週明けに一気に円高進行、新型コロナ、NY原油安が重石
週明けに一気に円高進行、新型コロナ、NY原油安が重石
OPECプラスの交渉決裂でサウジが増産を発表し、一気にNY原油が下落
資源国通貨売り円買い誘う
NY州全域での非常事態宣言が警戒感誘い円高進行も
【東京市場】朝市は上昇もその後ドル安円高
海外市場で105円台をいったん付けて106円台前半で迎えた東京市場。朝一はポジション調整の動きも見られ106円30銭台まで上昇も戻りはそこまで。日経平均が大きく値を落とし、米債利回りも昨日の水準を割り込み史上最低水準を更新する中でドル売り円買いが進んだ。米10年債の利回りは一時0.80%台まで。米2年債も0.47%台まで落ち込む場面が見られた。ドル円はこうした状況を受けて105円76銭まで。その後も105円台での推移と頭の重い展開が続いた。
ユーロは1.12台前半でもみ合い。当初はドル安に対する調整が優勢で1.1212を付けたが、その後は米債利回り低下を受けたドル売りに1.1249近辺まで。来週のECB理事会での利下げが見込まれているが、下げ幅は0.10%と見られ、3日に0.50%の引き下げを行い、さらに18日も追加利下げとみられる米国などとの金利差縮小がユーロ買いに。
【ロンドン市場】一時104円台
ドル円は米債利回りの急落を受けて一時104円台まで。新型コロナウイルスの感染拡大懸念が広がる展開に。米債利回りは0.69%台までと史上最低水準をはっきりと割り込み、ドル売りを誘った。
105円割れからは少し戻すと、その後は105円台前半推移。
ユーロドルなどではドル安の動きが見られ、1.13台前半まで。
【NY市場】105円台半ばばさみ
大幅安でスタートした米株が一時下げ渋りを見せたこともあり、105円70銭台まで値を戻す場面が見られた。
105円台後半では売りが出たものの、戻りは鈍く、105円10銭台を付ける場面も
ロンドン市場で付けた105円割れをもう一度トライする流れにはならず、
105円台半ば割れで週の取引を終えている。
【週明けの市場】
新型コロナウイルスの感染拡大への懸念に加え、OPECプラスの減産交渉が決裂し、サウジアラビアが増産を計画との一部報道が出たことなどから、リスク警戒の動きが週明家に一気に広がっている。
ドル円は104円台前半まで急落して始まっており、その後も安値圏推移。クロス円も軒並みの下落。NY原油は10ドル以上下げて.30ドル台での推移、米ダウ平均時間外先物は1000ドルを超える下げに。
【本日の見通し】リスク警戒の動き強まる
一気にリスク警戒感が広がっている。ドル円、クロス円は軒並みの大幅下落。
週末のNY市を含むNY州全域での非常事態宣言がマーケット心理を直撃。
金融の世界的な中心地での非常事態宣言でドル安円高株安の動き。
さらにOPECプラスの交渉が決裂。サウジが増産計画との一部報道でNY原油が週末から10ドル超の下げで、
一時30ドル台まで。
米シェール油田やカナダのオイルサンド油田などの採算割れが懸念されていることも
米株の売りを誘う形でダウ平均時間外は1000ドル超の下げを記録。
リスク警戒感からドル円は104円台前半まで急落してスタート。
クロス円も軒並みの下げで、原油安で対ドルなどでもカナダ売りが入ったカナダ円は週末から約2円の下げ。
パニック的な週明けとなったが、この流れはまだ続く可能性がある。
当面はリスク警戒感が強い展開に。
ドル円は少し調整が入っても105円が重くなるようだと、もう一段の下値トライも。
100円が本格的に意識される展開。
【本日の戦略】戻り売り
値ごろ感からのドル買いは避けたい
NY原油の下げが
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《3/6 金曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 106.16 1.1238 119.31
高値 106.34 1.1355 119.42
安値 104.99 1.1212 118.71
終値 105.39 1.1284 119.05
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《3/6 金曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 20749.75 -579.37
DOW 25864.78 -256.50
S&P 2972.37 -51.57
Nasdaq 8575.62 -162.98
FTSE 6462.55 -242.88
DAX 11541.87 -402.85
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《3/6 金曜日の商品市場》
NY原油先物4月限(WTI)(終値)
1バレル=41.28(-4.62 -10.07%)
NY金先物4月限(COMEX)(終値)
1オンス=1672.40(+4.40 +0.26%)
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《3/6 金曜日に発表された主な経済指標》
【豪州】
小売売上高(1月)9:30
結果 -0.3%
予想 0.0% 前回 -0.7%(-0.5%から修正)(前月比)
【日本】
景気動向指数(速報値)(1月)14:00
結果 90.3
予想 91.1 前回 91.6(景気先行指数)
結果 94.7
予想 94.5 前回 94.1(景気一致指数)
【ユーロ圏】
ドイツ製造業受注(1月)16:00
結果 5.5%
予想 1.3% 前回 -2.1%(前月比)
結果 -1.4%
予想 -5.2% 前回 -8.9%(-8.7%から修正)(前年比)
【カナダ】
雇用統計(2月)22:30
結果 3.03万人
予想 1.10万人 前回 3.45万人(雇用者数)
結果 5.6%
予想 5.6% 前回 5.5%(失業率)
国際商品貿易(1月)22:30
結果 -14.7億カナダドル
