広告を非表示にする
ad hide img

みんかぶプレミアム会員なら
広告非表示で利用できます

※サイトからのお知らせは除きます

「コロナ後の世界を考える」竹中平蔵 新型コロナショック

マネ育チャンネル 

f:id:gaitamesk:20200317174217p:plain

 歴史を振り返ると、人類は繰り返しパンデミックを経験し、それと戦い打ち勝って来た。同時に、パンデミック後は従前とは異なる世界がやって来る、という教訓を得て来た。例えば、14世期欧州に広がった黒死病の結果、一人当たり生産性は上昇し、一方で教会の権威失墜から、その後のルネサンスがもたらされた。また。20世期初頭のスペイン風邪で、当時の地球人口の約5%が亡くなったが、比較的影響の軽微だったアメリカが、その後一気に世界の中心に躍り出た。近くは、2003年のSARS(サーズ)によってネット通信販売が一気に拡大し、アリババのような巨大なネット企業が生まれた。

 パンデミックは、既に起こりつつあった変化を一気に加速させる。今回のコロナ危機後に現れる最も顕著な変化は、いうまでもなくデジタル・シフトだ。中国においてアリババは、遠隔会議や決裁が出来るシステム「DingTalk(ディン・トーク)」を、国内1000万社に無料で配布した。また中国の主要大学は、この数カ月の間に、全ての講義をネットで配信出来るシステムを構築したという。まさに、デジタル・シフトが凄まじく進行しており、経済構造・経済システムの大きな転換が生じている。パンデミック後の世界は、凄まじいデジタル資本主義の競争となるだろう。
 コロナ危機がもたらすもう一つの変化は、これをきっかけに働き方が変わると予想されることだ。今回日本でも、いわゆる在宅勤務が急拡大した。更に言えば筆者の周りでも、都市郊外やリゾート地で在宅勤務し必要な時に都心に出かける、という形の働き方が増えている。ワークとヴァケーションを結合した「ワーケーション」というライフスタイルだ。19世期の半ば、ロンドンでコレラが大流行し、それがきっかけで田園都市という概念が生まれた。ワーケーションは、地方創生の新しい起爆剤になる可能性を秘めている。
 もっともそのためには、労働対価を「時間」ではなく「成果」で測るような新しいシステムへ移行するよう、体制の整備が必要だ。こうした改革を行えるかどうかで、アフター・コロナ社会の姿は、大きく異なったものとなろう。
 コロナ後の世界を考えるいま一つの要素は、環境問題への対応が一気に加速するという点だ。都市のロック・ダウンや経済活動停止によって、今世界中で青空が広がっている。これまでは、2050年にエミッション・ゼロを実現するというような政治宣言を聞いても、多くの人々には実感がなかったかもしれない。しかし青空の広がりを見る中で、人々の環境問題への認識が大きく高まりつつあると考えられる。このことは歓迎すべきことだ。しかし一方で、例えばガソリン車から電気自動車などへの切り替えが早まると、日本の産業構造は大きな変化を余儀なくされるだろう。イングランド銀行のカーニー総裁が指摘するように、「環境問題におけるミンスキー・モーメント(大転換)」が来るかも知れない。
 目の前の経済落ち込みに対応しつつ、一方でコロナ後の世界を見据えたしたたかな対応が求められる。

takai.jpg株式会社外為どっとコム総合研究所特別研究主幹
東洋大学教授
慶應義塾大学名誉教授
竹中 平蔵
1951年生まれ。1973年一橋大学経済学部卒業後、日本開発銀行入行。ハーバード大学・ペンシルバニア大学客員研究員、大蔵省財政金融研究室主任研究官、大阪大学経済学部助教授、ハーバード大学客員准教授、国際経済研究所客員フェロー、慶應義塾大学総合政策学部助教授を経て、1996年慶應義塾大学教授に就任。 2001年には、小泉内閣発足に際して 国務大臣・経済財政政策担当大臣に就任。その後、金融担当大臣・経済財政政策担当大臣、 内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策)、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、総務大臣(郵政民営化担当)を歴任。閣僚時代には、不良債権の処理、郵政民営化などに尽力し、小泉内閣が標榜した「聖域なき構造改革」を推進させた。

●免責事項本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、当社は一切の責任を負いかねますことをご了承ください。

マネ育チャンネル:外為どっとコム

執筆者 マネ育チャンネル

執筆者 : マネ育チャンネル|外為どっとコム

マネーを育てよう!をテーマに、外為どっとコム総合研究所に所属する研究員が執筆するオリジナルレポートのほか豪華講師陣の貴重なFXレポート、個人投資家や著名投資家のインタビュー記事など、バラエティ豊かな情報を配信しています。為替トレンドに合わせた特集記事やFX初心者でも安心の学習コンテンツを用意しており、個人投資家の取引技能の向上に寄与すべく活動しています。

為替ニュース/コラム

一覧を見る

注目ニュース

新着ニュース

ad hide img

みんかぶプレミアム会員なら
広告非表示で利用できます

※サイトからのお知らせは除きます

ad hide img

みんかぶプレミアム会員なら
広告非表示で利用できます

※サイトからのお知らせは除きます

主要通貨レート

関連ETF

FXアプリ スマホランキング

ヒロセ通商 58

ドル円スプレッド 0.2銭(原則固定・例外あり)
豪ドル円スワップ 88
最小取引単位 1,000通貨
テクニカルの種類 25
チャート画面で発注
自動利食い・損切り
ヒロセ通商 のアプリ詳細

GMOクリック証券 56

ドル円スプレッド 0.2銭(原則固定・例外あり)
豪ドル円スワップ 88
最小取引単位 1,000通貨
テクニカルの種類 14
チャート画面で発注
自動利食い・損切り
GMOクリック証券 のアプリ詳細

外為どっとコム 54

ドル円スプレッド 0.2銭(原則固定・例外あり)
豪ドル円スワップ 86
最小取引単位 1,000通貨
テクニカルの種類 25
チャート画面で発注
自動利食い・損切り
外為どっとコム のアプリ詳細

▶︎ FXアプリをまとめて比較する

直近24時間の重要経済指標

ad hide img

みんかぶプレミアム会員なら
広告非表示で利用できます

※サイトからのお知らせは除きます