ドル円一時調整も堅調地合いへ
ドル円一時調整も堅調地合いへ
ポンド上昇、ワクチン期待が押し上げ
【東京市場】調整の動き
前日の海外市場で米薬品大手ファイザーが新型コロナウイルスのワクチン開発において、中間検査で90%以上に感染を防ぐ暫定結果を発表したことを受けたリスク選好の動きからドル円が105円台後半まで急騰した後を受けての東京市場。
朝から利益確定の売りや、105円台を待っていた本邦実需筋の売りなどを受けた頭の重い展開に。仲値前後までは105円台を何とか維持しての推移となったが、その後105円の大台を割り込み、104円80銭前後まで値を落とす展開に。104円80銭前後がサポートとなり、午後に入るともみ合いに。一時105円台を回復する場面も続かず、104円90銭台での推移が続いた。
昨日大きく上昇したダウ平均が、先物の時間外取引でマイナス圏を付け、さらにその後下げ幅が拡大するなど、株高の動きが一服。日経平均の上げ幅は寄り付き後に400円を超える場面が見られ、節目の25000円を29年ぶりにつけ、25100円台まで上昇の場面も、その後マイナス圏に転じるなど、東京株式市場でも株高が一服していた。
【ロンドン市場】ポンドがしっかり、ドル円も買い戻し
ポンドが対ドル、対円、対ユーロでしっかり。
英国では5日から4週間、イングランド全域でのロックダウンが実施されている。
こうした状況下でのファイザーの発表を受けて経済回復への期待感が広がったと見られた。
対ドルで上値を抑えていた1.3200を超えたことで買いが入りやすくなった面も。
ポンド円の買いに支えられてドル円も安値から買い戻しが入った。一時105円台半ば近くまで。
【NY市場】105円台前半での推移
ロンドン市場で買い戻しが入ったドル円はNY市場でも比較的しっかりの動きが続いた。
ワクチンについては米厚生長官が11月下旬に配布開始の可能性に言及しており
今後への期待感が広がっている。
ポンドはロンドン市場に続いて堅調地合いを維持。
英国ではファイザーと9000万回分の購入で合意しており
12月にも供給開始との期待感が広がっている。
【本日の見通し】堅調地合い維持を期待
昨日の東京市場では久しぶりの105円台ということもあり、輸出勢などの実需売りが円安の調整を誘い
ドル円は104円台に値を落とした。海外市場で再び105円台に戻してきたことを受けて
堅調地合いが意識されており、大台維持からの上値トライの流れが期待されるところ。
ワクチンが本格的に承認されると、もう一段のリスク選好が期待されるところで
地合いはまだ上方向との見方が強い。
ダウが続伸するなど、リスク選好の動きも継続している。
ドルと同様にしっかりの動きがポンド。
ファイザーとの供給合意などが好感されている。対円でしっかりの展開が続くとドル円のサポートに。
NZ中銀は金融政策据え置きの見込み。8月にQEを拡大。
9月の理事会では追加措置の用意に言及も、今回は現状維持見込み。
【本日の戦略】押し目買い
昨日に続いて売りが入るようだと、買い場探しの展開が期待される。
IT/ハイテク関連の売りがやや気になるところで
ダウの上昇に対して続落となっているナスダックの動向が影響するようだと
警戒感が強まる展開も。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《11/10 火曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 105.37 1.1813 124.47
高値 105.49 1.1843 124.60
安値 104.82 1.1780 123.99
終値 105.30 1.1815 124.41
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《11/10 火曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 24905.59 +65.75
DOW 29420.92 +262.95
S&P 3545.53 -4.97
Nasdaq 11553.86 -159.92
FTSE 6296.85 +110.56
DAX 13163.11 +67.14
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《11/10 火曜日の商品市場》
NY原油先物12月限(WTI)(終値)
1バレル=41.36(+1.07 +2.66%)
NY金先物12 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1876.40(+22.00 +1.19%)
