新型コロナウイルス感染拡大懸念が重石、ドル円は一時109円27銭
新型コロナウイルス感染拡大懸念が重石、ドル円は一時109円27銭
ユーロは振幅を経て売りが強まる。ラガルド総裁の前向き発言にいったん上昇も
その後慎重姿勢が目立つ形でユーロ売り。ユーロ円はNY市場で1円超の下げに。
ECB理事会は政策金利の現状維持を発表。戦略検証について発表
【東京市場】新型コロナウイルス感染拡大懸念が円高誘う
東京午前にドル円は値を落とす展開となった。
中国武漢市で発生した新型コロナウイルス感染拡大懸念が広がる中で、
リスク警戒感が広がった。
中国国営TVが感染者拡大を報道、中国株の大幅な下げなどが見られる中で
金曜日からの春節(旧正月)での人の移動が
世界的なパンデミックを巻き起こすのではとの警戒感に。
【ロンドン市場】ECB理事会後のラガルド総裁会見待ち
ECB理事会は事前見通し通り金利据え置きを決定。
この後のラガルドECB総裁会見街の流れとなった。
コロナウイルス感染拡大懸念は継続も、
下がったところからのドル売り円買いには慎重な姿勢が見られ
NY勢の参加までの値動きは抑えられた。
【NY市場】リスク警戒感加速、ユーロは振幅
序盤は新型コロナウイルス感染拡大懸念が強まる中でドル売り円買いの動き。
シンガポールで中国からの旅行者に感染者が見つかったこと
中国政府が武漢に続いて黄岡など周辺複数都市で公共交通機関停止、鉄道駅封鎖などの
緊急対応を行っているとの報道も警戒感を誘った。
ドル円は109円27銭まで下げ幅を拡大。
200ドル近く下げる米ダウ平均株価動向などもリスク警戒感を誘った。
しかし、午後に入って安値から値を戻す展開に。
WHOが新型コロナウイルスについて緊急事態宣言を見送ったとの報道も、
過度な警戒感に対する一服感を誘った。
ドル円は109円台半ばを回復。
ユーロはラガルドECB総裁の会見を受けて振幅を経て下落した。
会見直後はユーロ買いの動き。
総裁は経済成長の対する下振れリスクは以前ほど高くないと発言。
前向きな姿勢が見られるとしてユーロドルが1.11台にしっかり乗せるなどの動き。
しかし大台を維持しきれず、その後は逆に大きくユーロ売り。
1.1036近辺まで上値を落とす展開に。
ユーロ円は121円70銭近辺から120円60銭台まで
NY市場だけで1円以上値を落とす場面が見られた。その後引けにかけて121円台を回復。
【本日の見通し】リスク警戒感継続へ
今日からの春節でどこまで世界的なコロナウイルス感染が拡大していくのかが注目される。
今のところ感染者は中国国内および中国からの旅行者に限られているが
そこから現地住民の感染を完全に防ぐのは難しく、
感染被害が広がる可能性が強まると、ドル売り円買いの動きに。
週末に被害拡大の可能性があるだけに、
高値でのドル買い円売りにはかなり慎重になりそう。
クロス円でもユーロ円や豪ドル円などはかなり重い展開に。
ドル円は109円台前半でどこまで買いが出るのかがポイントになりそう。
戻りは109円台後半か。110円がやや遠いという印象に。
【本日の戦略】戻り売り
基調は上方向という意識も
週末を前に買いに慎重になりそう。
109円台後半では売りに回ってみたい。
110円超えでいったんストップも。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《1/23 木曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 109.84 1.1093 121.83
高値 109.87 1.1109 121.88
安値 109.27 1.1036 120.64
終値 109.49 1.1055 121.06
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《1/23 木曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 23795.44 -235.91
DOW 29160.09 -26.18
S&P 3325.54 +3.79
Nasdaq 9402.48 +18.71
FTSE 7507.67 -64.25
DAX 13388.42 -127.33
