【通貨別まとめと見通し】スイスフラン円:200円台から192円台へ8円超の歴史的暴落、安全通貨同士の激突は「圧倒的な円の巻き戻し」に軍配
【通貨別まとめと見通し】スイスフラン円:200円台から192円台へ8円超の歴史的暴落、安全通貨同士の激突は「圧倒的な円の巻き戻し」に軍配
先週から週明け(7月27日〜8月3日)のまとめ
前回レポートの時点で200円〜201円台という歴史的な高値圏を推移していた相場は、7月30日(木)の欧州時間までは200円台半ばで極めて底堅く推移していた。しかし、この大台キープが「壮絶なナイアガラ急落」への壮大なフラグとなった。
30日のNY時間(22:00台)から突如として猛烈な円買い圧力が市場を支配し、わずか2時間で200円台から196円台まで一気に4円幅も暴落。翌31日(金)には一旦199.33円まで自律反発する場面もあったが、戻り待ちの強烈な売りに押されて再び失速した。そして週明け8月3日(月)には、世界的な株安連鎖によるパニック的なリスクオフが直撃。朝方(9:00台)には溜まっていたストップロスを巻き込みながら一時192.654円まで底抜けした。高値(30日早朝の200.959円)からわずか3営業日で「約8.3円(830pips)の歴史的な大暴落」となり、長らく続いた上昇トレンドは跡形もなく崩壊。足元(8月4日昼現在)は194.60円台まで自律反発しているものの、スイスフラン円らしからぬ極めてボラティリティの高い修復相場へ移行している。
詳細な値動きの振り返り
■ 200円大台での高値保ち合いとピークアウト(7月27日〜7月30日前半)
週前半の27日(月)から29日(水)にかけては、199.50〜200.80円を中心としたレンジでエネルギーを蓄積。30日(木)の早朝(5:00台)には200.959円まで上値を伸ばし、堅調な地合いを維持しているように見えた。しかし、201円台への再乗せには失敗し、徐々に上値の重さが意識され始めていた。
■ 安全通貨フランを飲み込むナイアガラ急落(7月30日後半〜7月31日)
30日(木)の夜間(22:00台)から状況は一変する。200.569円をつけていた相場が突如崩れ、23:00台には一時196.070円まで瞬く間に約4.5円幅の暴落を記録した。翌31日(金)の東京・欧州時間にかけては自律反発が入り、12:00台に199.333円まで半値戻しを達成したものの、これが「絶好の戻り売り場」となり、NY時間にかけて再び196円台へと押し戻される極めて弱い展開となった。
■ 週明けのパニック売りと192円台への底抜け(8月3日〜足元)
週明け3日(月)は、グローバルなリスクオフの津波が直撃。本来リスクオフで買われやすいスイスフランだが、今回は「円買い」の波が圧倒的に勝り、朝方9:00台には一時192.654円の最安値を記録した。その後は突っ込み売りに対する買い戻しやショートカバーが優勢となり、足元(4日昼)は194.60円付近での乱高下となっている。
ファンダメンタルズ分析
スイス側:「逃避通貨」の特性を無効化するほどの「ポジション解消」
スイスフランは伝統的に「リスクオフの逃避先(安全通貨)」として買われる性質を持つ。しかし、今年に入りSNB(スイス国立銀行)が複数回の利下げを行ったことでフランの金利的な魅力が低下しており、フランを調達通貨としたキャリー取引も一部で膨らんでいた。今回の世界的な株安局面では「フラン買い」も一定数発生したはずだが、それを遥かに凌駕する「フラン円のロングポジション解消(フラン売り・円買い)」が殺到したため、避難通貨としての特性が完全に打ち消される結果となった。
日本側:巨大な「円キャリー巻き戻し」というマグマの逆噴射
「いつ介入が入るか」という警戒感の限界点で、日銀の追加利上げやグローバルな投資家のレバレッジ解消が重なり、これまで相場を押し上げてきた「圧倒的な円売りエネルギー」が逆回転を起こした。数ヶ月にわたって積み上げられたスイスフラン買い・円売りポジションが一斉にアンワインド(巻き戻し)に走ったことで、パニック的な暴落を引き起こした。
テクニカル分析
トレンド判断
30日高値(200.959円)から3日安値(192.654円)への壊滅的な8円超の下落により、長らく続いた「上昇トレンド」は完全に終焉を迎え、明確な「下降トレンド(あるいは暴落後のパニック調整局面)」へと大転換した。
