今週のまとめ1月8日から1月12日の週
8日からの週は、ドル売りが優勢な一週間。米物価統計が予想を下回ったことや、中国が米国債投資を減額もしくは停止する可能性との報道などが材料視された。中国当局は後でこの報道を間違った情報に基づいていると否定したが、ドル売り圧力は継続している。また、円買いやユーロ買いがドル売りにつながった面も大きかった。ドル円は日銀が超長期債オペを減額したことに敏感な反応をみせた。市場では出口戦略に向けた思惑が広がり、円買いを誘った。ただ、その後のオペ金額は据え置かれており、市場の反応は過剰との声もあった。それでもドル円は111円割れを試すなど売り圧力は継続。ユーロドルは1.21台乗せと約3年ぶりの高値水準に上昇。ECB議事録で、今年早い時期でのガイダンスの変更を示唆したことが背景。加えて、昨年から懸案となっていたドイツ大連立交渉でようやく暫定合意と報じられたこともユーロ買いにつながった。ドル指数は昨年9月以来の低水準となっている。ドル安を受けて原油など商品相場が堅調だが、資源国通貨買いはユーロや円に比べると限定的だった。週末にかけてドル安の流れはさらに強まり、ドル円は110円台まで値を落とす場面が見られた。
(8日)
東京市場は、成人の日の祝日のため休場。
ロンドン市場は、ドル買いが先行したあと円高方向に転じている。ドル円相場は米債利回りの上下動に反応しているが、ユーロドルはドル高圧力が継続、ユーロ円の下落が上値を押さえた面もあった。経済統計発表結果や欧州株動向には反応薄だった。ドル円は113円台前半での推移、ユーロドルは1.20台を割り込み、ユーロ円は135円台半ばに下落。11月ユーロ圏小売売上高は予想を上回る伸びを示したが、ユーロ買いにはほとんど反応せず。
NY市場でもドル高と円高が並存した。この日は米経済指標の発表もなく手掛かり材料に乏しい中、先週の米雇用統計後の反応を引継いでいる。ドル円は113円台前半での振幅が続いた。ユーロ売りが目立ち、対ドルのみならず、対円、ポンドでも下落。ユーロドルは1.1955近辺、ユーロ円は135.10近辺まで下落した。ユーロドルにはシカゴ筋のポジション調整との見方もあった。
(9日)
東京市場は、日銀出口戦略期待が円買いを誘った。日銀が長期国債買い入れオペの10年超~25年以下を従来の1000億円から900億円に減額。同期間のオペ減額は2016年12月以来。ドル円は113円台から大台を割り込んで一気に売りが強まり、112円台半ばまで下落。クロス円でも軒並みの円高。ユーロドルなどは小動きで、円買い中心の動き。豪ドルは原油高を背景に対ドルでしっかり。
ロンドン市場は、クロス円主導で円買い圧力が継続。ユーロ円は135円近辺が重くなっており、安値を134.36レベルまで広げている。ポンド円は153円台には戻せず、152.46レベルに安値を広げている。クロス円の売り圧力とともにユーロドルは1.19台後半から前半へまで下落。一連の欧州経済指標は強含んだがユーロ買いとはならず。ポンドドルは1.35円台後半から前半へ下落。ドル円は序盤の買いでは113円台に届かず、112円台後半での取引に留まった。
NY市場でも、ドル高と円高が優勢。ドル円は一時12.35近辺まで下落。ユーロドルはNY時間に入って下げが一服したものの、戻りは鈍く1.19台前半での値動き。ドル高、円高の動きがユーロの利益確定売りを強めており、きょうで3日続落。ポンドも利益確定売り。ドル高・円高の動きの影響が大半だが、東京朝方発表の英小売指標やメイ首相の内閣改造もポンドの重しとなっていたもよう。
(10日)
東京市場は、朝方に円高が進行。ドル円は112円台半ばと下げ渋って取引を開始したが、午前9時過ぎに一気に112.10台まで下落した。海外勢から大口売りが入ったもよう。目立った新規材料が出たわけではなく、昨日の日銀オペの減額をうけて海外勢が円売りポジションの調整に回ったと噂された。ユーロドルやポンドドルはもみ合いが続き、大きな方向感は見られず。豪ドルは原油高を背景にこの日もしっかり。