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《1/23 木曜日の商品市場》
NY原油先物MAR 20月限(WTI)(終値)
1バレル=55.59(-1.15 -2.03%)
ブレント先物MAR 20月限(ICE)(終値)
1バレル=62.04(-1.17 -1.85%)
NY金先物420月限(COMEX)(終値)
1オンス=1571.60(+8.70 +0.56%)
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《1/23 木曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
通関ベース貿易収支(12月)8:50
結果 -1,525億円
予想 -1,531億円 前回 -852億円(-821億円から修正)
結果 -1,025億円
予想 -2,360億円 前回 -608億円(季調済)
全産業活動指数(11月)13:30
結果 0.9%
予想 0.4% 前回 -4.3%(前月比)
景気動向指数(確報値)(11月)14:00
結果 90.8
予想 前回 90.9(景気先行指数)
結果 94.7
予想 前回 95.1(景気一致指数)
【豪州】
失業率(12月)9:30
結果 5.1%
予想 5.2% 前回 5.2%
雇用者数(12月)9:30
結果 2.89万人
予想 1.00万人 前回 3.85万人(3.99万人から修正)
【シンガポール】
消費者物価指数(12月)14:00
結果 0.3%
予想 0.2% 前回 0.3%(前月比)
結果 0.8%
予想 0.7% 前回 0.6%(前年比)
【ユーロ圏】
ECB政策金利 21:45
結果 0.00%
予想 0.00% 前回 0.00%
ユーロ圏消費者信頼感・速報値(1月)24日0:00
結果 -8.1
予想 -7.8 前回 -8.1(ユーロ圏消費者信頼感)
【米国】
新規失業保険申請件数(01/12 – 01/18)22:30
結果 21.1万件
予想 21.4万件 前回 20.5万件(20.4万件から修正)(前週比)
景気先行指数(12月)00:00
結果 -0.3%
予想 -0.2% 前回 0.1%(0.0%から修正)(前月比)
週間石油在庫統計(01/11 – 01/17)01:00
結果 -40.5万バレル
予想 80.0万バレル 前回 -254.9万バレル(原油在庫)
結果 174.5万バレル
予想 281.4万バレル 前回 667.8万バレル(ガソリン在庫)
結果 -118.5万バレル
予想 222.0万バレル 前回 817.1万バレル(留出油在庫)
【NZ】
消費者物価指数(第4四半期)24日6:45
結果 0.5%
予想 0.4% 前回 0.7%(前期比)
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《1/23 木曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【新型コロナウイルス関連】
*外務省
中国武漢市について、不要不急な渡航は中止するよう促す「感染症危険情報レベル2」に引き上げた。
*西村官房副長官
新型コロナウイルス感染拡大防止へ万全を期す。
*WHO
新型ウイルス感染拡大「緊急事態」に該当するかどうかの判断を先送り、判断は23日以降に。
中国政府の対応は評価するものの、WHOは感染拡大阻止に取り組むためにチームを派遣する。
数週間内に中国以外の地域と韓国、北朝鮮を含む他の国でさらに多くの感染が確認されると予測。
*香港紙SCMP
新型コロナウイルスは既に感染者の家族や医療スタッフの間で伝染する拡散段階に入っている。
SARSの時のように大規模発病が起きる段階に近づいている。
今月1日から17日までの半月間に新型コロナウイルスが既に中国本土20都市に広がった可能性もある。
*新華社
新型コロナウイルス宿主はコウモリの可能性。
*マカオ政府観光局
春節行事を全て中止。
*香港鉄路
武漢行きの高速鉄道の切符販売を停止。
*財新
新型コロナウイルスの最終的な感染例は6000件を超える可能性。
【その他】
*ゲオルギエワIMF専務理事
不透明な状況がニューノーマルに。
不透明感が世界経済の主な下方リスクとなっている。
政府は対応措置を強めるべき。
