【直前まとめ】平均時給にも要注意=米雇用統計
本日22時半に1月の米雇用統計が発表されます。
市場予想は非農業部門雇用者数が前月比+18.9万人、失業率が3.6%となっています。
前回の米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が前月比+22.3万人と、市場予想の+20万人前後を上回り、失業率は前回から悪化するという予想に反して0.1%ポイント低下して3.5%と、昨年9月に付けた約50年ぶりの低水準と並びました。
しかし、発表後の市場の反応はドル売りとなりました。平均時給の伸びが前月比+0.3%、前年比+4.6%と、ともに市場予想(前月比+0.4%、前年比+5.0%)を下回り、11月からも伸びが鈍化する結果となったことを嫌気したドル売りが出た形です。
今回の平均時給は前月比+0.3%、前年比は+4.3%と前月比は前回と変わらず、前年比は弱かった前回を下回る伸びが見込まれています。
前回の雇用統計の内訳を見ていきましょう。
前回は娯楽・接客部門が+6.7万人と堅調さを維持。ヘルスケア・社会福祉部門も+7.44万人と力強い伸びが続いています。景気動向に比較的敏感な小売業が+0.9万人と小幅ながら4カ月ぶりにプラス圏となったほか、雇用の減少が目立っていた運輸・倉庫部門も+0.47万人と5カ月ぶりにプラス圏となりました。ただ、雇用の先行指標といわれるテンポラリーヘルプサービスは5か月連続のマイナス圏となる-3.5万人。減少幅は2021年4月以来の大きさとなっています。
関連指標も見ていきましょう。
1日に関連指標が相次いで発表されました。
22時15分に発表されたADP雇用者は、予想の+18万人、前回の+25.3万人に対して+10.6万人に留まりました。前回値が23.5万人から上方修正された分を入れても弱い数字です。
午前0時に発表されたISM製造業景気指数は予想の48.0、前回の48.4に対して結果は47.4とこちらもやや弱めの数字です。内訳のうち注目度が高い新規受注が42.5と45.1から大きく鈍化。生産も48.6から48に低下しました。雇用部門は好悪判断の境となる50超えを維持しましたが50.6と前回の50.8を下回っています。
一方、同じく午前0時に発表された米雇用動態調査JOLTSの求人数は予想の1030万人、前回の1045.8万人に対して結果は1101.2万人と、相当な好結果になりました。雇用市場自体は堅調であるという期待が広がっています。
その他、相場を動かしたところでは31日に発表された第4四半期米雇用コスト指数が予想の前期比+1.1%、第3四半期の+1.2%に対して+1.0%と予想を下回り、ドル売りとなる場面が見られました。
週間ベースの新規失業保険申請件数は、12日を含む週の統計で12月が21.6万件なっていますが1月は19万件とかなりの減少です。20万件割れは昨年9月18-24日の週以来となります。
こうした状況を踏まえると、今回の非農業部門雇用者数が+18.9万人予想は妥当なところという印象です。なお、伸びが鈍化していますが、コロナ前2019年までの5年間の平均が+19.02万人ですので、水準的にはそれほど悪いものではありません。失業率も前回から悪化とはいえ、前回が50年ぶりの低水準なので、まだまだ低い水準です。
気になるのは平均時給。予想通りもしくはそれ以下の伸びにとどまるとドル売りが出そうです。今週は四半期の雇用コスト指数が予想より0.1%低かっただけで動きが見られたように、このところ雇用についても物価に関連する数字に反応するケースが見られますので要注意です。

執筆者 : MINKABU PRESS
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