あらゆる移動平均線やテクニカルサポートを窓を開けて下抜けており、現在は「底なし沼」からようやく床(192円台半ば)を確認し、自律反発を試みている段階。短期的には上値に分厚いシコリ(含み損を抱えたロングポジション)が残っており、193.00〜197.00円を中心とした「ボラティリティの極めて高い修復相場」に移行している。
【スイスフラン円 主要なレジスタンス・サポートライン】
(上値抵抗帯)
レジスタンス3: 199.30 - 199.50円 (31日の強烈な反発局面での高値。当面の大天井)
レジスタンス2: 197.00 - 197.20円 (週末を挟んでの窓埋め水準・戻り売りの急所)
レジスタンス1: 195.20 - 195.60円 (8月3日の急落前につけた戻り高値圏。直近の明確な壁)
(下値支持帯)
サポート1: 193.10 - 193.20円 (足元の3日深夜〜4日未明にかけて下支えとなった第一防衛線)
サポート2: 192.65円 (8月3日のパニック売りでつけた最安値。絶対的な防衛線)
サポート3: 190.00円 (192円割れが起きた場合の次なる心理的・テクニカルターゲットである大台)
今週のポイント・見通し
今週の最大の焦点は、歴史的な大暴落によってパニック状態にある市場が「192.65円を当面の底として機能させられるか」である。投げ売りは一旦の一巡感を見せているものの、普段は比較的値動きがマイルドなフラン円が異常なボラティリティを伴っており、反発局面では強烈な戻り売りに晒されることになる。
【メインシナリオ】192円台を底とした荒い自律反発(ショートカバー)と戻り売り
パニック的な円買いが一旦のピークを迎え、192.65円を当面の底として認識する展開。突っ込み売りに対する買い戻し(ショートカバー)が優勢となり、195円〜196円台への反発を試みる。ただし、上値は非常に重く、196円台以上では戻り売り圧力に頭を叩かれ、193円〜196円の広いレンジ内で乱高下を繰り返しながら日柄調整を進める展開を見込む。
想定レンジ: 193.00 - 196.50円
根拠: 短期的な極度の売られすぎ(オシレーターの極値)からの自律反発、上値に残存する重厚な戻り売り圧力。
【対抗シナリオ】リスクオフの再燃と192円割れによる「二次ショック」の発生
世界的な株安などリスクオフの波が収まらず、円キャリー取引の巻き戻しが「まだ終わっていなかった」場合。足元の自律反発(194円台)が単なる綾戻しに終わり、再び売り圧力が強まる展開。3日安値の192.65円を明確に割り込むと、残っていたロング勢の最後の投げ売りを巻き込み、大台の190.00円に向けて底抜けの二次ショック(セリング・クライマックスの第2波)が発生するリスクがある。
想定レンジ: 190.00 - 194.50円
根拠: グローバルなリスク回避姿勢の継続、ポジション解消の未了、追証(マージンコール)絡みの連鎖的な売り。
総評
先週から今週にかけての相場は、200円の大台から192円台へと、わずか数日で8円超も吹き飛ぶ歴史的な一週間となった。普段は比較的穏やかなトレンドを形成しやすいスイスフラン円において、これほどの短期間での暴落は極めて異例である。安全通貨の代表格であるフランをも圧倒するほどの「巨大な円キャリー巻き戻しの破壊力」を市場に知らしめる結果となった。相場のテーマは「高値警戒感」から「暴落後の底値探り」へと完全にシフトしている。1日に2〜3円動くことも珍しくない異常なボラティリティ環境となっており、安易な値ごろ感からの逆張りは極めて危険である。まずは市場のパニックが完全に収まり、日足レベルでの明確な底打ちシグナルが確認できるまで、厳重なリスク管理が求められる相場環境である。
今週の主な予定と結果
スイス
08/03 15:30 消費者物価指数(CPI) (7月) 結果 -0.1% 予想 -0.1% 前回 0.0% (前月比)
08/03 15:30 消費者物価指数(CPI) (7月) 結果 0.4% 予想 0.3% 前回 0.5% (前年比)
08/03 16:30 製造業PMI(購買担当者景気指数) (7月) 結果 53.2 予想 54.9 前回 54.3
08/06 16:00 雇用統計 (7月) 予想 3.0% 前回 2.9% (失業率(季調前))
08/06 16:00 雇用統計 (7月) 予想 3.1% 前回 3.1% (失業率(季調済))
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。