ロンドン市場では、円高とドル売りが優勢。前日からの円買い圧力が継続。この日は中国当局者発言でドル売りの動きも加わる展開になっている。中国当局者は、米債投資に消極的な姿勢、と報じられた。ドル円は112円割れから111.30近辺まで下落。ユーロドルは1.19台前半から1.2018レベルまで買われた。ユーロ円は134円割れから133.32近辺まで下落したあとは133円台後半まで戻した。米債利回りが上昇、米株先物は下落。
NY市場は、ドル円の下値模索が続いた。円に関しては、前日の日銀のオペ減額で出口戦略への思惑が引き続きドル円を圧迫。それに加えてきょうはドル売り圧力が強まった格好だが、中国の外貨準備を見直す当局者らが、米国債購入を減らすか停止することを勧告したと伝わったことが嫌気されている。ドル円は下げ渋りも一時111.25近辺まで下落。ユーロドルは反落。1.20台は維持できず一時1.1950割れ。ユーロ円も再び133円台前半に。午後になってカナダドルが下落。一部報道でトランプ大統領がまもなくNAFTA離脱を発表する可能性と伝わった。
(11日)
東京市場は、円売りが優勢。きょうの日銀オペがハト派的とみられたことや、中国が当局報道を否定したことが背景。ドル円は111円台前半から後半へと反発。ユーロ円は133円近辺から133.60近辺まで買い戻された。ユーロドルは1.19台半ばを中心に揉み合い。豪ドルが堅調。11月豪小売売上高の強い結果に反応した。豪ドル円は87円台前半から一時88円台乗せ。
ロンドン市場は、円売りが一服するなかでポンドが軟調。序盤は落ち着いた値動き。東京市場での円売りの動きは一巡しており、ドル円は111.88レベルまで買われたあとは111.60近辺へと買い一服。ユーロはジリ安。ユーロドルは1.19台前半へ、ユーロ円は133円台後半から前半へと水準を下げた。ポンドは取引中盤に売りが強まった。ポンドドルは1.34台後半、ポンド円は150円台前半と上値が重い。英政府がEU離脱をめぐる2回目の国民投票は行わないと明言した。背景にはEU離脱、残留両勢力からのメイ政権への苛立ちがあるようだ。
NY市場では、ユーロ主導でドル売りが強まった。ECB議事録で、出口戦略への思惑が広がったことでユーロが急伸した。今年の早い時期にガイダンスを変更する可能性が示された。ユーロドルは1.19台前半から一気に1.20台後半まで上昇。また、この日発表された米生産者物価視すが前月比マイナスと予想外の弱い結果となり、ドル売りを誘った。ドル円は一時111.04レベルと大台割れ目前まで下落。取引終盤にダドリーNY連銀総裁が今年の3回利上げの見方を示しドル買い反応も、全般的にはドル安水準で取引を終えた。
(12日)
東京市場は、ドル安水準での揉み合い。ドル円は111円台前半で推移した。朝方の下押しでは111円台は維持されていたが、戻りも111.30台までと限定的。ユーロドルは1.20台半ばでの推移。朝方に1.2067近辺に高値を伸ばしたあとは1.2040-50レベルに落ち着いた。今晩の米消費者物価指数と米小売売上高待ちのムード。豪ドルはやや上値が重い。12月の中国貿易統計で、輸出が好調も輸入は伸びが鈍化していた。
ロンドン市場は、ドル売りが優勢。ユーロドルは1.20台後半から1.21台前半に上昇、約3年ぶりの高値水準となった。ユーロ円も134円ちょうど近辺から134円台後半へと上伸。この日はメルケル独首相とSPDが連立協議で暫定合意したと報じられており、ユーロ買いを誘った。ポンドも追随して買われている。ポンド円は151円台、ポンドドルは1.36台乗せ。ドル円は序盤に111.40台まで反発したが、その後は売りが優勢となり一時111台割れ。取引中盤には米経済指標の発表待ちになっている。
NY市場は、大きく振幅。注目された米消費者物価指数(CPI)において、食品エネルギー除くコアが予想を上回る好結果となり、いったんはドル買いが優勢に。今年の利上げ見通しをサポートする内容に、ドル円は111円70銭近くまで買い上げられた。最も上昇は続かず、111円台前半でもみ合うと、引けにかけては日銀の経済成長見通し引き上げ見通し報道をきっかけに円買いが入り、110円台へ。
執筆者 : MINKABU PRESS
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