クラウドサービス企業が活気を取り戻す兆し=米国株個別
顧客企業のIT予算削減の波が収まりつつあることを示唆する決算報告を受けて、クラウドサービス企業の株価が上昇している。アマゾン<AMZN>は前日に、急減速していたアマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)の成長が安定してきたと発表した。また、生産性ソフトウェアのアトラシアン<TEAM>は、クラウドサービスに移行する顧客の力強い勢いを挙げていた。先週、アルファベット<GOOG>傘下のグーグルのクラウド部門は28%の増収と予想を上回る1株利益を計上。
一部からは、「今後もクラウド市場は健全な速度で拡大し続ける。マクロ環境は徐々に正しい方向に向かっており、クラウド・プロバイダーも、顧客企業が人工知能(AI)の利用を増やすにつれて上昇する可能性が高い」との指摘も出ていた。
クラウド企業は、顧客機魚のIT予算削減の動きから、今年の大半をプレッシャーにさらされてきた。最大手の顧客であるハイテク企業は、大幅な人員削減やコスト削減を実施し、必要なコンピューティング・パワーやプランニング、人事、その他のソフトウェアを削減した。ただ、現在は人員削減のペースは鈍化している。
顧客がクラウドへの料金を削減しようとする可能性は低くなっているという。アマゾンのオルサブクシーCFOは「一部の大口顧客のコスト削減の動きは終わりつつあるようだ」と述べていた。
それでも、企業のソフトウェア予算が圧迫されていることを示す指標はまだある。アトラシアンの新規顧客数はアナリストの予想の半分に留まった。AWSの売上げの伸びは、懸念されていたよりは良かったものの、アマゾンがクラウド部門の業績を公表し始めて以来、最も低いものだった。また、マイクロソフト<MSFT>のアジュールの成長も4-6月期(第4四半期)には鈍化を見せていた。
最新の決算では、AIがいつ売上げを大きく伸ばすかについて様々な見方が示されているが、大手IT企業は、文章や画像を生成できるAIがいずれ大化けするという期待に支えられている。ソフトウェア企業にとって、このようなツールは自社製品に、より強力な機能と高価格を与える扉を開く。
クラウドの分野では長らく後塵を拝してきたオラクル<ORCL>だが、同社のクラウド・インフラストラクチャ部門は、大規模な言語モデル開発を手がける企業の後押しもあり、76%に成長を加速させていた。
ただ、同社のエリソン会長は生成AIの宣伝がいつ売上げに結びつくのか、具体的な数字は明らかにしていないほか、マイクロソフトのナデラCEOも先週、本当の収益シグナルは2024年にやってくると予測していた。一方、アマゾンのジャッシーCEOは前日の決算説明会で、「まだ早い。大半の企業は、どのようにアプローチしたいかをまだ見極めている段階だ」と述べていた。
(NY時間14:03)
マイクロソフト<MSFT> 330.85(+4.19 +1.28%)
アマゾン<AMZN> 141.59(+12.68 +9.84%)
アトラシアン<TEAM> 198.51(+28.86 +17.01%)
オラクル<ORCL> 114.97(+0.42 +0.36%)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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