【来週の注目材料】第2期トランプ政権スタート
【来週の注目材料】第2期トランプ政権スタート
20日にトランプ次期大統領の就任式が予定されています。18日にバージニア州のトランプナショナルゴルフクラブでレセプションを行い、バンス次期副大統領主催の夕食会なども予定されています。19日にはワシントンDCで政治集会を開く予定。20日当日は午前中に慣例であるバイデン大統領とのお茶会を行い、11時半の副大統領の宣誓に続き、正午から大統領宣誓が行われます。これにより第47代米大統領に正式に就任し、12時半から就任演説を行います。
就任演説の内容に加え、初日に出されるとみられる多くの大統領令にも注目が集まります。バイデン大統領の時は就任初日に15の大統領令に署名が行われ、第1期トランプ政権で出された多くの大統領令を撤回、トランプ氏が離脱したパリ協定復帰など、脱トランプの姿勢をアピールしました。トランプ氏は初日にバイデン氏によって撤回された大統領令の復活などを含め、25以上の大統領令を出して、今後の姿勢をアピールしてくるとみられます。トランプ氏が以前の米紙でのインタビューで、「あなたは独裁者になるつもりはありますか?」と問われ、「独裁者になるつもりは全くない、初日以外は」と回答しています。逆に言えば初日は独裁者になるということ。かなり積極的な姿勢が見られると予想されます。
具体的に行われるとみられる方針としては、まず脱・脱炭素。トランプ氏はかねてから「ドリル、ベイビー、ドリル」(掘って、掘って、掘りまくれ)という2008年に共和党副大統領候補であったサラ・ペイリン氏によって提唱されたフレーズを使い、米国内の石油・天然ガス生産の拡大方針を強く示しています。
続いては移民問題。トランプ氏は就任初日に国境を閉め、不法移民を送り返すとしています。ただ、米国内の不法移民の数は1100万人にも上り、すべての不法移民を送り返すことは現実的ではありません。また、第1期トランプ政権でも移民について厳しい姿勢を口にしていましたが、実際に強制送還された数は、150万人ほどに留まっており、第1期オバマ政権の290万人の約半分、第2期オバマ政権の190万人も下回り、バイデン政権とほぼ同数となります。どこまで実効性のある移民の送還姿勢を打ち出すのかなどが注目されます。
最後に相場に最も影響を与えそうな経済政策です。
まずは関税の問題。今回の選挙戦の中で関税強化姿勢を打ち出してきたトランプ氏だけに、その姿勢が注目されます。すでに初日に「外国歳入庁」という外国からの関税を徴収する部署を設置することが表明されています。また、メキシコとカナダに25%の関税、第1期トランプ政権で4段階に分けて関税を付与し、現在7.5%-25%(EV車は100%)の関税がかかっている中国にも追加で10%もしくは60%の関税をかけるとの姿勢を示しています。またすべての国・地域を対象に10-20%の関税をかけるユニバーサル関税の方針も見せています。これらの動きは基本的にドル高に作用するとみられます。
一方でインフレ抑制も経済政策の柱として示されています。関税による輸入物価上昇が見込まれる中ですが、エネルギーコストの軽減や運送コストの低下などで物価を抑える姿勢となっています。規制緩和、国内産業保護などと合わせ、どこまでの姿勢を示すのかも注目ポイントです。
ある程度は織り込まれているとはいえ、基本的にはドル高に作用しそうな状況となっているだけに、実際の反応に注目です。
執筆者 : MINKABU PRESS
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