月末・期末で方向感のない展開 投票経ても情勢不透明な可能性が警戒=NY為替前半
きょうのNY為替市場は方向感のない展開が見られている。朝方はドル買いの反応が見られた。この日の米経済指標が強い内容だったこともあり、米株式市場に買い戻しが強まり、リスク選好の雰囲気もみられる。これまでであれば、為替市場はドル売りで反応してもおかしくはないが、ある意味、素直にドル買いで反応していた。理由は定かではないが、きょうは月末および期末ということもあって、それに絡んだリバランスの動きが主体となっているのかもしれない。
今月に入ってリスク選好の動きが後退し、為替市場はドル買い戻しが強まっていた。しかし、米商品先物協会(CFTC)が発表したIMM投機筋の建玉報告によると、投機筋のドル・インデックスのポジションは差し引きでショートが積み上がったままで、顕著な巻き戻しの動きは出ていない。そのような中、月末および期末ということもあり、さすがにドルのショートカバーが出ているのかもしれない。
そのような中でドル円は、前日同様に105円台での狭い範囲での上下動に終始している。本日の21日線は105.60円付近に来ているが、その水準を挟んでの一進一退が繰り広げられている状況。週末の米雇用統計を見極めたい雰囲気もあるのかもしれない。
なお、前日は第1回米大統領選討論会が開催されていたが、両候補は非難合戦を繰り広げていた。トランプ大統領は郵便投票が詐欺に満ちている可能性を示唆したことで市場では、バイデン候補が勝利した場合でも、トランプ大統領はそれを受け入れず、11月3日の投票を経ても情勢が不透明な可能性が警戒されているようだ。
ユーロドルは1.17ドルちょうど付近での方向感のない展開。ドルの動きに左右されており、NY時間の朝方にはドル買いが強まったことから、1.16ドル台に下落する場面もみられた。ただ今度は、日本時間0時のロンドンフィキシングにかけて急速にドル売りが強まったことで、ユーロドルは1.17ドル台半ばまで戻す場面もみられた。しかし、流れは続かず、フィキシングを通過すると上値が重くなっている。
欧州で感染第2波の拡大が強まる中で、ユーロ圏の景気回復への不安感も高まっている模様。一部からは第3四半期のユーロ圏GDPは力強い回復が期待されるものの、感染第2波が拡大する中で、その力強い回復は続かず、徐々に鈍化して行くとの見方も有力視されている。今年は8%のマイナス成長、来年は5%の成長に留まるとの予想も出ている。
ただ、FRBが低金利の長期化姿勢を強める中で、ユーロドルは上げを維持し、それがECBへのプレッシャーにつながるという。それを受けてECBは12月に、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を5000億ユーロ拡大するとみているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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