【来週の注目材料】前回はサプライズな弱さ、今回は回復見込み=米雇用統計
【来週の注目材料】前回はサプライズな弱さ、今回は回復見込み=米雇用統計
4日に8月の米雇用統計が発表されます。前回は非農業部門雇用者数(NFP)が予想外に前月比マイナスとなるサプライズな弱さを見せ、米雇用の厳しい状況が示される形となりました。
前回7月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比-2.3万人となりました。市場予想は+8.3万人となっており、予想を大きく下回るサプライズな結果となりました。また、6月分が+5.7万人から+2.0万人、5月分が+12.9万人(速報時点では+17.2万人)から+6.3万人に、計10.3万人の大幅下方修正となっています。失業率は4.1%と6月から低下しましたが、労働参加率が61.4%と2021年6月以来の低水準へ低下しており、その影響が大きいとみられます(一般的に労働参加率が低下すると、見かけ上失業率が低下します)。
非農業部門雇用者数の内訳を確認すると、財部門では建設業が+2.2万人と伸びています。AIデータセンターの建設ラッシュが影響しているとみられます。サービス部門では教育・医療サービス部門が+2.5万人と、5か月連続でのプラスとなりましたが、6月の+5.4万人からは伸びが鈍化しました。運輸・倉庫業は+1.0万人と6月の-1.1万人から回復しました。弱さが目立ったのが小売業の-1.9万人。2か月連続の雇用減で、減少幅も広がりました。娯楽・接客業は-4.0万人と6月の-4.3万人に続いて弱さを見せました。アミューズメント・カジノ部門の-1.01万人、飲食部門の-2.61万人などが目立っています。小売、アミューズメント・カジノ、飲食などは比較的景気に余裕があるときに業績が良くなる部門だけに、米景気の鈍化警戒につながりました。また、政府部門が-5.3万人の大きなマイナス。地方の政府部門の-4.96万人が響きました。ここ数年7月の速報値は市場予想を下回る弱さを見せており、その要因の一つが同部門の弱さです。米国の学校は一般的に6月で年度が終わり、7月は同部門の就業者が一気に減少します。労働省は季節調整値でこの動きを調整しますが、その季節調整がうまくいっていないとの見方が一部で広がっており、今回も同様の動きが見られた形です。これは特殊要因となりますので、翌月は回復します。
続いて関連指標動向です。
週間ベースの新規失業保険申請件数は、雇用統計の基準日12日を含む週の比較で7月が18.8万件に対して、8月が20.7万件とやや悪化しています。コンファレンスボード消費者信頼感指数は7月の90.2に対して89.4に悪化し7か月ぶりの低水準となりました。市場予想は90.2でした。もっとも、雇用に関しては職が豊富にあるとの回答が27.0と7月の24.4から一気に増加し、5か月ぶりの高水準となる一方で、職を見つけるのが困難との回答が19.5と7月の21.7から一気に低下しており、両者の差からなる雇用機会判断指数は+7.5と、前回+2.7と5年超ぶりの低水準となった状況から一気に改善しています。
今週これから発表される関連指標です。
1日の8月米ISM製造業の予想は55.2と、7月の55.6から小幅鈍化見込みです。7月は約4年ぶりの高水準であり、小幅鈍化とはいえ水準的にはかなり強い数字となります。前回一気に伸びて52.8となった雇用部門は52.5とこちらも小幅鈍化見込みも、水準的には強めが見込まれています。同時刻に発表される7月の米雇用動態調査(JOLTS)の予想は730万件と、前回の735.9万件から低下見込みです。前回は医療・福祉部門が約1年ぶりの落ち込みを見せて予想及び5月分を下回る弱さを見せましたが、今回はさらに低下の見込みとなっています。ただ、前回見せた解雇件数の低さと採用率の改善傾向が続くようだと、大きな警戒感にはつながらないとみられます。
2日の8月ADP雇用者数は前月比+4.7万人と7月の+4.4万人とほぼ同水準の見込みです。
3日の8月米ISM非製造業景気指数は54.1と7月と同水準見込みです。雇用部門は前回47.4と6月の51.2から大きく低下しました。今回は49.0と少し改善も、好悪判断の基準となる50.0には届かない見込みです。
こうした状況を受けた今回の見通しですが、非農業部門雇用者数が+5.6万人とプラス圏をしっかり回復の見込みです。失業率は4.1%で維持される見込み。平均時給は前月比+0.3%と7月の+0.1%から伸びる見込みも、前年比では+3.0%と7月の+3.2%から鈍化見込みです。予想前後であれば雇用市場は堅調との期待につながります。28日のジャクソンホール会議でのウォーシュ議長による基調講演では、労働市場はかなり安定との評価が示され、FRBが現在注力するべきは物価と示す形利上げ期待につながりました。今回市場予想前後もしくはそれ以上の力強さを見せると、こうした議長の見方を裏付ける形で利上げ期待が広がり、ドル高となりそうです。
MINKABUPRESS 山岡
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。





