雇用統計2050万人減も発表後にドル高円売り
雇用統計2050万人減も発表後にドル高円売り
予想よりも増しで、一服感。水準的には戦後最悪
【東京市場】雇用統計を前にもみ合い続く
ドル円は106円台前半でのもみ合いが続いた。
前日のNY市場夕方(本日東京早朝)に106円割れを付けたドル円。下押しには慎重も戻りも鈍く、朝方は106円ちょうど前後での推移。東京勢の本格参加とともに少しドル買い円売りが入り106円20銭台まで上昇。もっとも下落時にサポートとなった106円台半ばが意識される中で、ドル買い円売りにも慎重で値幅は限定的なものにとどまった。
午後に入っても買い戻しの流れが見られ106円30銭台を回復。
ユーロドルは1.07後半での推移。昨日の海外市場で1.07台まで値を落とし、その後は1.08ちょうどを挟んでの振幅。昼前後に1.08005近くまで戻すも、戻りでは売りが出る流れで午後に再び1.0790台に。
【ロンドン市場】英国休場で様子見
英国はバンクホリデー。
ドル円は106円30-40銭をコアにしたレンジ取引が続いた。
NY朝の米雇用統計待ちの面も。
【NY市場】雇用統計予想よりは強い数字も2050万人減
注目の米雇用統計は予想よりはマシとはいえ2050万人の雇用減を記録。
リーマンショック時の最大値が80万人減、第2次世界大戦終了時でも200万人に届いておらず、相当に厳しい数字となった。
もっとも予想はより弱い数字を見込んでおり、発表後はドル買い円売りに。
ドル円は106円台前半から106円60銭台まで。さらにその後106円70銭台まで上昇して週の取引を終えている。
【本日の見通し】次の流れにらむ
先週末の米雇用統計は予想よりは少しマシとはいえ2000万人を超えるかなり厳しい雇用者数の減少を示した。ムニューシン財務長官などは統計集計(4月12日の週)以降に700万人が失業した見通しを示し、より厳しい数字を見込む動きとなっている。
こうした状況を受けて、やや警戒感が広がっているが、ドル円はしっかり。
先週106円割れを試したことで下値しっかり感が出ていることもあり
いったんドル買い円売りを試す流れに。クロス円も買い戻しが入る展開。
大きな材料を受けてのしっかりした円売りというよりも警戒感がやや鈍化しての円売りといった様子で、流れが変わる可能性もあるが、ユーロ円の115円台半ばがしっかりしてきており、目先は上方向か。
107円台を回復できるかどうかが一つのポイントに。
【本日の戦略】突っ込んだ売り買い避けたい
突っ込んだ売り買いは避けたいところ。
ドル円は106円台半ば近辺での買いを意識。
107円手前はいったん重くなりそうだが、売りに回るかは微妙で
デイトレも買いからの印象。
目先106.30割れはストップ水準か。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《5/8 金曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 106.28 1.0834 115.10
高値 106.75 1.0876 115.74
安値 106.22 1.0815 115.03
終値 106.65 1.0839 115.50
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《5/8 金曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 20179.09 +504.32
DOW 24331.32 +455.43
S&P 2929.80 +48.61
Nasdaq 9121.32 +141.66
FTSE 休み
DAX 10904.48 +145.21
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《5/8 金曜日の商品市場》
NY原油先物6月限(WTI)(終値)
1バレル=24.74(+1.19 +5.05%)
NY金先物6 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1713.90(-11.90 -0.69%)
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《5/8 金曜日に発表された主な経済指標》
【ユーロ圏】
ドイツ貿易収支(3月)15:00
結果 174億ユーロ
予想 188億ユーロ 前回 206億ユーロ(208億ユーロから修正)(貿易収支)
ドイツ経常収支(3月)15:00
結果 244億ユーロ
予想 207億ユーロ 前回 237億ユーロ(経常収支)
【カナダ】
住宅着工件数(4月)21:15
結果 17.13万件
予想 10.50万件 前回 19.54万件(19.52万件から修正)(住宅着工件数)
住宅建設許可(3月)21:30
結果 -13.2%
予想 -20.0% 前回 -7.3%(前月比)
雇用統計(4月)21:30
結果 -199.38万人
予想 -400.00万人 前回 -101.07万人(雇用者数)
結果 13.0%
予想 18.1% 前回 7.8%(失業率)
【米国】
雇用統計(4月)21:30
結果 -2,050.0万人
予想 -2,200.0万人 前回 -87.0万人(-70.1万人から修正)(非農業部門雇用者数)
結果 14.7%
