FOMC後に振幅も基調はドル安
FOMC後に振幅も基調はドル安
欧州通貨高ドル安が主導
ユーロドルはPMIの強さが支えに
ポンドドルはEUとの通商協議の合意期待が支え、フォンデアライエン欧州委員長発言などがきっかけ
【東京市場】ドル安進み、ドル円11月9日以来の安値圏
東京市場でドル円は昨日海外市場からのドル売り円買いの動きが継続する形で値を落とし、一時11月9日以来の安値圏となる103円42銭まで値を落とした。前日の海外市場で103円61銭まで値を落とし、その後も安値圏もみ合いで東京朝に。11月後半、12月4日と二度下値を支えた103円60銭台を朝のドル売りで下回ると、その後はいったんもみ合いとなった。もっとも戻りは103円72銭までと頭の重い展開が続く中、午後に入って再びドル安円高の動きが強まり、103円台半ばを割り込むところまで値を落とす展開に。
昨日の海外市場で円高の動きから126円割れを付けた後126円ちょうどばさみでの振幅となり東京朝を迎えたユーロ円は、126円台が重く、東京午前の上値は126円04銭まで。午後に入ってドル円同様に円高の動きが強まり125円80前後を付ける動きとなっている。
ユーロ円の下げもあって午前中は1.2150を割り込むなど売りが目立ったユーロドルは、午後に入ってドル売りの動きに少し上昇し1.2160台まで。もっとも値幅は限定的で様子見ムード。
EUとの通商協議の合意期待などから昨日の海外市場で大きく上昇したポンドは堅調地合いを維持。ポンドドルは海外市場で1.3280前後から1.3465前後まで大きく上昇。東京午前はさすがに利益確定の売りなどが出て上値から値を落とすも1.3434前後までと押し目は限定的。午後に入ってドル売りが強まるとNY市場の高値を超えて1.3470前後まで上値を伸ばしている。円高進行の分ポンド円はNY市場の高値を超えていないものの139円台前半での推移が続いており地合いは堅調。
【ロンドン市場】ドル売り強まり、一時103円20銭台まで
ドル売りの動きがさらに強まり、東京午後の安値を割り込んで一時103円26銭を付ける動きが見られた。
その後値を戻したものの戻りは鈍い。
ユーロドルでのユーロ買いドル売りがドル安の動きを誘った。
ユーロ圏、独、仏のPMI(購買担当者景気指数)が予想よりも強めに出たことで、
ユーロ買いに安心感が広がった。
また、警戒感が見られる英・EU通商協議に関して
フォンデアライエン欧州委員長が合意に向けた道筋に向かっていると発言したことで期待感が広がった。
同発言もあってポンドもしっかりでポンドドルは1.35台前半まで。
【NY市場】FOMC後に振幅
FOMC(米連邦公開市場委員会)では、事前見通し通り、政策金利、量的緩和(QE)の現状維持を決めた。
一部で期待されていたQEでの購入債券の平均残存期間(デュレーション)長期化についても見送られた。
また、同時に発表されたFOMCメンバーによる政策金利・経済成長などの見通しにおいて
2023年末までの金利据え置きが大勢となったものの
それでの利上げ期待を見込むメンバーが一名増えたことなどもあって、発表直後にドル買いが広がった。
ドル円は103円90銭台まで上値を伸ばす画面が見られた。
しかし、その後のパウエルFRB議長会見において
追加緩和の可能性などを指摘。緩和姿勢を強調したこともあって
一気にドル売りが入り、上昇分を打ち消す動きとなった。
ロンドン市場で1.22台を付けた後、調整が入って1.21台後半に値を落としてFOMCを迎え
1.2120台まで値を落としたユーロドルは1.2200前後まで上昇。
【本日の見通し】ドル安基調継続か
FOMC後のドル買いで104円に届かず値を落としており
上値の重さが意識される展開になっている。
ドル円は103円割れも意識される展開。103円60銭前後が重くなるようだと、103円20銭割れからの見切り売りに注意。
ユーロドルはFOMC前に乗せ、FOMC後にいったん値を落とすも再び付けてきている1.22台に
安定して乗せてくるようだとユーロ買い基調が強まりそう。
ドル全面安基調が継続が基本か。
もっともユーロに関しては高値警戒感も。
ポンドもつられて買いが出そうだが、EUとの通商協議の動向に依然神経質。
突っ込んだ動きは避けたいところ。
【本日の戦略】戻り売り
ドル安基調を意識し、ドル円は戻り売りが基本となりそう。
104円台に乗せてくるようだとストップ。
スウィングは103円台後半にかけての売上り、
デイトレはもっと早めに売りからの回転という印象。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《12/16 水曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 103.67 1.2151 125.99
