新型ウイルスの懸念拡大でドル売り円買い
新型ウイルスの懸念拡大でドル売り円買い
ユーロは往って来い。独ZEWの強さで買いも、ユーロ円の売りに押される
ポンドは雇用統計が強く買いが入る。利下げ期待がやや後退
【東京市場】新型コロナウイルス関連の警戒感が重石
中國湖北省武漢市で発生し、感染者が広がっている新型コロナウイルスは
人から人への感染が中国当局で確認され、警戒感を強める展開に。
豪州で感染疑いの男性が見つかったとの報道や、
世界保健機構が22日に緊急会合との報道も警戒感を誘い、ドル円は109円90銭台に。
日銀金融政策決定会合は目立った変化なし。
同時に発表された日銀展望レポートは、景気見通しの上方修正が見られたが
コロナウイルス関連のリスク警戒を払しょくするような材料にはならず
市場の反応は乏しい。
【ロンドン市場】110円台回復
ドル円は110円台を回復。東京安値が109円90銭前後にとどまったことで
買い戻しの動きに。
下値しっかり感が強いという意識が継続。
ユーロが大きく上昇。独ZEW景況感の好結果がユーロ買いに。
ユーロドルは1.1080台から1.1110台までの上昇。
ポンドもしっかり、9-11月の雇用者数が予想を大きく超える増加となり、
利下げ期待が後退する形となった。
朝方1.29台を付けたポンドドルは1.3080台へ。
【NY市場】コロナウイルスへの警戒感か即
東京市場から続く新型コロナウイルスへの警戒感が継続した。
中国湖北省武漢で発生した同ウイルスは中国国内で死者を出しながら感染が広がっており
中国当局が人から人への感染を認めたことで警戒感が拡大。
今週末から春節を控え、中国国内および中国から海外への人の行き来が
一気に拡大するシーズンだけに、アウトブレイク懸念が加速した。
さらに米疾病予防管理センター(CDC)が
米西海岸シアトルで米国内初となる感染者を確認と報じたことで警戒感が加速。
中国からの旅行者ということで、春節を前にした警戒感につながった。
ドル円は東京市場の安値を割り込んで109円76銭まで下落。
ロンドン市場で独指標の好結果で上昇し122円37銭を付けたユーロ円が
121円75銭まで下げるなど、クロス円の売りも強まる展開となった。
ユーロはロンドン市場で対ドルでも上昇していたが、
対円での売りに押されて上昇分を完全に打ち消す格好となった。
豪ドル円なども軟調でリスク警戒感広がる展開。
雇用関連指標の好結果でロンドン市場で上昇を見せたポンドも高値から調整が入る形となり
ポンドドルは1.3080台から1.3040前後まで。
カナダは明日の金融政策理事会を控えてやや軟調。ドルカナダでもドル買いカナダ売りの動き。
明日の会合での政策金利据え置き見通しは継続も、貿易統計などの弱さから
声明などで今後の追加利下げへの動きを示すのではとの警戒感が出ている。
【本日の見通し】リスク警戒感継続へ
米国内で新型コロナウイルスの感染者が確認されたことで、警戒感が広がる展開となっている。
同ウイルスの中国国内の感染者は300人を超え、人から人への感染も中国当局が認める状況。
今週末からの春節で中国国内・国外合わせた延べの移動人口は30億人ともいわれており
感染拡大を防ぐことは難しいという見方も広がっている。
今日はWHOの緊急会合(本部ジュネーブ)も予定されるなど、世界的なリスク警戒材料に。
こうした状況でドル円は買いが入りやすいところ。昨年実績でみると、中国から海外への旅行先一位は日本だけに
日本国内への警戒感も強いだけに円買いには違和感もあるが、リスク警戒感からの円買いの流れは
これからもある程度入る可能性が強い。
ドル円は110円近辺が重くなるようだと、いったん109円台半ばをトライに行く可能性もありそう。
クロス円も重い展開。特に豪ドル円は75円を割り込んでの売りがありそうで、今年の安値73円76線も視野に入る展開か。
その他材料で注目はカナダドル。午前0時に結果が発表される中銀金融政策理事会では金利据え置きの見込みだが
貿易状況などの厳しい状況かr、声明などで今後の利下げへの動きを示唆してくる可能性がある。
昨日の海外市場でもカナダ売りが出ていたが、そうした動きがさらに強まる可能性。
【本日の戦略】戻り売りも
中期的な流れが変わったとは見ていないが
材料が材料だけに警戒感を誘うとみており、短期的には下押し圧力が強そう。
ドル円は戻り売りの動き。デイトレは110円手前が重くなりそうならいったん売りに回って
大台回復でストップという動きも。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《1/21 火曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 110.18 1.1095 122.25
高値 110.22 1.1118 122.37
安値 109.76 1.1081 121.72
終値 109.87 1.1082 121.77
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《1/21 火曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 23864.56 -218.95
DOW 29196.04 -152.06
S&P 3320.79 -8.83
Nasdaq 9370.81 -18.14
FTSE 7610.70 -40.74
DAX 13555.87 +6.93
