行指数)
結果 89.7
予想 85.7 前回 84.8(81.1から修正)(景気一致指数)
【ユーロ圏】
ドイツ鉱工業生産(10月)16:00
結果 3.2%
予想 1.6% 前回 2.3%(1.6%から修正)(前月比)
結果 -3.0%
予想 -4.6% 前回 -6.7%(-7.3%から修正)(前年比)
【カナダ】
Ivey購買担当者景況感指数(11月)00:00
結果 52.7
予想 N/A 前回 54.5
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《12/4 金曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*ロイター
トランプ政権は香港を巡り一部の中国当局者へ制裁を準備、早ければ7日に制裁課す可能性。
【英国】
*ホールデン英中銀委員
全国的な支出が英国の経済回復に役立っている
*英関係者
EUとの通商交渉、進展ないなら7日に打ち切る公算大。
*英政府報道官
英国は来年もEUとの貿易交渉を継続する可能性を排除。
EUと合意しなくても英国は繁栄する。
【ユーロ圏】
*コベニー・アイルランド外相
現在、ブレグジット合意が極めて困難であること確かだ。
*EU外交筋
英国との交渉である程度の進展あったが決定的なものではない。
英国との重大な相違について埋められていない。
*EU外交官
きょうEU予算について合意されなければ、プランBに向かう。
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《本日予定されている主な経済指標》
【日本】
GDP・2次速報(第3四半期)8:50
予想 5.0% 前回 5.0%(前期比)
予想 21.4% 前回 21.4%(前期比年率)
GDPデフレータGDP・2次速報(第3四半期)8:50
予想 1.1% 前回 1.1%(前年比)
国際収支(10月)8:50
予想 21204億円 前回 16602億円(経常収支)
予想 18292億円 前回 13455億円(経常収支・季調済)
予想 10828億円 前回 9184億円 (貿易収支)
【スイス】
失業率(11月)15:45
予想 3.3% 前回 3.2%(季調前)
予想 3.4% 前回 3.3%(季調済)
【南アフリカ】
GDP(第3四半期)18:30
予想 54.6% 前回 -51.0%(前期比年率)
予想 -7.4% 前回 -17.1%(前年比)
【ユーロ圏】
ドイツZEW景況感指数(12月)19:00
予想 46.0 前回 39.0
ユーロ圏GDP・確報値 (第3四半期)19:00
予想 12.6% 前回 12.6%(前期比)
予想 -4.4% 前回 -4.4%(前年比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員