予想 16.0% 前回 4.4%(失業率)
民間部門雇用者数
結果 -1952.0万人
予想 -2185.5万人 前回 -84.2万人(-71.3万人から修正)
製造業雇用者数
結果 -133.0万人
予想 -250.0万人 前回 -3.4万人(-1.8万人から修正)
平均時給
結果 4.7%
予想 0.5% 前回 0.5%(0.4%から修正)(前月比)
結果 7.9%
予想 3.3% 前回 3.3%(3.1%から修正)(前年比)
週平均労働時間
結果 34.2
予想 33.5 前回 34.1(34.2から修正)
労働参加率
結果 60.2%
予想 61.0% 前回 62.7%
卸売在庫(確報値)(3月)23:00
結果 -0.8%
予想 -1.0% 前回 -1.0%(前月比)
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《5/8 金曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*格付け会社フィッチ
フォード・モーターを従来の「BBB-」からジャンク級の「BB+」に引き下げ。
見通しは「ネガティブ」を維持。
【豪州】
*豪中銀
2020年6月時点で10%の失業率になるとみている、これはおおよそのピークとなる。
2021年末までには7.5%への抑制を実現する。
雇用や企業へのサポートとしてやれることをやっていく。
予想されるGDPへの影響はピークと比べて約10%の減少となる。
2020年には消費者物価指数はー0.1%とみている。
経済成長の回復スピードやタイミングは不透明
日々の運用で117.8億豪ドルの流動性供給
2021年のGDP成長率は6%へ
2020年後半にはベースラインシナリオでの成長回復を開始
家計消費は2020年に約15%減少
ベースラインシナリオではインフレ率は当面2%を下回る。
必要に応じて債券購入を拡大する準備がある。
*モリソン豪首相
困難な戦いを乗り越え、新しい豪州を作る
世界に先駆けて経済を再開していく
閣議では再開に向けた3つのステップの計画に同意。
月には新型コロナウイルスに対して安全な社会に。
ステップ1は小売、レストランなどの営業再開を確認するステップになる。
財務大臣は85万の雇用を戻す計画を示した。
【NZ】
*ロバートソン財務相
賃金助成は人々にお金がいきわたる非常に開かれたスキームであった
多くの企業が仕事を再開しており、明らかに違うステージに立っている。
より適したサポートの種類を検討する。
【中国】
*新華社
米中の貿易協議担当者が電話会談を行い、経済協力の強化で合意した。
【その他】
*IMFジータ・ゴビナス・チーフエコノミスト
3週間前に発表した最新の世界経済見通しと比べて、現状での見通しは悪化している。
金融市場混乱の波を予想できる。
新興国の対外資金需要は以前の予想で示した2.5兆ドルをはるかに超える見通し。
【ユーロ圏】
*ドイツ商工会議所(DIHK)
60%の企業が需要落ち込みの影響受けている
43%の企業が注文の取り消しに直面
ロックダウン期間中に最大50%の企業が部分的および完全な営業停止となった
そのうちの最大25%の企業がロックダウンが緩和された4月末に営業を再開した
80%の企業が今年の収入減を見込んでいる
最大33%のレストラン、50%の旅行会社が倒産のおそれ
*独GfK調査
国民の3分の1が消費支出を抑えること計画
国民の3分の1が今後12カ月間で家計状況の悪化を予想、新型コロナ影響
*欧州司法裁判所(ECJ)
EU法抵触の判断は欧州司法裁判所のみが有する権限だ
EUの管轄下にある機関がEU法に抵触した場合には裁定を下す
(独裁判所のECBへの判断で)
*ラガルドECB総裁
新型コロナのパンデミックはヨーロッパの理想を試すものだ
ECBの行動は銀行をより強化すること役立つ
ECBは経済を支えるために責務の範囲内であらゆること行う
欧州で共通の財政行動をとることが非常に望まれる
グリーン政策を加速させる良い機会に
【米国】
*トランプ大統領
第3四半期は移行期で、来年は良い年になるだろう。
メルケル独首相と会談した。
ワクチンがなくても、ウイルスは消滅し得る。
失業はもっと悪い数字になる。
ただ、今年終盤には良くなる。
次の景気対策は急いでいない。
*FRB
来週の米国債購入は今週の1日80億ドルから70億ドルにペース減速。
*クドロー米国家経済会議(NEC)委員長
米雇用統計は完全に期待外れで困難。
指標は向こう数週間、更に悪い結果が出るだろう。
雇用の数字は低迷が続くだろう。
人々が仕事に戻ることを期待。
下半期は急速な回復や成長を見込む。
議会交渉は一時停止後に行われる。
中国は貿易合意を履行しようとしている。
米議会予算局(CBO)は下半期に20%の成長を見込んでいる。
*メスター・クリーブランド連銀総裁
地方自治体は恐らく追加の財政支援が必要。
我々は在宅している人を支援すべき。
経済再開は再発防止のために注意深く実施すべき。
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《本日予定されている主な経済指標》
【トルコ】
失業率(2月)16:00
予想 N/A 前回 13.8%
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員