【来週の注目材料】日米金融政策会合はともに利上げ見込み
【来週の注目材料】日米金融政策会合はともに利上げ見込み
15日・16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、17日・18日に日銀金融政策決定会合が開催されます。ここにきて円キャリー取引の巻き戻しへの警戒感が強まる中、両国の金利差の変化につながる両会合への注目度が高まっています。
米FOMCに関しては、利上げ見通しが優勢なものの、据え置き見通しも残る展開となっています。今月4日の米雇用統計発表前までは、利上げと据え置きで市場の見方が拮抗していました。雇用統計の強い結果を受けて利上げ見通しがやや優勢となりましたが、短期金利市場の利上げ織り込みは60%程度にとどまり、9日にベッセント財務長官による円安牽制発言が報じられると、据え置き見通しがやや強まって50対50に戻すなど、見方は割れていました。その後、10日にNY原油先物が100ドル台をつけるなど中東情勢を警戒した原油高が進む中で利上げ期待が高まり70%前後に到達。11日の米消費者物価指数(CPI)を受けて利上げ期待がもう一段高まり、一時90%に達しています。
5月に就任したウォーシュFRB議長は、就任後の6月・7月のFOMCで政策金利の維持を決定しました。声明からフォワードガイダンスを省き、会見でも金融政策の見通しをあいまいにすることで市場の思惑を偏らせず、データに基づいて会合ごとに判断する姿勢を示してきました。ただ、8月のジャクソンホール会議での基調講演で議長は、「基調的なインフレ率が目標である2%へ明確かつ十分な速度で向かっているとの確信がなければ、やるべきことがある」と物価高の継続に対する警戒感を示し、利上げの可能性を強く示唆しました。一方、その時点でやや弱含んでいた雇用については、「労働市場はかなり安定しており、注力するべきは物価」との認識を示しています。今月4日に発表された米雇用統計が予想外の強さを見せたことで、議長の発言通り労働市場の安定が確認される中、市場の注目は11日の米CPIと、先行指標でもある前日10日の米生産者物価指数(PPI)に集まっていました。
10日発表の8月米PPIは前年比+5.4%と、7月の+4.8%から伸びが加速し、市場予想の+5.3%を小幅に上回りました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア前年比は+4.6%と、こちらも7月の+4.3%から伸びが加速し、市場予想と一致しました。前月比は+0.4%でやや高めながら市場予想と一致し、コア前月比は+0.2%で予想の+0.3%を下回りました。インフレターゲットの対象となるPCE価格指数に関連する項目では、航空運賃や外来医療などの医療費が上昇しています。なお、PPIのデータを利用しており、比較的変動が大きく不確定要因となっていたポートフォリオ管理費については、データを基にした新たな推計手法へ切り替わります。
11日のCPIも概ね予想通りで、コア前月比が+0.3%と予想の+0.2%を小幅に上回る程度にとどまりました。しかし、発表後に利上げ期待が一気に高まり、一時的にドル高が進む反応が見られました。長引く中東情勢を受けた原油高を背景に今後の物価上昇警戒が広がる中、米物価統計の発表を無難にこなしたことで、利上げへの期待感が広がったとみられます。
少し前までの「6対4」といった見方の割れ方であれば利上げ決定でドル高となりますが、利上げが大幅に織り込まれた後だけに、利上げ決定自体によるドル高の動きは限定的となりそうです。声明や議長会見も落ち着いた内容にとどまる可能性が高いとみられます。ただ、今回は四半期に一度の経済見通し(SEP)が公表されます。前回6月のSEPでは年末時点での政策金利水準見通しについて3.75%(現行の3.50-3.75%から1回の利上げと据え置き見通しが拮抗)とし、2027年末を3.625%、2028年を3.375%としていました。こうした中、今回利上げ(3.50-3.75%→3.75-4.00%)に踏み切ると、2026年末時点での見通しの上方修正は確実視されます。さらに市場の期待する追加利上げに向けて、どこまで見通しが変化してくるかなどが注目されます。見通し次第ではドル高が進む可能性があります。
17日・18日の日銀金融政策決定会合では、利上げがほぼ確実視されています。海外勢のごく一部に、高田日銀審議委員が大幅利上げの可能性に言及したことなどを受けて0.5%の利上げを期待する動きが見られましたが、その後はさすがに大幅利上げは難しいとの見方が広がっています。注目は植田日銀総裁の会見で、今後の利上げをどこまで示唆できるかが焦点となります。市場は10月の連続利上げを今のところ22%程度、12月までの利上げを90%程度とほぼ織り込んでいます。10月の連続利上げへの期待が高まるようであれば、円買いの動きが強まりそうです。
FOMCでの四半期報告が落ち着いたものとなり、日銀の利上げ継続期待がはっきりと示される形でドル安・円高方向に材料がそろった場合、かなり大きな値動きにつながる可能性があります。
MINKABUPRESS 山岡
執筆者 : MINKABU PRESS
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