日米中銀が緊急緩和=外為どっとコム総研 神田卓也
日米中銀が緊急緩和
米連邦準備制度理事会(FRB)は、現地15日夜(日本時間16日早朝)に緊急会合を開き、政策金利を一気に100bp(1.00%)引き下げた。FFレートの誘導目標は0.00-0.25%となり、事実上ゼロ金利が復活した。同時にFRBは今後数ヶ月間で7000億ドル(約74兆円)の国債買い入れを行うと発表しており、こちらも量的緩和(QE)の復活となる。その他、日銀、FRB、欧州中銀(ECB)、英中銀、カナダ中銀、スイス中銀が協調して市場にドル資金の供給を拡大する事も発表された。一方、日銀は上場投資信託(ETF)の買い入れ残高増加ペースを年6兆円から12兆円に引き上げた。また「新型コロナウイルス感染症にかかる企業金融支援オペ」を導入し、最長1年の資金を金利0%で供給するとした。
FRBの緊急利下げ後に一時105.70円台に下落したドル/円は、107円台半ばに値を戻す場面もあったが、日銀の追加緩和後に再び下落。106円台前半に押し戻されている。FRBのゼロ金利復活・QE復活と、各国中銀によるドルの大量供給の前では、日銀の追加緩和による円安効果が霞んでしまうのは当然かもしれない。新型コロナウイルスの感染拡大が下火になれば市場に落ち着きが戻ると見られ、そうなると協調金融緩和の効果で株価の反発や円安の動きも期待できようが、感染拡大が止まらなければ追加緩和が「あだ花」に終わる恐れもある。ドル/円相場は少し長い目で見るとどちらの方向にも大きく動く可能性があるという事になり、いずれにしても新型ウイルスの感染がどこまで広がるかにかかっていると言えるだろう。
執筆者 : 神田卓也|株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 証券株式会社を経て、1991年㈱メイタン・トラディション入社。インターバンク市場にて、為替・資金・デリバティブ等の取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年同社入社。