米銀は今後数カ月の間に一連の規制による逆風に直面するとの警告=米国株個別
今週の米株式市場でダウ平均は5日続落となっており、4週間ぶりの週足陰線で終わりそうな気配が出ている。今週はパウエルFRB議長の議会証言や英中銀の予想外の大幅利上げがあったが、中央銀行が従来よりもタカ派なシグナルが出されたと受け止められている。それにより株式市場では景気後退への懸念が再燃している状況。
そのような中で景気の先行きと金利に敏感な銀行株も売りに押された。アナリストからは、米銀は今後数カ月の間に一連の規制による逆風に直面するとの警告が出ている。この1カ月近く上昇を続けてきた銀行株だが、FRBが大手銀に対する自己資本規制の大幅引き上げを検討していることや、来週水曜日に予定されている年次ストレステストへの警戒感で再び売り圧力にさらされている。今週の銀行株はJPモルガン<JPM>がファースト・リパブリックの経営破綻を受けて買収に合意した5月初旬以来の最悪の週となっている状況。
上記アナリストは、今週の銀行株の下落はSVB破綻後の銀行危機、景気後退への懸念、そして、夏から秋にかけて銀行が直面するであろう3つの規制の波を反映している」と指摘している。半面、ストレステストについてはこの夏、銀行株が直面する3つの規制の波のうち最も小さなものになる可能性が高いと見ており、テストが始まって以来最も厳しいものの1つであるにもかかわらず、不合格になる銀行はないだろうと付け加えている。その代わりに、バーゼル銀行監督委員会による新ルールやFRBの監督強化によってもたらされる影響に目を向けるべきだという。
パウエルFRB議長はきのう、上院銀行委員会のメンバーに対し、米大手銀に対する自己資本規制が約20%引き上げられる可能性があると語っていたが、米連邦預金保険公社(FDIC)のグルーエンバーグ会長もその可能性に言及していた。会長はバーゼル3改革の一環として、少なくとも1000億ドル以上の資産を持つ銀行は予期せぬストレスが発生した場合、より多くの資本を積み立てるという新たなルールに直面することになると述べた。
ストレステストのシナリオはSVBの預金問題やスタグフレーションには対応していない。そのため、規制当局はより多くの資本、TLAC(総合的損失吸収能力)、流動性、監視を求めることになるだろうと同アナリストは述べている。
(NY時間13:32)
JPモルガン<JPM> 139.03(-0.55 -0.39%)
バンカメ<BAC> 27.81(-0.16 -0.55%)
シティグループ<C> 46.20(-0.44 -0.93%)
ゴールドマン<GS> 316.15(-3.43 -1.07%)
モルガン・スタンレー<MS> 83.75(-0.75 -0.89%)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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