高値 103.92 1.2212 126.35
安値 103.26 1.2125 125.71
終値 103.47 1.2200 126.24
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《12/16 水曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 26757.40 +69.56
DOW 30154.54 -44.77
S&P 3701.17 +6.55
Nasdaq 12658.19 +63.13
FTSE 6570.91 +57.59
DAX 13565.98 +203.11
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《12/16 水曜日の商品市場》
NY原油先物1月限(WTI)(終値)
1バレル=47.82(+0.20 +0.42%)
NY金先物2月限(COMEX)(終値)
1オンス=1859.10(+3.80 +0.20%)
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《12/16 水曜日に発表された主な経済指標》
【韓国】
雇用統計(11月)08:00
結果 4.1%
予想 4.2% 前回 4.2%(失業率)
【日本】
通関ベース貿易収支(11月)08:50
結果 3668.0億円
予想 5225.0億円 前回 8717.0億円(8729.0億円から修正)(通関ベース貿易収支)
結果 5702.0億円
予想 5457.0億円 前回 3143.0億円(通関ベース貿易収支(季調済))
【英国】
消費者物価指数(11月)16:00
結果 -0.1%
予想 0.1% 前回 0.0%(前月比)
結果 0.3%
予想 0.6% 前回 0.7%(前年比)
結果 1.1%
予想 1.4% 前回 1.5%(コア・前年比)
生産者物価指数(11月)16:00
結果 0.2%
予想 0.3% 前回 0.4%(0.2%から修正)(仕入・前月比)
結果 -0.5%
予想 -0.7% 前回 -1.2%(-1.3%から修正)(仕入・前年比)
結果 0.2%
予想 0.2% 前回 0.0%(出荷・前月比)
結果 -0.8%
予想 -0.8% 前回 -1.4%(出荷・前年比)
小売物価指数(11月)16:00
結果 -0.3%
予想 0.2% 前回 0.0%(前月比)
結果 0.9%
予想 1.3% 前回 1.3%(前年比)
結果 1.1%
予想 1.5% 前回 1.5%(前年比・除くモーゲージ利払い)
CIPS製造業PMI・速報値(12月)18:30
結果 57.3
予想 56.0 前回 55.6
CIPS非製造業PMI・速報値(12月)18:30
結果 49.9
予想 50.7 前回 47.6
【ユーロ圏】
ドイツ製造業PMI(購買担当者景気指数)(速報値)(12月)17:30
結果 58.6
予想 56.5 前回 57.8
ドイツ非製造業PMI(購買担当者景気指数)(速報値)(12月)17:30
結果 47.7
予想 44.0 前回 46.0
ユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数)(速報値)(12月)18:00
結果 55.5
予想 53.0 前回 53.8
ユーロ圏非製造業PMI(購買担当者景気指数)(速報値)(12月)18:00
結果 47.3
予想 42.0 前回 41.7
ユーロ圏貿易収支(10月)19:00
結果 300.0億ユーロ
予想 N/A 前回 248.0億ユーロ(季調前)
結果 259.0億ユーロ
予想 N/A 前回 237.0億ユーロ(240.0億ユーロから修正)(季調済)
【米国】
MBA住宅ローン申請指数(12/05 – 12/11)21:00
結果 1.1%
予想 N/A 前回 -1.2%(前週比)
小売売上高(11月)22:30
結果 -1.1%
予想 -0.3% 前回 -0.1%(0.3%から修正)(前月比)
結果 -0.9%
予想 0.1% 前回 -0.1%(0.2%から修正)(コア・前月比)
企業在庫(10月)00:00
結果 0.7%
予想 0.6% 前回 0.8%(0.7%から修正)(前月比)
FRB政策金利 17日4:00
結果 0.00%-0.25%
予想 0.00%-0.25% 現行 0.00%-0.25%
【カナダ】
消費者物価指数(11月)22:30
結果 0.1%
予想 0.0% 前回 0.4%(前月比)
結果 1.0%
予想 0.8% 前回 0.7%(前年比)
卸売売上高(10月)22:30
結果 1.0%
予想 0.7% 前回 0.6%(0.9%から修正)(前月比)
