【今週の注目材料】米消費者物価指数は要注意
【今週の注目材料】米消費者物価指数は要注意
11日に2月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。イラン紛争への警戒感が広がる中、原油高が物価に与える影響も注目されています。調査対象期間の関係上、今回のイラン紛争の影響が出るのは次回3月分以降となりますが、紛争激化前の段階で米国の物価動向がどのような状況であったかは、今後の米金融政策に影響を与えるため、大きな注目を集めています。
前回1月の米CPIは前年比+2.4%、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア前年比は+2.5%と、12月の2.7%、2.6%を下回りました。総合は市場予想の+2.5%を下回り、コアは市場予想と一致しています。
内訳を見ると、エネルギー価格が12月の+2.3%から-0.1%まで大きく低下しています。電気料金などは上昇していますが、ガソリン価格が2か月連続で大きく低下(11月+0.9%、12月-3.4%、1月-7.5%)したことで、エネルギー全体が押し下げられました。食品は+2.9%と、12月の+3.1%から若干鈍化しました。+15.0%と大きく伸びた牛肉などが全体を支えたほか、賃金上昇の影響もあって外食費が+4.0%と高止まり傾向を見せていることも、上昇要因となっています。
コア部門は財、サービスともに12月から前年比での伸びが鈍化しました。財は12月の+1.4%に対して1月は+1.1%。中古車が12月の+1.6%から-2.0%まで低下し、全体を押し下げました。サービスは12月の+3.0%に対して+2.9%と小幅に鈍化。住居費が12月の+3.2%から+3.0%に鈍化したことが押し下げ要因となりました。住居費を除くコアサービスは12月と同じ+3.4%となっています。
CPI全体を100としたとき35.6%を占める、ウェイトの最も高い住居費は、2023年3月の前年比+8.1%をピークに鈍化傾向にあります。前回1年2か月ぶりに前月の数字から反発(11月+3.0%、12月+3.2%)を見せ警戒感を誘いましたが、1月は再び鈍化したことで懸念がやや後退しています。その他の項目では、自動車保険が12月の+2.8%から+0.5%まで鈍化する一方、医療サービスが12月の+3.5%から1月は+3.9%、航空運賃が12月の-3.4%から1月は+2.2%と上昇を見せるなど、まちまちな結果となっています。
前月比で見ると、総合は+0.2%と予想の+0.3%を下回り、コアは+0.3%と予想に一致しました。個別項目では、輸入依存度の高い家具が12月の-0.4%から+0.7%、家電が12月の-2.6%から+1.3%にともに伸びており、一部で関税の影響を警戒する動きがありました。しかし、12月は年末商戦の影響で下げていただけという側面もあり、その反動と考えるのが自然だという見方が大勢です。
こうした状況を受けて今回の予想ですが、総合が前月比+0.2%(1月+0.2%)、前年比+2.5%(1月+2.4%)、コアが前月比+0.3%(1月+0.3%)、前年比+2.4%(1月+2.5%)となっています。
前回総合を押し下げたガソリン価格は、米エネルギー情報局(EIA)による2月の全米全種平均が1ガロン当たり3.039ドルと、1月の2.936ドルから3.5%上昇しており、全体を押し上げる見込みです(EIAは全米平均ですが、CPIは都市部のみのデータのため、ある程度の誤差は生じます)。一方、コアは住居費の鈍化が継続すれば、市場予想通りの小幅鈍化が期待されます。関税の影響や、2026年に入ってから乱高下を見せる貴金属をはじめとした国際商品価格の上昇も懸念材料ではありますが、直近の輸入物価指数の落ち着いた動きから、影響は限定的とみています。
イラン紛争への警戒感から米指標に対する反応が限定的になっていますが、今後の金融政策に直結するため、物価動向には引き続き注意が必要です。特にCPIが強めに出た場合は要注意です。紛争を受けた原油価格の上昇による物価高への警戒から、米国の早期利下げが難しいとの見方が広がる中、物価上昇が紛争前の段階ですでに見られるとなれば、当面の利下げ見送り見通しに拍車がかかり、ドル高が進む可能性があります。
その他の注目材料としては、12日に米第4四半期GDP改定値、1月の米個人消費支出(PCE)価格指数、1月の米雇用動態調査(JOLTS)求人件数、3月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値などの発表が控えています。
MINKABUPRESS 山岡
執筆者 : MINKABU PRESS
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