昨年安値(105円台)も視野に入ってきた可能性。その理由は。
更なるドル売りの可能性は?
■今週は、先週に引き続きコロナショックの感染拡大、株式市場の動揺を横目に上値が重い展開を想定しています。
■先週のNYダウは2008年のリーマンショック以来の週間下落率となりました。
その影響で世界全体的に「質への逃避」が加速し、米債券市場が急速に買われ、その影響で金利は急低下の過去最低の1.23%まで落ち込みました。
その影響で米ドルが一気に売られ完全にリスク回避の動きが強まりました。先々週まではダイヤモンドプリンセス号への隔離対応批判から日本売りが加速しましたが、それもつかの間その倍返しの下落となったドル円で、一時107円ミドルまで急落しています。
■コロナショックの当初は米国の対応の早さから完全に米国は感染しないイメージからリスク回避の米ドル買いが先行しました。
しかし、先週は一変し、感染者を含め感染拡大、そのことに対する景況悪化懸念が台頭し、完全にトレンドが変わってしまいました。
■今週の米経済指標が大注目になりそうです。
・2月ISM製造業景況指数(2日)
・2月ISM非製造業景況指数(4日)
・2月雇用統計(6日)
特に製造業の分岐点である50ポイントを大幅に下回るようであればネガティブサプライズとなり更に米ドル売りが加速する恐れもあります。
■また、このNYダウの急落からパウエルFRB議長が緊急声明を発表しました。
「コロナウイルスの動向を注視しており、手段を利用し、適切に行動する」と市場の鎮静化に努める発表がなされたことで、3月の緊急利下げがすでに織り込まれました。市場予想では0.25ポイントとみていますが、個人的にはこの程度では緊急性に欠けることから、更に失望売りが加速するのではないかとみています。
■コロナショックはわが国日本にも学校休校、イベント中止など、今後は飲食店にも影響が出始め日本のマイナス成長はしばらく継続する可能性が出てきました。
しかし、日銀としてはこれ以上の緩和の手段が困難な状況であり、政府の財政出動が必要不可欠となっており、リーマンショック以来の不景気も覚悟が必要となる可能性もあります。
■最後にドル円の戦略です。
日足ベースでは、日本売りで加速し上昇した112円台からの倍返しで下落し一時、107円ミドルまで落ち込んでいます。
今年の安値も下回り完全にダウントレンドになってしまいました。
ここまで一気に下落すると多少の戻ることを期待したいところはあるものの、昨年安値の105円台も見えてきています・・・。
移動平均200日線もあっさり下抜けたことでこれまで積み上げてきた円売りポジションも完全に投げられる可能性がでてきました。
今週は積極的に戻り局面では売り方向で想定しています。
トレードタイム 平野朋之 ネット証券にてFX事業全般の業務、自己売買部門でのディーラー業務、投資情報室にて日経225の情報発信、セミナー講師を務める。その後投資顧問会社を経て、マーケット情報発信、セミナー講師、独自手法での資金運用業務を行う