【NZ】
実質GDP(2020年第3四半期)06:45
結果 14.0%
予想 12.9% 前回 -11.0%(-12.2%から修正)(前期比)
結果 0.4%
予想 -1.8% 前回 -11.3%(-12.4%から修正)(前年比)
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《12/16 水曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【NZ】
*NZ半期財政経済報告
新型コロナの財政及び経済への影響、
世界的に見ても厳しい封鎖を科すという決定が報われ、当初恐れられていたほど深刻ではない。
財政赤字及び純債務は3か月前の予想よりもはるかに小さい。
経済成長は急速に回復見込み、
失業率は9月に予想した7.8%ではなく6.9%でピークに達する
来年6月までの平均GDP成長率は+1.5%見込み、以前は-0.5%。
21-22年は+2.6%、22-23年は+3.7%の成長が見込まれる。
指標は上向きのリスクをイメしている。
純負債は2023年に対GDP比52.6%でピークに達する。以前は2024年に55.3%でのピークが見込まれていた。
この債務予測にはパンデミック回復基金の残り103億NZドルが利用されると仮定している。
【ユーロ圏】
*フォンデアライエンEU委員長
漁業権に関する協議は引き続き極めて困難。
貿易交渉は合意に向けた道筋となっている。
ガバナンスについてはおおむね解決されている。
漁業権と公平な競争条件が依然として保留となっている。
*ビスコ伊中銀総裁
経済の回復は2023年下半期まで待たねばならない見込み。
*メルケル独首相
ブレグジット貿易交渉は今週末まで継続。
進展はあるものの、まだ解決には至っていない。
合意はないよりもあったほうが良い。
しかし、双方のケースについて準備している。
【トルコ】
*アグバル・トルコ中銀総裁
リラ安やインフレ抑制のために必要であれば金融引き締めや外貨準備を増加させる方針。
【英国】
*ジョンソン英首相
クリスマスに制限措置の緩和行う計画を容認。
【米国】
*米政府
ベトナムとスイスを為替操作国に指定。
*FOMC
雇用とインフレに顕著な進展が見られるまで支援継続。
月1200億ドルの債券購入据え置き。
資産購入の構成やペースに変更なし。
経済活動と雇用は回復続く。
需要低下や原油価格が消費者物価を低下。
ウイルス感染が中期的に相当のリスク。
*パウエル議長
政策目標の達成に強くコミット。
債券購入に追加ガイダンスを加えた。
(追加ガイダンスは)経済への強力な支援が目的。
パンデミック前の水準回帰には、しばらく時間がかかる。
「顕著な進展」に具体的なマーカーは示さない。
目標に相当接近する必要。
債券購入縮小は事前に余裕を持って警告。
追加緩和のために柔軟性保持。
追加緩和が必要と判断すれば、提供する可能性。
来年下期はワクチン効果で力強い経済に。
「今後数カ月に渡って」の前回文言は一時的表現。
4~6カ月は支援が必要なことは明らか。
住宅価格の上昇は懸念してない。
一定程度の期間は支援が必要。
インフレ押し上げは容易ではないだろう。
債券購入拡大や残存期間シフトは可能と再表明。
【スイス】
*スイス中銀
より積極的な為替介入への意欲変わらずと表明。
(米国の為替操作国指定報道に)
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《本日予定されている主な経済指標》
【豪州】
失業率(11月)9:30
予想 7.0% 前回 7.0%
雇用者数(11月)9:30
予想 4.00万人 前回 17.88万人
【スイス】
スイス中銀政策金利 17:30
予想 -0.75% 現行 -0.75%
【香港】
失業率(11月)17:30
予想 6.5% 前回 6.4%
【ユーロ圏】
ユーロ圏消費者物価指数・確報値(11月)19:00
予想 -0.3% 前回 -0.3% (前年比)
予想 0.2% 前回 0.2%(コア・前年比)
【英国】
英中銀政策金利 21:00
予想 0.10% 現行 0.10%
【米国】
フィラデルフィア連銀景況指数(12月)22:30
予想 20.0 前回 26.3
住宅建築許可件数(11月)22:30
予想 156.0万件 前回 154.4万件
住宅着工件数(11月)22:30
予想 153.3万件 前回 153.0万件
新規失業保険申請件数(12日までの週)22:30
予想 81.3万件 前回 85.3万件
【NZ】
貿易収支(11月)18日6:45
予想 2.55億NZドル 前回 -5.01億NZドル
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員