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《11/10 火曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
国際収支(9月)08:50
結果 16602.0億円
予想 20251.0億円 前回 21145.0億円(21028.0億円から修正)(経常収支)
結果 13455.0億円
予想 17937.0億円 前回 16593.0億円(16475.0億円から修正)(経常収支(季調済))
結果 9184.0億円
予想 8027.0億円 前回 4132.0億円(貿易収支)
【中国】
消費者物価指数(10月)10:30
結果 0.5%
予想 0.8% 前回 1.7%(前年比)
生産者物価指数(10月)10:30
結果 -2.1%
予想 -1.9% 前回 -2.1%(前年比)
【英国】
ILO失業率(9月)16:00
結果 4.8%
予想 4.8% 前回 4.5%(3カ月)
雇用統計(10月)16:00
結果 7.3%
予想 前回 7.4%(7.6%から修正)(失業率)
結果 -2.98万件
予想 前回 -4.02万件(2.81万件から修正)(失業保険申請件数)
【トルコ】
雇用統計(8月)16:00
結果 13.2%
予想 前回 13.4%(失業率)
【ユーロ圏】
ドイツZEW景況感指数(11月)19:00
結果 39.0
予想 44.3 前回 56.1
【南アフリカ】
製造業生産高(9月)20:00
結果 3.2%
予想 1.4% 前回 3.3%(3.6%から修正)(前月比)
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《11/10 火曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【日本】
*日銀
地域金融強化のための特別当座預金制度導入へ。
対象は日銀の取引先の地銀や信用金庫。
信組、労働金庫、農協、漁協を対象先とするかは関係先と協議し決定。
地域経済を支えながら経営基盤強化に取り組んだ地域金融機関の後押しが狙い。
保有する日銀当座預金に年0.1%の上乗せ金利を支払う。
2020年から3年間の時限措置。
【ユーロ圏】
*クノット・オランダ中銀総裁
12月の理事会では手段の有効性を反映させる。
ワクチンの報道は我々が望みを持っていられることを確認。
ただ、封じ込め措置は2021年も続く可能性がある。
金融政策は資金調達の状態に焦点をあてるべき。
【英国】
スナク英財務相
英政府は引き続き失業者に支援する。
失業統計は新型コロナ禍の影響が広がっていること示す。
【米国】
*米10年債入札結果
最高落札利回り 0.960%(WI:0.962%)
応札倍率 2.32倍(前回2.47倍)
*ローゼングレン・ボストン連銀総裁
経済への道筋はウイルスの抑制次第。
金融の不均衡の拡大を避けることは重要。
FRBの政策には財政リスクのガードレールが必要。
*アザー厚生長官
ファイザーのワクチンが11月下旬に配布開始の可能性。
*ファウチ米感染研所長
ファイザーのワクチン候補は、向こう1週間もしくは1週間半で緊急使用許可(EUA)が下りる可能性が高い。
*ジョージ・カンザスシティー連銀総裁
バランスシートに取り組む時が来ている。
第3四半期の回復には驚かされた。
経済は成長を続けているが、ある程度の緩みが見られる。
主要なリスクはウイルス。
パンデミック後の経済の傷跡と国民の信頼感について多くのことを考えている。
有色人種や女性を筆頭に、まだ1000万人が失業。
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《本日予定されている主な経済指標》
【韓国】
失業率(10月)8:00
予想 3.8% 前回 3.9%
【豪州】
Westpac消費者信頼感指数(11月)8:30
予想 N/A 前回 11.9%
【日本】
マネーストックM2(10月)8:50
予想 9.1% 前回 9.0%(前年比)
【NZ】
NZ中銀政策金利 10:00
予想 0.25% 現行 0.25%
【米国】
MBA住宅ローン申請指数(6日までの週)21:00
予想 N/A 前回 3.8%(前週比)
【ブラジル】
小売売上高(9月)21:00
予想 8.7% 前回 6.1%(前年比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員