予想 -7.8億カナダドル 前回 -7.3億カナダドル(-3.7億カナダドルから修正)(国
際商品貿易)
Ivey購買担当者景況感指数(2月)00:00
結果 54.1
予想 N/A 前回 57.3
【米国】
雇用統計(2月)22:30
結果 27.3万人
予想 17.5万人 前回 27.3万人(22.5万人から修正)(非農業部門雇用者数)
結果 3.5%
予想 3.6% 前回 3.6%(失業率)
民間部門雇用者数
結果 22.8万人
予想 16.0万人 前回 22.2万人(20.6万人から修正)
製造業雇用者数
結果 1.5万人
予想 -0.3万人 前回 -2.0万人(-1.2万人から修正)
平均時給
結果 0.3%
予想 0.3% 前回 0.2%(前月比)
結果 3.0%
予想 3.0% 前回 3.1%(前年比)
週平均労働時間
結果 34.4
予想 34.3 前回 34.3
労働参加率
結果 63.4%
予想 63.4% 前回 63.4%
貿易収支(1月)22:30
結果 -453億ドル
予想 -461億ドル 前回 -486億ドル(-489億ドルから修正)(貿易収支)
卸売在庫(確報値)(1月)00:00
結果 -0.4%
予想 -0.2% 前回 -0.2%(前月比)
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《3/6 金曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*カプラン・ダラス連銀総裁
このところ状況が急激に変化している。
実体経済の鈍化や膠着に対して、金融緩和は効果がある
株価の上下は利下げの要因ではない
*ウィリアムズNY連銀総裁
3日に行った緊急利下げが景気拡大をサポートする。
新型コロナウイルスの感染拡大について注意深く監視し、適切に対応していく
準備資金について、潤沢な供給を確保
見通しが変化し、不確実性が非常に高い
金融当局は政策手段を駆使して適切に行動していく。
*ペロシ米下院議長
連邦議会議事堂を閉鎖し議会を訪れる観光客や議員たちの立ち入りを禁止する計画は無い。
われわれは家から投票することはできない」と発言し、在宅での仕事に限界がある
*JPモルガンCEOが緊急の心臓手術、回復に向かっている。
*ブラード・セントルイス連銀総裁
市場がボラタイルなことには驚かず。
我々は新型ウイルスの影響を理解することに苦労している。
市場は極めて最悪のケースを織り込んでいるようだ。
新型ウイルスによる成長鈍化は一時的にとどまるだろう。
新型ウイルスに対する公衆衛生面での対応がカギとなる。
3月FOMC会合が過度に注目されること望まず。
FEDは柔軟であり、会合と会合の間にも対応できること示した。
(ブルームバーグTVで)
*トランプ大統領
FRBは利下げし、刺激すべき。
バイデン氏はウォールストリートにとって好ましくない。
金融市場は反転すると予想。
*クドロー米国家経済会議(NEC)委員長
第2四半期の景気は減速の公算。第3四半期も可能性ある。
行動の前に更なる情報を待ちたい。
時機を得て的を絞った政策が好ましい。
小規模企業や航空会社に支援が必要かもしれない。
一時的な雇用税減税には反対の意向。
FRBはさらに行動する必要。
*エバンス・シカゴ連銀総裁
マイナス金利は好ましくない。
ドット・プロットはコミュニケーション手段として有効。
我々は公衆衛生の新たなリスクに直面。
注意を払い適切に対応。
FRBが使用できる手段は一般に知られている。
*ブラード・セントルイス連銀総裁
米雇用統計は2月の米経済の状況が良好なことを示した。
米経済はしばらく、減速するだろう。
中国よりは信頼感は良好。
市場は最悪のケースを織り込んでいるようだ。
信用ファシリティの創設は財政政策。
金融政策は目の前の状況に焦点をあて続ける。
*ローゼングレン・ボストン連銀総裁
マイナス金利には疑問。海外でも成功していない。
低金利時の財政政策は大きな役割を果たす。
FRBが購入可能な資産の範囲拡大を検討すべき。
*ウィリアムズNY連銀総裁
新型ウイルス感染の影響は大きな不確実性の局面に達した。
ウイルス感染は明らかに衛生問題。
FRBは経済を支援する重要な役割を担っている。
状況は非常に不透明で動きが早い。
【新型コロナウイルス関連】
*韓国、新たに518人の感染を確認 計6284人
*NY市長
過去2週間に中国、韓国、日本、イタリア、イランの5ヵ国に
渡航歴があるNY滞在者に14日間の自主的な隔離を求める。
*WHOテドロス事務局長
まだパンデミックの段階には達していな
各国が協調して取り組めば、封じ込めることは可能であり、諦める時ではない
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《本日予定されている主な経済指標》
【日本】
GDP・2次速報値(第4四半期)8:50
予想 -1.7% 前回 -1.6%(前期比)
予想 -6.6% 前回 -6.3%(前年比)
GDPデフレータ・2次速報値(第4四半期)8:50
予想 1.3% 前回 1.3%(前年比)
国際収支(1月)8:50
予想 -9970億円 前回 1207億円(貿易収支)
予想 5626億円 前回 5240億円(経常収支)
予想 16598億円 前回 17147億円(経常収支・季調済)
【スイス】
失業率(2月)15:45
予想 2.3% 前回 2.3%(季調済)
予想 N/A 前回 2.6%(季調前)
【ユーロ圏】
ドイツ鉱工業生産(1月)16:00
予想 1.6% 前回 -3.5%(前月比)
予想 -4.2% 前回 -6.8%(前年比)
ドイツ貿易収支(1月)16:00
予想 N/A 前回 152億ユーロ
ドイツ経常収支(1月)16:00
予想 N/A 前回 294億ユーロ
【カナダ】
住宅着工件数(2月)21:15
予想 N/A 前回 21.32万件
住宅建設許可(1月)21:30
予想 N/A 前回 7.4%(前月比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員