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日経、一時21,000円割れ

達人の予想 

不可解な急落

東京市場はのっけからギャップダウンで急落。
前場のアノマリーである10時~10時半には売り出尽くしとならず、前場の安値は11時20分の21,113円でした。
この後切り返しましたが不十分。後場は、13時12分に、前場安値を割って21,039円。そして、後場後半にはさらに安値更新して、20,997円-21,993円。
裁定取引の観点からは、ファーストリテイリング<9983>がほとんど下げていないことからすると、外人が売り叩いたという感じはあまりありません。寄りで、先物にまとまった売り物が出たというのは間違いないところですが、それも外人の売り崩し狙いなのか、別の主体による要因なのか、定かではありません。
業種としては全面安なので、プラスは皆無でした。

「七夕天井、天神底」

今のところ、先月日経新聞の「スクランブル」で警戒を訴えていた、「七夕天井、天神底」のシナリオ想定通りに推移しているといっていいでしょう。
ただ、後述しますように、どうも個人的にはこの本日の東京市場の急落は、不可解です。
というのも、2%以上の大幅下落率というのは、ほかのアジア市場では一つもありません。
かなり(外人というより)国内の特殊要因で下げているのではないでしょうか。
もちろん、キヤノン<7751>の4%超の下げのように、下方修正が今後の日本企業の決算発表に対する警戒感を呼び起こしたということも言えなくはないのですが、どうもこれも決定的な本日の下げ要因だったのかと言われると、違うような気がしてなりません。

実は、敗北感一色の相場展開ではない

ただ、個別銘柄の動きを見ますと、敗北感一色ということでもなさそうです。
例の、重鎮・トヨタ自動車<7203>ですが、このところの続伸商状からは反落したのですが、5日移動平均線上で推移しており、トレンドはまったく崩れていません。
また、もっとも脆弱であろうと思われる半導体関連ですが、これはまちまちとはいいながら、製造装置のディスコ<6146>、ウェハーのSUMCO<3436>、一貫製造工程ラインの東京エレクトロン<8035>、検査装置のアドバンテスト<6857>、洗浄装置のスクリーン<7735>など、いずれも同様にトレンドを崩さず、せいぜい小幅安、小甘いていどの軟調さです。スクリーンなどは逆行高です。
ちなみに、スクリーンはゴールドマンが買い推奨の強調をこの状況下で出して上昇しているようです。
昨晩アメリカでも、半導体SOX指数だけが逆行高であったことを見ますと、この最も先鋭な先行業種が日米で高いということは、一体なにを意味しているでしょうか。
8ヶ月連続で下落を続けてきたDRAM価格が、7月中旬から反転上昇してきています。フッ化ガス輸禁だけで反発しているとは、いささか考えにくいのです。

利下げ幅拡大の観測

あまりこれが大きなきっかけであったとは思えませんが、一説には昨晩アメリカで公表されたベージュブック(12地区連銀景況報告)が要因だという意見もあります。
市場にある説では、米中問題による生産の伸びが鈍化していると言う内容から、月末のFOMCでは、0.25%ではなく、0.5%の利下げになるのではないか、という思惑につながったというのです。
0.5%利下げ期待は以前からありましたが、ごく少数派です。
従って、ここでにわかに0.5%の利下げ期待が再び台頭してきているようで、これがドル安・円高につながったというのです。
ただ、ベージュブック発表前から、下げ始めていたと思うので、あまりこれは該当しないのではないかとは個人的に思うのです。
なるほど、ドル円は本日107.60円台まで大きく円高になったので、これが日本株を下げさせたという話になるのですが、6月以降、ドル円と日経平均は、ジグザグですが、むしろ乖離現象を起こしていたくらいですから、にわかにここで円高を嫌気するというのも腑に落ちません。相場が下げてきていたところに円高なのでこれが下落を加速させたというのであれば、理解はできるかもしれません。

持ち合い解消による下落

この日経平均の唐突な下げですが、やはりかなり特殊な需給要因が背景にあるような気がします。あまりにも突飛すぎる下落です。
市場に出回っている見方には、持ち合い解消の売りが出ているのではないかというものがあります。
ちょうど株主総会もほぼ終わってきたことで、銀行や金融機関が保有していた持ち合い株を放出しており、それが朝から相場を下げさせた一番のきっかけだったのではないかというわけです。
これであれば、本日の日経平均の急落も理解いくらか理解できそうです。
グローベックス市場ではNYダウ工業株先物も70-90ドルほど気配を切り下げていたので、これも下落を誘引した可能性があります。
日中の上海市場も弱く、7月8日以降の底練り状態から下放れ始めそうでしたから、こういう外部環境の不穏さも手伝ったでしょう。

戦略方針

日経レバレッジETF<1570>、本日の時点で、日経平均現物指数はドテン反対売買のシグナルが点灯しました。従って、ルール通りにドテン反対売買して構わなかったのですが、どうもこの急落が腑に落ちませんので、判断保留し、明日の大引けぎりぎりまで見て、最終的に判断・アクションを起こそうと思います。

執筆者 松川行雄

執筆者 : 松川行雄|有限会社増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長 

大和証券外国株式部勤務の後、投資顧問業を開業。2013年2月ヘッドハンティングにより増田経済研究所に入社。現在同社発行の「日刊チャート新聞」編集長。株式セミナーに於ける投資理論は個人投資家に満足度100%の人気を博す。

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