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《1/21 火曜日の商品市場》
NY原油先物2 20月限(WTI)(終値)
1バレル=58.34(-0.20 -0.34%)
ブレント先物MAR 20月限(ICE)(終値)
1バレル=64.59(-0.61 -0.94%)
NY金先物2 20月限(COMEX)(終値)
1オンス=1557.90(-2.40 -0.15%)
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《1/21 火曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
日銀政策金利 12:01
結果 -0.1%
予想 -0.1% 現行 -0.1%
【香港】
消費者物価指数(12月)17:30
結果 2.9%
予想 3.0% 前回 3.0%(前年比)
【英国】
雇用統計(12月)18:30
結果 3.5%
予想 N/A 前回 3.4%(3.5%から修正)(失業率)
結果 1.49万件
予想 N/A 前回 1.49万件(2.88万件から修正)(失業保険申請件数)
ILO失業率(11月)18:30
結果 3.8%
予想 3.8% 前回 3.8%(ILO失業率)
【ユーロ圏】
ドイツZEW景況感指数(1月)19:00
結果 26.7
予想 15.0 前回 10.7(ZEW景況感指数)
【カナダ】
製造業売上高(11月)22:30
結果 -0.6%
予想 -0.5% 前回 -0.2%(-0.7%から修正)(前月比)
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《1/21 火曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【日本】
*日銀金融政策決定会合
現行の大規模な金融緩和策の維持を決定。
政策金利を-0.1%に据え置き
10年物国債金利の目標を0%程度に据え置き
政策金利のフォワードガイダンスを維持
資産買い入れ額を現状維持
短期は-0.1%・長期(10年物国債)の目標は0%程度で据え置き
19年度実質GDP見通しは0.8%(前回0.6%)
20年度実質GDP見通しは0.9%(前回0.7%)
21年度実質GDP見通しは1.1%(前回1.0%)
20年度コアCPI見通し(消費増税込み)は1.0%(前回1.1%)
国債保有残高の80兆円増加ペースのめどを据え置き
経済・物価見通し、下振れリスクの方が大きい
海外経済の下振れリスク、ひと頃よりも幾分低下
海外経済の下振れリスク、依然として大きいとみられる
消費税率上げ前後の需要変動、前回と比べて抑制的
【ユーロ圏】
*マクロン仏大統領
トランプ米大統領と20日、年内は関税引き上げを見送ることで合意。
デジタル課税についてトランプ米大統領と素晴らしい議論を交わした。
我々は関税のエスカレートを回避するため合意に向けて協力する。
【中国】
*中国商務省対外貿易局局長
市場の需要とWTOルールに基づいて米国からの輸入を拡大する。
中国市場は大きな潜在力を持ち、高品質で競争力ある米産品を歓迎。
米国が対中輸出で良好な環境を整えるよう希望する。
【中東】
*バグダッドのグリーンゾーンに2発のロケット弾が着弾。
*ザリフ・イラン外相
2015年に結んだ核合意にイランが違反したと欧州各国が安保理に報告するのであれば、
イランは核拡散防止条約から脱退する。
*イラン外務省報道官
核合意履行からの段階的な後退で最後の一歩を計画している。
【中国新型ウイルス】
*中国国家衛生健康委員会研究者
武漢市で発生した新型コロナウイルスは、人から人に感染していることは間違いない。
*WHO
新型コロナウイルスによる肺炎を巡る対応について緊急委員会を22日に開催。
*香港張建宗政務官
中国で発生した新型コロナウイルスに対し、極めて高度な警戒態勢を取っている。
人から人への感染という最悪のシナリオにも備えている。
【米国】
*トランプ米大統領
米国は今までに見たことのないような好景気の真っただ中にある
米連邦準備理事会(FRB)は利上げには速すぎ、利下げには遅すぎる
米中通商協議の第2段階の交渉はまもなく始まる
*アメリカ疾病予防管理センター(CDC)
シアトル市内で、米国内では初めて新型コロナウイルスの感染者が見つかったと発表。
中国からの旅行者としている。
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《本日予定されている主な経済指標》
【韓国】
実質GDP・速報値(第4四半期)8:00
予想 0.7% 前回 0.4%(前期比)
予想 1.9% 前回 2.0%(前年比)
【南アフリカ】
消費者物価指数(12月)17:00
予想 0.3% 前回 0.1%(前月比)
予想 4.0% 前回 3.6%(前年比)
【英国】
公共部門ネット負債(12月)18:30
予想 46億ポンド 前回 49億ポンド
【米国】
MBA住宅ローン申請指数(17日までの週)21:00
予想 N/A 前回 30.2%(前週比)
中古住宅販売件数(12月)23日0:00
予想 543万件 前回 535万件
【カナダ】
消費者物価指数(12月)22:30
予想 0.0% 前回 -0.1%(前月比)
予想 2.3% 前回 2.2%(前年比)
カナダ中銀政策金利 23日0:00
予想 1.75% 現行 1.75%
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員