とれんど捕物帳 2つのリスクを少し過小評価か

為替 

 今週のドル円は買い戻しが優勢となり、再び110円台を試す動きが見られている。警戒された春節明けの中国市場は初日こそ動揺があったものの、予想通りに中国当局が人民銀行を中心にサポート姿勢を強めたことから、市場は波乱なく消化している。

 今週はワクチンの報道が雰囲気を高めていた。中国の浙江大学のチームが生体外細胞実験でウイルスを阻害する可能性のあるいくつかの薬を発見したといったニュースや、英国のワクチン開発チームが、開発過程の一部を短縮する技術で重大な突破口を見出し、早ければ、来週にも動物実験を開始できる段階にあり、資金が確保できれば、夏にも人体への臨床試験を行えるというニュースも伝わっていた。

 ただ、上記報道を前向きに捉えたとしても、ワクチン開発には最速でも、年内一杯はかかると見てよいであろう。世界保険機構(WHO)はワクチンについては承知していないと否定しており、どれも決め手に欠けるような話ではあるが、いまの市場のムードを高めるには十分だったようだ。

 今週の相場は予想外とも言える底堅さを見せたが、事態の割に市場は、少し楽観的に見過ぎているといった印象を持っている。ウイルス感染の中国及び世界の経済への影響を織り込むことを、ひとまず棚上げして、足元の好調な米決算や指標を材料に、上を見たがっている印象を受ける。もしかすると、ウイルス感染を機に、不良債権、過剰債務など、中国経済の闇が噴出する姿を見たくないのかもしれない。この問題が一気に噴出すれば、それこそパンデミックになりかねない。冷静に見れば、相場が示すほど楽観的な状況ではないように思われる。

 もう一つ市場は、11月の米大統領選挙のドルへの影響を過小評価しているように思われる。現状の為替市場は、リスク回避でも、リスク選好でも、ドル高の動きを見せ、ドル相場のボラティリティも低下傾向を鮮明にしている。昨年同様に米経済の一人勝ちを想定しているためかもしれないが、市場が、トランプ大統領の再選を確実視しており、政治的継続性が為替市場にとって「中立」であるという仮定に基づけば、11月の米大統領選を「非イベント」と見なしている可能性もある。

 しかし、トランプ大統領の場合はこれまでとは違う。大統領は前代未聞とも言えるFRBに対する攻撃を繰り返しており、追加利下げを迫っている。大統領選挙中もそれはさらにパワーアップするかもしれない。金融政策に影響を与えようとする大統領の試みは、ドルにとっては懸念材料となるはず。“経済のトランプ”を標榜する大統領が、ドル安に誘導しようとしてもおかしくはなく、そのことを市場は軽く見ているような感じもする。

 さて来週だが、経済指標では米消費者物価指数(CPI)や小売売上高、鉱工業生産など重要指標の発表も予定されている。米企業決算は峠は越したが、まだ発表は続く。今週の相場の雰囲気を見た限りにおいては、ポジティブな数字だけに敏感に反応しそうだ。急反転したので、過熱感に伴うそれなりの調整は出る可能性もありそうだが、基本的には上向きの動きを予想する。ただ、ドル円に関しては110円台に入れば上値は重くなるであろう。

なお、来週はパウエルFRB議長の半期に一度の議会証言が上下院で行われる。金曜日にFRBが半期に一度の金融政策報告を議会に提出していた。「下振れリスクは昨年終盤に後退したものの、ウイルス感染が新たな脅威。中国が重大な困難に陥った場合、世界経済に広がる可能性」に言及していた。恐らくパウエルFRB議長も同様の発言してくることが予想される。ただ、センチメントが高まっている、市場がどの程度はんのうするかは未知数。

 ドル円の想定レンジとしては、109.00~110.50円と狭い値動きを想定。スタンスは「中立」を継続する。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 中立から上へトレンド変化
短期 ↓(↓)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 中立継続
短期 ↓↓(↓)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓(↓↓)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓↓)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 中立継続
短期 ↓(→)

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

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