【来週の注目材料】12月のFOMCでの利上げ見通しに影響=米消費者物価指数(CPI)
【来週の注目材料】12月のFOMCでの利上げ見通しに影響=米消費者物価指数(CPI)
10日に10月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。前回9月のCPIは前年比+8.2%と8月の+8.3%から鈍化も、市場予想の+8.1%を上回る結果となりました。食品とエネルギーを除いたコア部分は前年比+6.6%と8月の+6.3%から伸びが加速。市場予想の+6.5%も超える強い伸びを示しました。
前月比は+0.4%、同コア前月比は+0.6%と共に市場予想を上回る伸びに。8月はそれぞれ+0.1%、+0.6%となっていました。
前年比は6月分が+9.1%まで伸びた後は、3カ月連続で鈍化しています。原油価格が落ち着いたことを受けて、ガソリン価格の伸びが鈍化。6月分の前年比+59.9%、7月の+44.0%、8月分の+25.6%と鈍化してきた流れで、9月分は+18.2%まで伸びが縮んできました。全体を100%としたときに、4.2%を占める大きな項目だけに、伸びの鈍化が全体の数字に影響しました。家計への影響が大きいことで懸念される食品価格は前年比+11.2%、うち家庭用食品は+13.0%と、依然としてかなり高い伸びとなっていますが、8月のそれぞれ11.4%と13.5%に比べて伸びが鈍化しています。
その他項目をみると、サプライチェーン問題が少しずつ落ち着いてきたことを受けて自動車価格が落ち着いてきています。新車、中古車共に8月分から伸びが鈍化。特に新車に関しては4月分の前年比+13.2%をピークに5ヶ月連続での伸び鈍化となり、昨年10月以来の一けた台の伸びとなる+9.4%となっています。
上昇傾向が続くのが住居費の伸び。家賃などは契約更改時のみの変更がほとんどのため、他の物価に比べて遅れがちの変化となる住居費は前年比+6.6%まで上昇。昨年以来一度も下がっていない同項目は今後も上昇傾向が見込まれるところとなっています。CPI全体の約3分の1、コアCPIの約5分の2を占める重要項目だけに、今後も物価全体を押し上げてくる可能性があります。
こうした状況を受けて、今回の予想ですが、前年比+8.0%、コア前年比+6.6%となっています。
このところ全体の数字の伸びを抑える主要因となっているエネルギー価格ですが、9月から10月にかけてはガソリン小売価格が上昇しており、今回はそれほどの落ち込みは期待できません。EIA調査による全米全種平均でのガソリン価格は9月から10月にかけて約3.1%上昇。比較元の2021年のガソリン価格が9月から10月にかけてそれ以上に伸びていますので、前年比での伸びを比べるとおそらく若干鈍化ですが、かなりの小幅になります。今回総合が見通し通り0.2%ポイントの鈍化を見せるとすると、主要因は食品価格となりそうです。食品価格は8月分の+11.4%から9月分は+11.2%に低下。10月分も同様に下げを見せると、全体の13.6%を占める大きな項目だけに影響が大きくなります。
コアは+6.6%と前回の伸びを維持する見込み。住居費がまだ伸びると見込まれますが、その他項目の伸びが抑えられ、前回の伸びが維持される見込みです。住居費に関しては家賃の伸びが依然厳しいものとなっていますが、米国は賃貸よりも持ち家の人の方が多いため、住居費のかなり部分を帰属家賃(持ち家の価格上昇を物価統計に含めるための対応)が占めています。こちらに関しては上昇したからといって消費にマイナスの影響を与えるようなものではありません。
総合の若干鈍化、コアの横ばいと予想通りの状況が見られると、今後の利上げついては少し落ち着いてくるという予想が立つ可能性があります。
ただ、エネルギー価格の落ち込みがこれまでのように見られない中で、総合の数字が予想を超える伸びを示した場合は、12月も0.75%ポイントの利上げを続けるという見通しにつながりそう。
このところ米CPIの結果については0.1%の違いでもそれなりに大きく反応するケースが見られますので、あくまで結果次第という面が大きいです。
MINKABU PRESS 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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