世界は緊密につながっており、より一層ショックを受けやすくなっている。
2020年は2019年ほどはひどくない。
貿易や製造業の減速が底入れする兆候みられる。
世界的に低金利が長期化することがコンセンサスとなっている。
米中金融当局には政策に余地が残っている。
その他諸国は財政政策をより積極的に。
(ダボス会議で)
【スイス】
*ジョルダン・スイス中銀総裁
リスクのバランスは下方向に傾いている。
為替相場はスイスの金融環境にとって重要。
マイナス金利は必要なもの。
マイナス金利には副作用あるが、極小化させるつもり。
ECBの政策に追随するものではない。
(CNBCで)
*メクラー中銀理事
可能になればマイナス金利をやめる
現在はやめることはできない。
マイナス金利導入がなければ、より悪い状況に
【英国】
*英首相報道官
EU、英国と年内に将来の貿易協定を結ぶことに合意。
新種の疾病に対処する準備は整っている。
英国内では新型コロナウィルスの感染は確認されず。
ファーウェイの5Gに関する作業は進行中。
*米下院
女王陛下がブレグジット関連法案を裁可
事務手続きが終了。現地時間1月31日午後11時に離脱が実施される。
【ユーロ圏】
*ECB
金利はインフレ目標に近づくまで現状もしくはそれ以下に。
債券買い入れは利上げの直前まで継続。
金融政策の戦略見直し作業開始を発表。
*ラガルドECB総裁
声明の内容を繰り返す。
発表されたデータはECBの基本シナリオに沿ったもの。
発表されたデータは緩やかな成長の継続を示す。
基調インフレに緩やかな上昇の兆し。
インフレ見通しは依然として抑制されている。
極めて緩和的な政策姿勢が長期間にわたり必要。
国際貿易は引き続き弱い。
ECBは必要に応じてあらゆる手段を調整する用意。
成長に対するリスクは以前ほど深刻でない。
EUと米国の貿易交渉をとても注意深く見ていく
我々の決定に際して貿易は重要な要素
フォンデアライエン欧州委員長とトランプ大統領の貿易に関する会談に元気づけられる
リスクのバランスが取れている状態に近づいているのかについて議論
リスクバランスに関する見方は一致している
広範な戦略検証を行う
価格の安定、物価の計測、コミュニケーションなどについて検証
専門家、学界の見方とも連携
11月か12月に戦略で合意できることを期待している
終わった時が終わるときである(期限を設けない)
*ECB戦略検証
物価の安定に数量的な公式化
金融政策の手法、分析手段について検証
政策手法の副作用について検証
検証は徹底的な分析と開かれた姿勢により示される
【米国】
*ロス米商務長官
2020年中にEUとの貿易合意に達すること望む。
年内に英国との貿易合意にも達すること望む。
英国およびEUと合意すること前提に作業している。
米国はインドとも協力したいが、年内に貿易合意できるかどうかは疑問。
(FOXビジネス)
*ペンス副大統領
トランプ大統領が来週イスラエルのネタニヤフ首相をホワイトハウスに招待
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《本日予定されている主な経済指標》
【日本】
消費者物価指数(12月)8:30
予想 0.7% 前回 0.5%(前年比)
予想 0.7% 前回 0.5%(生鮮食品除くコア・前年比)
【シンガポール】
鉱工業生産(12月)14:00
予想 3.6% 前回 -9.4%(前月比)
予想 -0.6% 前回 -9.3%(前年比)
【ユーロ圏】
ドイツ製造業PMI・速報値(1月)17:30
予想 44.5 前回 43.7
ドイツ非製造業PMI・速報値(1月)17:30
予想 53.0 前回 52.9
ユーロ圏製造業PMI・速報値(1月)18:00
予想 46.8 前回 46.3
ユーロ圏非製造業PMI・速報値(1月)18:00
予想 52.8 前回 52.8
【英国】
CIPS製造業PMI(1月)18:30
予想 48.8 前回 47.5
CIPS非製造業PMI(11月)18:30
予想 51.1 前回 50.0
【カナダ】
小売売上高(11月)22:30
予想 0.6% 前回 -1.2%(前月比)
予想 0.5% 前回 -0.5%(自動車除くコア・前月比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員