【来週の注目材料】米住宅指標の弱さを警戒=米住宅着工件数・中古住宅販売件数
来週は先週の米消費者物価指数、先々週の米雇用統計・ISM景況感指数のように、市場が週初から注目して待ち構えるような大きな指標発表予定はありません。
それだけに先週1990年以来の高値を付けたドル円が、このままドル高基調を続けるのかどうか、激しい動きを見せる米株式・債券市場の動向などをにらみながら注視していくという週になりそうです。
そうした中、米経済指標で比較的注目度が高いものが、19日に発表される9月の米住宅発行件数と、20日に発表される米中古住宅販売件数です。
リーマンショックの主要因となった米国の住宅市場のバブル崩壊から10年以上が経過し、米国の住宅市場は基本的に堅調な状況を続けてきました。しかしここにきて家賃の高騰、その他住宅関連費用の上昇などで、住居費は上昇傾向が著しくなっています。13日に発表された米消費者物価指数において、住居費は前年比6.6%まで上昇。米消費者物価指数全体を100したとき、32.2%と三分の一弱のウェイトを占める同項目の上昇傾向が米消費者物価指数の上昇を支えました。
なお、米国で同項目はリーマンショックを受けて一時マイナス圏に落ち込んだ後、2012年1月に2%台に戻してから長期にわたって前年比2%から3%台半ばでの推移が続きました。パンデミックによる景気後退の影響で、2020年2月の3.3%から低下傾向を見せ、昨年2月の1.5%まで下がりましたが、そこを底として上昇に転じ、昨年11月に約10年間のレンジを超える3.8%まで上昇。その後も一本調子での上昇が続き直近で6.6%まで上がってきたという状況です。こうした動きが米国の家計による住居費以外の消費に回す分のお金にもかなりの影響を与えていると思われます。
家賃などの高騰もあり、では、住宅を購入しようかとしても、住宅価格はそれ以上に高騰しています。米連邦住宅金融庁(FHFA)による全米平均での住宅価格データは、最新の7月分で前年比13.9%の上昇。消費者物価指数の伸びを超える大きな上昇となっています。また、ここにきての米FRBによる積極的な利上げ傾向を受けて、住宅ローン金利も大きく上昇しており、米国で最も一般的な30年固定ローンの金利(フレディ・マック:米連邦住宅抵当貸付公社)は最新10月6日-12日週平均で6.92%と7%に迫っています。昨年のこの時期は3%前後での推移となっていましたから、倍以上の上昇です。
家賃をはじめとする住居費が上昇、住宅価格が上昇、住宅ローンが上昇と、かなり厳しい状況が続く中、米国の住宅市場動向にも注目が集まります。潜在的な需要はあれども、買えないという状況が広がり、住宅市場が落ち込むようだと、波及効果の相当大きい分野だけに、米景気に大きな影響を与えてきそうです。
市場予想は9月の住宅着工件数が147.9万件と、8月の157.5万件から減少、前月比で-5.6%見込みです。もっともこれは前回が7月の140.4万件から一気に増加した分の反動が大きいです。ある程度ならしてみると、春ごろの180万件近いところからじりじりと下がっていて、やや警戒感もという程度の動きです。
米国では中古住宅の市場の方が新築よりも大きいですが、中古住宅販売件数の方の予想472万件。年初の650万件近いところからどんどん落ちてきており、こちらはより警戒感があります。
ともに予想を超えるような落ち込みを示すと、相場にも大きな影響が出る可能性も。
MINKABU PRESS 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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