ドル円は138円台 値ごろ感の買いも上値重い 全体的には方向感なし=NY為替概況
ドル円は138円台 値ごろ感の買いも上値重い 全体的には方向感なし=NY為替概況
きょうのドル円はNY時間に入って買い戻しが膨らみ、一時139円台に戻していた。先週は一時200日線に顔合わせするなど、急速に円キャリー取引の巻き戻しとドルの戻り売りが入ったが、200日線をメドに下値では値ごろ感の買いも入っているようだ。しかし、上値では戻り待ちの売りも多く、再び138円台に値を落としている。
一部からは、来週のFOMCでの利上げ決定前にドルが短期的に下支えされる可能性があるとの指摘も出ている。来週のFOMCでの利上げ決定を控え、投資家はより慎重姿勢で臨むことから、ドルは最近の下落分を取り戻す可能性があるという。
市場は来週の利上げを確実視しているものの、9月以降については見方が分かれている。だた、9月FOMCまでに米雇用統計、米消費者物価指数(CPI)とも2回数字を確認できる。その結果を待ちたい雰囲気もあるようだ。
先週の米消費者物価指数(CPI)を受けて、市場にはFRBの利上げ打ち止め観測が高まっているが、FRBは9月以降も利上げを断念しない可能性もある。コアインフレは低下しているものの、米労働市場は依然ひっ迫しており、その他の経済指標も底堅さを維持している。なお、来週のFOMCを前に今週はFOMC委員が発言を控えるブラックアウト期間に入っており、発言は出てこない。
きょうのユーロドルは1.12ドル台半ばに上昇しているものの、全体的には様子見気分が強まっている。エコノミストの間では、ECBは9月にも利上げ実施し、中銀預金金利を4.00%まで引き上げてターミナルレート(最終到達点)を迎えるとの見方が有力視されている模様。根強いインフレが判明する中で、従来予想よりもタカ派寄りに修正しているようだ。
一方、米国でのディスインフレの兆候と、FRBの9月以降の利上げに対する懐疑的な見方から、ドルは短期的には弱含みで推移するものの、年後半には持ち直す可能性があるとの指摘が出ている。その場合、ユーロドルは3カ月後に1.08ドル、6カ月後の来年にかけ1.06ドルまで下落する可能性があるという。
米景気後退懸念が年末にかけて高まれば、安全資産であるドルが恩恵を受ける一方、ユーロはECBの利上げサイクルがピークに向かいつつある兆候から、夏以降は苦戦する可能性があると述べている。
きょうの為替市場は全体的には様子見気分が広がる中、ポンドドルは1.30ドル台後半での推移。本日は上げが一服しているものの、テクニカル的にポンドはさらに上値追いの可能性があるとの見方も出ている。ポンドドルは一時1.31ドルを越えて急上昇し、上値へのモメンタムが強くなっている。そのことから、しばらく戻りを試す可能性は低いとの指摘も出ている。今後1カ月ほどはブレイクアウト水準である1.2850ドルを下回ることはないという。
今週は19日水曜日に英消費者物価指数(CPI)の発表が予定されているが、そのイベントは英中銀の0.50%ポイントの大幅利上げに向かわせる可能性が高いとの指摘が出ている。高水準のコアインフレが続くと、英中銀は次回8月3日の金融政策委員会(MPC)で、前回同様に0.50%ポイントの連続利上げに踏みるとしている。今週の英CPIが7%以上のサービスインフレを示唆するようなら、英中銀はインフレを下げるべく、断固とした行動をとらざるを得なくなるという。英CPIが依然として高い水準にあることに加え、賃金の伸びも堅調なことから、英中銀の利上げ期待は高い。
*英消費者物価指数(6月)19日15:00
予想 0.4% 前回 0.7%(前月比)
予想 8.2% 前回 8.7%(前年比)
予想 7.1% 前回 7.1%(コア・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。