高いSQ、その後も崩れぬ高原状態
「幻のSQ」は解消
日経平均は228円高の21,988円。
米国市場7連騰を受けて、週末3連休前の東京市場は、先週末から述べていた通り、高いSQ値となりました。
推計値21,981円でした。前場、一時21,999円という22,000円ぎりぎりまで迫ったところが高値でした。懸念された、「幻のSQ」は解消されましたことになります。
ファーストリテイリング<9983>とソフトバンク<9984>という日経寄与度の高い銘柄が牽引しました。
この寄与度ランキングを見る限り、本日は景気敏感株はかなり後退しています。トップランキングに残っているのは、アドバンテスト<6857>くらいのもので、圧倒的にディフェンシブ系が多かったのは事実です。この辺に、相場がいったん頭打ちになりそうな気配が見え隠れします。OLC<4661>の反発が急となっていることを見てもわかります。
後場ですが、当初懸念されていたジリ貧傾向はみられず、一貫して前場高値近辺で高原状態を維持しました。一時は前場高値も超えて、22,019円まで上昇する局面がありました。個人的には意外感がありますが、3連休前でこの調子ですと、来週も一段高の先高観が強いのかもしれません。
グローベックスはおおむねNYダウ工業株で30ドル高気配で推移。引け時点では60ドル高前後まで気配を拡大しました。
本日は中国・上海市場は休場です。
株高は実力を伴っているか?
本日の日経新聞朝刊「スクランブル」では、『株上昇、「実力」伴うか』という記事でした。
株高の裏付けとなるはずの企業業績は持ち直していないわけですから、記事が危惧を抱いているのはこの点です。
RI(リビジョンインデックス)はむしろ前週よりも悪化しているので、記事の危惧も当然のことでしょう。
ただ、先行業種が動意を見せてきたことは事実であり、業績データとの日柄差というものは常に存在します。その観点は、記事は勘案しない解説となっています。相場を考える場合には、この日柄差(時間差)という時間論が一番重要です。
経済指標に関しても、同記事は「まちまち」であることに、やはり不安を覚えている内容となっていました。ここで、重要な点があります。「まちまち」や「まだら模様」こそ、相場(そして遅れてはっきりしてくる景気)の循環の初動の特徴だと言う点です。
トランプ大統領が狙っていること
(16年・17年相場の再現)
そこで、世界をリードするアメリカ、とくにトランプ政権が何を狙っているかということを考えますと、前段の疑問というものも多少は解決できるでしょう。
トランプ政権は、恐らく2016-17年の状況の再現を試みようとしているはずです。
2016年秋の大統領選挙でトランプ政権が成立。2017年は当初から、10年で1.5兆ドル(GDPの1%)という巨額の減税を打ち出しました。
成立は2017年12月の年末ぎりぎりでしたが、2017年の相場というものは、こうした減税を中心にさまざまな政策発動がもちきりとなっていた時期です。
これに味をしめているトランプ政権です。2期目の選挙を控えて、今年後半から来年前半というのは、この2016-17年と同じ「トランプ劇場」を演出しようとしているはずです。
(具体的な政策)
実際、本日未明(米国市場引け後)、トランプ大統領は、「中間層向けの大型減税を検討している。1年以内に実現したい。」とアピールしています。
これと、例の超党派で推進されていくであろう、これまた巨額のインフラ投資計画と、同時並行していくと思われ、いよいよ政策発動期待による相場の期待先行相場が始まると考えられます。
実態を示すデータが出てくるのは、ずっと先のことです。それを待っていたら、相場に対峙できません。
戦略方針
日経レバレッジETF<1570>のフルポジション。このままホールドです。
執筆者 : 松川行雄|有限会社増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
大和証券外国株式部勤務の後、投資顧問業を開業。2013年2月ヘッドハンティングにより増田経済研究所に入社。現在同社発行の「日刊チャート新聞」編集長。株式セミナーに於ける投資理論は個人投資家に満足度100%の人気を博す。